表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっぱいとしか喋れなくなった勇者に世界は救えるのか?  作者: らいとふっと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/89

傷心の勇者、故郷へ還る

 

「無礼な! 恥をお知りなさい!」


 俺を平手打ちにした上で、聖女ナリアは怒りの形相で睨みつける。


 違う、違うんだ……。

 俺は貴女が待っていた勇者なのに……。


 心でそう言っていても、俺の口が囁いたのは……。



「おっぱい……、おっ……ぱい……」


「もう結構ですから、お引き取り下さい。 私はこれから大聖堂を訪れる勇者様を待たねばなりません」


 その勇者が俺なんだ……!

 屈辱に打ち吞めされ、俺の目からは涙が溢れ出す。


 何か本当の事を伝える手段は無いのか?

 何か、何かが……。



 俯き、項垂(うなだ)れた俺の目に入ったのは、腰に据えられた聖剣クールタン。



 ……そうだ!

 女神に授けられた聖剣を見せれば、俺が勇者だと解るに違いない。



 俺は鞘ごと聖剣を外すと、それをナリアに見せた。



「その剣がどうしたのですか? 大層ご立派な物に見えますが、貴方がそれを持つに相応しい人物とは思えません」


 そう言い放ったナリア。

 まるでゴミを見る様な、軽蔑の眼差しと共に。



「さぁ、出て行って貰おうか。 ナリア様をあれだけ怒らせた以上、君は大聖堂への出入りは今後一切禁止だ」


 いつの間にか数名の聖騎士が俺の背後に集まっていた。

 彼らに引っ張られ、俺は大聖堂を追い出されたのだった……。




 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢




 もう、何もかもが嫌になる。


 世界を救う勇者として選ばれた筈だった。

 それが、この有り様だ。


 悪の魔導士から助けた少女達からは変態扱い、仲間になるかもしれなかった聖女ナリアには平手打ちされて蔑まれた。


 選んでくれた女神には悪いが、これ以上は勇者をやっていられない。

 別に俺がドロップアウトしようが、魔王は聖女が仲間を集めて倒してくれれば良いだろう。


 俺は故郷に帰り、細々と生きて行こうと思う。



 怒り心頭に発しながら、俺は故郷を目指すべく大聖堂から遠ざかるのだった。





 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢





 それから半月程が経過し、俺は故郷である町に戻って来た。

 数ヶ月振りの懐かしい街並みに涙が出てしまいそうだ。


 実は俺は元々、孤児であった。

 近くの森を彷徨っていた薄汚れた2〜3歳の幼い俺を見つけたのが、薬草を採取に来ていた薬師の義父。

 義父は俺を保護すると、義母共々に実の息子の様に育ててくれた。


 そして、義父母には一人娘が居た。

 俺が拾われた時、4歳だった少女の名はサラ。

 義理の姉であるサラは本当の姉弟の様に接してくれた。

 俺がサラ……いや、サラ(ねえ)に対して恋慕の気持ちを深めていったのは言うまでもない。


 それから15年後、俺は女神の神託を受け勇者として覚醒した。

 聖剣クールタンを目にした義父母とサラ姉は、涙を流して喜んでくれていた。


 そして、旅に出る間際。

 魔王を倒して帰還したらサラ姉との結婚、将来を誓い合ったのだった。

 つまりは、許嫁(いいなづけ)である。


 聖女ナリアの酷い仕打ちに耐えられたのも、心に決めたサラ姉の存在があったからだ。

 故郷で待つ彼女が居ればこそ、あの場で暴れる事を自制出来たのだと思う。



 そんな事を考えながら、遂に帰って来た。

 ポーションや薬草を扱う店である家に、優しいサラ姉が待ってくれている家へと……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ