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第6話 想い出のネックレスと甘いご褒美

 夫婦を乗せた馬車はバルジア王国を抜けて、ヴァーリス帝国内へと入った。


「…………」

「…………」


 馬車の中で揺られながら、二人は何も話さない。

 それでも居心地が悪いわけではなく、ただ沈黙の時間に身を任せているだけなのだ。


 シンシアの視線の先には窓の外を眺めるルナリドの姿が映っている。


(心強かった……)


 シンシアの頭の中で先程の光景を思い浮かぶ。



『さあ、返してもらいますよ。私の妻シンシアと私の大事な想い出を!』



 その声色は確かに妹たちに向けられたもので、通りすがりの人間が聞いたら怒号にも思えるかもしれない。

 しかし、シンシアにとって彼の声は頼もしさと自分を守ってくれる優しい声にも聞こえた。


(凛々しくて……私のために怒ってくださった……)


 そう感じて彼女は唇を何度か動かした後、ようやく口を開いた。


「あ、ありがとうございました……」


 その言葉を聞いてルナリドはシンシアに向き直る。

 そして、「いや」と一言だけ答えると、ポケットからネックレスを取り出した。


「これ……」


 それは先程バルジア王宮から取り戻したルナリドとシンシアの心を繋ぐネックレスだった。

 彼は留め具を外すと、彼女を抱きしめるようにして首の後ろに手を回す。


「ルナリド様……」

「じっとしていろ」


 彼の言葉通りに動かずにいると、自分の首に少しの重みが加わった。

 自分の首に再び戻ってきた大事な大事なネックレスに手を添える。


「お前がしていろ」

「でも……!」


 「お母様の形見」という言葉は彼に紡がせてもらえなかった。


「お前に持っていてほしい。俺の大事なものだから。それで、その大事なネックレスごとお前をずっと守る」

「ルナリド様……」


 ルナリドはゆっくりとシンシアの頬に手を添えた。

 愛しいものに触れるように優しくそっと……。


「シンシア」

「はい」

「何があっても守る。俺の最愛のお嫁さんになってもらえるか?」


 その言葉を聞いてシンシアはゆっくりと頷く。


「はい、私をルナリド様のお嫁さんにしてください!」


 シンシアの笑みと共に、二人の影はゆっくり重なった。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

もしよかったらブクマや評価などをいただけますと大変励みになります。


またまもなく新作を始めます。(2026年2月8日(日)20時半ごろ)

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