ー3話
ー3話
トイレに戻る。入っている人を待って中を確認する。
無い。
9階のサイゼリアで確認する。
無い。
6階でドメキリクソウに聞く。
「ちゃんと右ポケットに入れて行かれるの見ましたよ」
もう一度2階に戻る。
トイレの横の「かんかん」と言う服と雑貨の店に入る。
「すいません。このフロアで、落とし物したら何処に届くんでしょうか」
オシャレな落ち着いた店員さんが親切に教えてくれた。
「そこを右に行くと防災センターがあるので。ドアを開けて行ってかまわないので」
スタッフオンリーと書かれたドアを抜けると、窓口が有った。
無くした可能性の有る場所と特長を言うと、見事に出て来た。この規模の都市で忘れ物が届けられる街は東京だけだろう。
誰かはもう知る事はできないが、彼の行く所に幸せが有る事を祈った。
ビックボックスを出る。
空を見上げると、ビルの間の狭い空は雲に閉ざされていた。
肌寒い。
早稲田口に向かい、山手線のガードを潜る。
信号を渡る。
さかえ通り商店街のアーチを入る。車が余裕で擦れ違える幅が有る。しかし、アスファルトが盛られた道は不規則に波打っている。こんなでこぼこを走れるのかどうか知らないが、通行止めにしてスケートボードが高速で捌いて走る映像を撮影したら凄いと思う。
中東系、ヨーロッパ系、中国人。日本人。
日本語とのチャンポンで会話しながら歩いている。
商店街は飲食店と居酒屋にコンビニが昭和の街並みに入り雑じって、サイバーパンクのようだ。しかし、そら飛ぶ車もサイボーグもいない。
きっと、サイバーパンクにするには予算が足りなかったんだろう。
商店街が終わる所で左折する。
数メートル先に表示灯が置かれて四谷天窓と有る。そこを左に入るとエレベーターホールが有る。3階が四谷天窓で5階がコンフォートであるらしい。違いは判らない。
エレベーターのドアが開き、待っていた4人が入った。光治も続く。
光治は、写真の入ったカードケースをポケットの外から確かめた




