003
すべての生徒が住居に落ち着いた後、
クラス全員は、各エリアに設けられた
大きな共有ホールへと集められた。
各クラスの正面には、
大型スクリーンが一台ずつ設置されている。
スクリーンが点灯した。
そこに映し出されたのは、
きちんとスーツを着こなした一人の女性。
冷たい表情、
プロの秘書のように正確で無駄のない声。
「これより、
基本的な生活ルールをお知らせします」
「本日より、
生徒一人につき、
毎月100,000円が支給されます」
「この金額は定期的に振り込まれます」
「その使い道については……
各自の判断に委ねます」
室内がざわめいた。
ナムはアキラの方へ身を傾け、
目を輝かせる。
「めちゃくちゃいいじゃん、アキラ。
月に100,000円ってことは……
二か月で200,000円だぞ」
アキラは軽く笑ったが、
何も言わなかった。
スクリーンの女性は続ける。
「あわせて、
競争内容についても説明します」
「各学年には11クラスがあります」
「今後、
クラス同士で競争を行ってもらいます」
「総合得点が下位の三クラスは、
脱落となります」
ナムは即座に頭の中で計算した。
脱落――
つまり、何も得られない。
両手に何も持たずに帰るということだ。
心臓が一拍、速く打った。
「得点は、
以下の項目によって算出されます」
「――学業成績」
「――総合評価」
「――スポーツ」
「――そして、戦略性を伴う副次的なゲーム」
「一位のクラスは11点」
「二位は10点」
「以降、順位に応じて減点されていきます」
「下位三クラスは……脱落です」
スクリーンが消えた。
部屋は、
一瞬の静寂に包まれた。
そしてすぐに、
あちこちでざわめきが爆発する。
だが、ナムは違った。
彼は高揚していた。
部屋に戻るや否や、
ナムとアキラは
すぐに戦略会議を始めた。
「この金、
絶対に簡単な意味じゃない」
ナムは言う。
「無駄遣いはできない」
彼は素早く計算する。
「二人で、
月に200,000円」
「俺の目標は、
最低でも100,000円を貯めることだ」
アキラが彼を見る。
「何のために?」
「パソコンとスマホを買う」
ナムは断言した。
「ここでは、
それが命だから」
それからの日々、
表向きには、
すべてが普通に進んでいった。
生徒たちは、
これまで通り学校へ通う。
だが、
明確な違いが一つあった。
日本では、
高校生が塾に通わなければ、
授業についていくのは
ほぼ不可能だ。
以前、ナムは
家で独学していた。
自己学習能力は非常に高い――
パソコンとオンライン資料のおかげで。
しかし、
ここにパソコンがなければ、
彼は完全に押し潰されてしまう。
ナムはアキラに分析してみせる。
「一人あたり、
塾代は月平均で約35,000円」
「二人分で70,000円だ」
「だからな」
ナムはゆっくりと言った。
「俺は塾に行かない」
アキラは眉をひそめる。
「でも――」
「お前が行け」
ナムは遮った。
「お前が塾で勉強して、
帰ってきて俺に教える」
「それなら金も節約できるし、
成績も最低限は維持できる」
アキラはしばらく黙った。
そして、うなずいた。
「今日は支給日だ」
ナムは続ける。
「絶対、
馬鹿な使い方をする奴が山ほど出る」
そして、
彼の予想通りだった。
10A2区画を出た瞬間、
共有エリアは
すでに大騒ぎになっていた。
特に女子たち――
ぬいぐるみ、装飾品、
どうでもいい雑貨の山。
ナムは一度だけ、
ちらりと視線を向けた。
そして、
別の方向へと歩き出す。
この金は……
生き延びるためのものだ。
彼は、
最初に支給された金を使って、
次の15日分の食料を
購入することに決めた。
この盤上で、
勝者は
最も多く金を使った者ではない。
最も長く生き残った者だ。




