自分の自分による自分だけの勝利
WBC、盛り上がっていたようですね。ベネズエラが優勝とのことですが、私はこの国に関する知識はありません。アニメ『あしたのジョー2』のカーロス・リベラがベネズエラ出身だったなあ……というくらいですね。
その前には、ミラノオリンピックがありました。この時は、スマホをいじってると突然のメッセージ。何かと思えばネットニュースで「何とか選手が金メダル!」「かんとか選手が銀メダル!」いや、知らんがな……と思いましたね。
その直後にはパラリンピックが開催されていましたが、地上波のテレビ局はNHK以外ほぼほぼ無視でしたね。皆、WBCの方に夢中だったようです。
WBCといい、オリンピックといい、日本人は本当に他人がスポーツするのを見るのが好きなようですね。
特に、全くの赤の他人がメダルを取ったら、我がことのように喜ぶ……この感覚が、私にはよくわからないのですよ。まあ、私が単におかしいだけなのでしょうがね。
かつて、千葉すずさんという水泳選手がいました。その方はインタビューの際「オリンピックは楽しむつもりで出たんで」「メダル、メダルって、そんなにいうなら自分で泳げばいいじゃないですか」「日本人はメダルキチガイです!」と言ってバッシングされたそうですが、その傾向は今も変わっていないのでしょうか。
以前から何度も書いていますが、私はオリンピックには興味がありません。
特に冬季オリンピックなど、やったことはおろか、存在すら知らなかった競技ばかりです。ルールも知らないし、選手たちも知りません。何をやっているのか、どうすれば勝ちなのか……見ていても意味不明なんですよね。外国の映画を、吹き替えも字幕もなしで観ているような感覚なんですよね。
念のためですが、私はWBCやオリンピックを観て応援すること自体を否定する気はありません。同じ国の人がメダルを取れば嬉しい、これは普通のことなのでしょう。私にはわからない感覚ですが、私の方がむしろ異常なのだと思います。
しかし、同時にこうも思うのですよ。
「メダル、メダルって、そんなに言うなら自分でもやろうよ!」
私は総合格闘技をやっています。やっていると「自分の、自分による、自分だけの勝利」を得られるのです。
わかりやすい例で言うなら、試合での勝利です。自分で汗を流して勝ち取った勝利、これは何ものにも変えがたいですね。よくスポーツ選手が勝った後に「ウォッシャー!」とか叫んでますが……あの気持ちはよくわかりますね。
余談ですが、このエッセイの二九七話『新時代の格闘技漫画に望むこと』に登場したムタさんの試合は見ていて緊張しましたし、勝った時は我がことのように嬉しかったです。
また、三四三話『名もなき一市民の闘い』のホクさんの試合も緊張しましたし、「あのオーバーハンドがもっとタイミングよく入ればな……」と感じましたね。ただ、記録は負けでしたが、ホクさんは「自分との戦いには」勝ったと思っております。勝手な思い込みかもしれないですが……。
これは、何も試合だけではありません。
スパーリングをしていて「今日はいい形で一本取れた」「今日はあの人のいいところを出させず完封した」これもまた、立派な勝利です。自分にしかわかりない勝利ですが、それでも小さな自信になることは間違いありません。
さらに「いつもなら二本取られるけど、今日は一本しか取られなかった」「ローキックめちゃくちゃ効いたけど、最後まで前に出られた」これもまた、立派な勝利です。
この「自分だけの勝利」、何も格闘技だけではありません。
たとえば「ベンチプレスで、今までは八回しか挙がらなかった重量が十回挙げられるようになった」「ジョギングしていて、これまでより長い距離を走れるようになった」これもまた、立派な勝利です。見ず知らずの赤の他人がメダルを取るより、よっぽど嬉しいことだと思いますよ。
とにかく一度、この「自分だけの勝利」を体験してみてください。WBCの選手を誹謗中傷するよりは、よっぽど楽しい人生になると思います。




