ー4話
ー4話
エレベーターが開くと、右手に人が居て、そっちが入口らしかった。
後ろの女子大生っぽい子に聴いた。
「初めてなんですが。チケットとかはどこなんですか?」
「私も初めてなんです」
すると、ニットの男性が、窓になってる所を示して
「ここ」
と教えてくれた。
「予約は?」
ロン毛でまん中分けで、髪サラサラの兄ちゃんが聞いてきた。
「ないです」
「お目当ての子とかは?」
意味が判らない。キャバクラに来た訳じゃない。
「ないです。とりあえず聴きに来たんですけど?」
「お待ち下さい」
後で分かったが、無料プレゼントが予約数分有ったらしい。多少余分が有るのだが、ガチャで配る予定で、予約なしの光治にどうするか相談したらしい。
「では、ドリンク料込み3千100円で」
交換に、冊子と出演者の紹介ぺーパーにドリンク券を渡された。
元々は、小料理屋か居酒屋を居抜きしたような店内だった。入口右にバーが有り、バーに直角にステージが有る。ステージの後方は石垣のデザインで、上に流木のような板に四谷天窓と彫って墨が入れて有る。後で調べると渋谷系のレジェンド山崎まさよしの字であるらしい。
ステージに対向して、四角い少し高めの椅子が並べて有る。客席の右後方にミキサー卓が有る。
50人か60人くらいの定員だろうか?
天井は木で、エアコンと共に黒く塗られている。元々は白熱灯だったんだろう、LED電球が下がっている。
渡された紙を見ると、近藤春菜は最後だった。彼女を含めて6人が30分くらいで交代して行くようだ。
女の子二人が、キーボードとギターをセットアップして、オープニングが始まった。