↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Alternative/Warhead ―姉妹戦争―  作者: |日0TK
Practice Training
17/21

12/ berserker 《魔素暴走》

 涼は、ゆっくりとエレオノールに近付く。

 あとは、倒れこんだエリーに鋒を突きつけて終わり。



 ずくり、と眼が疼く。


 ───待つがよいぞ、涼

 うるさい、目玉が喋るな。


 爆音。

 咄嗟に左前腕の小盾を斜めに構え跳弾させる。

 昏倒しているはずのエリーが撃ってきた。

 最高出力とは言えないが、なかなかの破壊力で盾が割れかかっている。


 エレオノールが、弾薬スタックを無言でG11K複合兵器システムから排出する。

 動けないはずでは。

 警戒しつつ、様子を窺う。



 ───あやつ、まことにヒトか?

 …………そうだ。



 再装填、体も起こさずに。


「    く、ふ 」

 エレオノールの唇から笑みが漏れる。


 ずるり、そんな動きでエレオノールが立ち上がった。

 魔力強化術式と魔導加速術式を同時展開して。


「 う  ふふ、  ふふふふふははははははっはははは」


 ───マガツモノではないかえ?

 違う。



 ───このにおい、欧州の蜥蜴の一族ではないか? 我と同類よ。



「───黙れ、潰してくれようか、寄生虫めが」

 ───くか、こわい、こわい。では黙るとするか。



 禍々しい性質のヒトならざる魔素(マギウム)

 ───涼の通常用いる出雲式法では、禍詛(まそ)、と呼ばれるそれ。


「……………これは……まずいな。」

「はァッ…ふふ!あはは!!」

 エレオノールががばっと上体を起こす。薄く開いた唇から紅い舌が覗き、

 その先端から涎の雫が空中に銀色の糸を淫靡に引いて床へとたれる。

 音も無く奇妙に滑らかな跳躍、重量級の部品を扱うゲートクレーンの上端へ着地し、止まった。


 こちらを向く。

 獣のように身を撓め、涼を見下ろす。


 眼が合う。

 月光を背負った、逆光に浮かび上がる黄金色の瞳と。

「暴走か」

 チョーカーは沈黙している。


 理を越えかねないほど強大な出力を制御できていない。

 航宙型フォートフレームの運用上の問題点、それと同じ現象。

 異様に強い魔素を持ちながら、ソレを統べる事を知らない、エリーの弱点。

「まったく、あいつめ、あれのどこが完璧なのだ」

 あの時と全く同じだ。


「AHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAAAAAAHAHAHAHAHAHAAAAA!!」

 月に吠える様に背筋を仰け反らせて天上を仰ぎ獣のように嗤う。

「…………というよりも、エリーの成長率がおかしいのか」

 止めなくては。


 一瞬、腰のHk45T拳銃と予備弾倉に意識が向く。

 これを使うのか?


 エリーに?




 逡巡したのは一瞬。

 エレオノールが跳躍。こちらへ飛び掛る。


 壁面を奔りながらフルオートで撃つ


 ゥヴァアアアアアアアアァァァンンンンンッッッ!

 SEF-A-2の4連装40mmチェーンガンに直接照準射撃されているかのような猛烈な砲爆撃。


「おおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 ギガガガギジギギギギギジジギゴォンッ!

 足を止め被弾するもののみ斬り払う。

 これだけの弾幕、狙われてから躱せるものではない。


 艦長に話を通しておいて良かったな。夜間対地射撃の(嘘だ)

 硫黄島基地から騒音でクレームは来ない、筈だ(多分、絶対)


 ヴェトロフレームの戦闘機動、アクシス・ターン(定常円旋回)の動きで火花を散らし疾走しながら更に撃つエレオノール。

 ヴァアアアアアアァンンンンッッ!!

 後方、開け放たれた格納庫扉、入れ替わって月を背負って立った涼は徹甲弾の猛襲から身をかわした。

 あんなものを連続で斬っていては武器が持たない。


 彼方の凪いで黒い海原が、ヘッジホッグでも炸裂したみたいなとんでもない水柱を上げる。

 しかも無数に。


 ……誤魔化せないな、これは。また始末書か。やれやれ。

 すまんヘルミーナ。



◆



 敵が身をかわす。


 反動で姿勢を失ったエレオノールに真っ直ぐ突っ込んでくる。

 速い、敵の間合いだ。けど。


 柄で殴打しようとして、杖術のように繰り出してくる。


 あのいたい弾で撃とうとしてたら、僕はやられてたよ。

 そんな心配そうな必死な瞳で、僕を殺せやしないよ、りょうねえちゃん。



 足を大きく開いて立ち、殆ど水平に上半身だけ左に倒す。かわした。

 そのまま、殆ど真上にある敵の眉間に、おねえちゃんの銃を突きつける。

 そんな直線的な動きだと中っちゃうよ。


 さぁ力を貸して、おねえちゃん。

 幸福感と共に引き金を―――


 がちん


 ―――引き金が引けない。


 おねえちゃん、どうして。



 ◆



「ふうう……」

 涼は、左の虎拳で気絶させたエレオノールを、そのまま左腕で抱き留め、床に寝せた。

 鞘を拾い、刀を納める。エレオノールの右手を見る。まだ武器を握っていた。

 お守りのように、縋るように、きつく、きつく。

 制御機構部に外部からクラッキングを仕掛けられて制御器が焼き切れ、銃身からも焼け付き煙を吐く、しかしあれだけの無茶をして最後まで作動不良や銃身の破裂は起こらなかったG11Kを。

 呆れた強度だ、全くあいつの思いつきはこれだから困る。

「恨むぞ、エイリア」


 海を見遣り、軽く敬礼する。



 それから、眼帯に使っていた封印鍔をエレオノールの首にペンダントのように吊った。

 魔導回路が抑制されていくのが確認できた。エレオノールの呼吸が落ち着く。


 さぁ、どうしようか。邪眼を開きっぱなしだと、倒れるまで魔素倍加が続く。












 ………とりあえず、寝るか―――


涼「おっそうだZKYMさぁお前チラチラ見てただろ」

ザキ「え、見てないです・・・・(震え声」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。