巨乳、ぶっ刺される!
(カマトト神官にクソ乳女……何の用かは知らないけど、今は構ってる場合じゃないわね……。 あのクソビッチから、私の大事なクレイを助けるのが先決よ……!)
クレイを訪ねて来たと語る二人の少女の事より、サラは自らの使命を果たさねばならないと考えた。
「と、とにかくクレイは留守ですので! 私も出掛けますから……それじゃあ!」
そう告げるや否や、サラは足早に走り去ってしまうのだった。
「行っちゃいましたね……。 どうしましょうか、ナリア様?」
「どうもこうも、後を追うに決まってます!」
(アンタ、馬鹿なの? 栄養が頭じゃなくて全て無駄な脂肪に吸収されてんじゃないの、まったく!)
呑気なルーネに苛つきながら、サラの尾行を開始するナリア。
許嫁と名乗った少女、サラはおそらく……勇者クレイの元に向かったに違いない。
何を勘違いしたのか、見目麗しいナリアに嫉妬して会わせたくない、そんなところだろう。
(あんな変態に、この私が好意を寄せる筈がないっつーの! 餌はこのルーネよ!)
サラを追って駆け出したナリアに、慌ててルーネも続くのであった……。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「此処ね、クレイを誑かしたクソビッチが居るのは……!」
サラがやって来たのは、娼館。
勿論ながら、クレイがティアを身請けした事は知る由もない。
「失礼しまぁす!」
物怖じもせず、サラは娼館の扉を開けて中に入って行く。
「いらっしゃ……、ん? 姉ちゃん、此処はアンタみたいな子供が来る場所じゃないぜ?」
受付の男はサラにそう告げる。
「ティアは居ますか? ちょっと用件があるんです!」
「ティア……? ああ、ティセの事か。 あの娘なら昨日、身請けされて連れて行かれたぜ?」
「み、身請け……? ティアが、ですか?」
「ああ。 若い兄ちゃんが大金を持って来たんだよ」
若い兄ちゃん……?
まさか、クレイの事なのだろうか?
だが、娼婦を身請け出来るだけの大金、クレイがいきなり用意出来るとは思えない。
いったいどういう事なのか、サラにも皆目見当がつかない。
受付の男に礼すら言わず、サラは娼館を後にした。
クレイが、クソビッチを身請けした?
いや、普通に考えてもそんな事が出来る訳がない。
「クソビッチが……クレイを利用した?」
そうだ、そうに違いない。
今のクレイの実力ならば、冒険者ギルドで高難度なクエストでも熟せる。
それを前金で引き受けさせ、身請けさせる……つまり、勇者の力を悪用した?
(あのクソビッチだけは許せない、絶対に許せないわ……!)
ティアが如何にして身請けされたのかを、強引に解釈をした上、勝手に怒りを燃やすサラ。
クレイを愛するあまり、完全にメンヘラ&ヤンデレを加速させてゆく。
「あれ……サラ? どうしたの、こんな所で?」
掛けられた声に顔を上げると、そこに居たのはティアであった……!
「捜したわよ、このクソビッチ……!」
「酷いなぁ! でも、アタシはもう娼婦じゃないんだよ?」
「今さっき、中で聞いたわ……クソビッチ」
名前ですら呼んでくれない冷たいサラの態度には、流石にティアの表情も曇ってしまう。
「あはは……。 あ、此処には忘れ物を取りに来たんだけど、アタシに何か用が有ったの?」
それでも、ティアは笑顔を作ってサラに問い掛ける。
「あの二人、何か揉めてますよ?」
「勇者を巡っての痴情の縺れ……そんな感じね。 もう少し様子を見ましょう……」
娼館の脇に身を潜めていたのは、ナリアとルーネ。
こっそりとサラ達のやり取りに聞き耳を立てていた。
「ねぇ、聞きたいんだけどさ? クソビッチなアンタ如きの身請けをクレイがしたって、本当なの?」
「うん、そうだよ。 クー君がね、剣を売ってくれて……」
「はぁ!? 聖剣を……売った……!? クソビッチの為に……!?」
ティアの説明を遮り、サラは明らかに怒りに満ちた声をぶつける。
女神に選ばれたクレイが賜わった聖剣クールタン。
云わば、あの聖剣こそが勇者たる証。
娼婦から解放させる為の金策にクレイを利用し、聖剣を売却させた……。
勝手にそう解釈したサラの怒りの炎は、激しく燃え滾る。
「あの剣が凄く高く売れてね、それで……」
「クソビッチ、殺す……」
「えっ?」
「殺す……殺す……殺すッ!」
何度もそう呟きながら、サラは懐に忍ばせていたナイフを取り出した……!
即効性の猛毒が塗られたナイフである……。
「ナリア様、アレっ……あ、危ないですよぉ! どうしましょう!?」
突然ナイフを翳したサラの姿に、ルーネはあたふたと慌てふためく。
「そうね、ルーネが止めに行ったらどう?」
「えっ?」
「はい、いってらっしゃい!」
突如、ナリアはルーネの背中を強く押した。
「あわわわっ! ナリア様っ?」
バランスを崩したルーネは、そのまま二人の方に向かって行き……。
「殺すッ……このクソビッチがぁッッッ!」
雄叫びと共にティアに肉薄したサラ。
その二人の間に、押し入る様にルーネの身体が割り込み……。
グサリッ!
サラの猛毒が塗られたナイフは、ルーネの胸元に突き刺さっていた……。




