リメイク第二章 次なる地へはアイドルと行く小旅行
シャルロットとの戦いは終わった。けど、これからどうしよ・・・車、ぶっ壊れたんだよね。
「あのさ、車は壊れちゃったでしょ?それなら安心して、もうすぐ迎えのバスが来るからそれに乗ると良いよ。後サムちゃん、あの車安いのも良いけどこの砂漠の気候のせいでエンジンやばかったのよ?私がひっくり返さなかったらどの道ドカンだったんだよ?」
「そ、そうなのか!?」
「爆発には詳しいもんね、だからエンジンとかも燃焼するやつにも結構詳しいよ」
あ〜、シャルロットが車を爆発させたのってそれが原因か。
「そう言えばシャルロットはこれから何処に行くんスか?」
「ん?隣の街でコンサートだよ」
「んー・・・あのさ、シャルロットって軍人なの?アイドルなの?どっち?」
爆破部隊って軍の組織名なんだよな、シャルロットその部隊の隊長で、じゃあアイドルってのは何?
「ふふ、私の爆破部隊は組織名でもあってグループ名でもあるの。軍組織としての爆破部隊は私が隊長、主に爆破解体の仕事とか逆に爆発物処理の仕事もやってたりするよ。で、アイドルグループの爆破部隊はアリアちゃんって子がリーダーで、私は三人いるメンバーの一人なの」
「何をどうしたらそんなグループが・・・」
「あぁ、それ?まー、アレックスさんが国王やってた時、軍のイメージアップしたいなーって言ってて、それをみかみんに相談して、軍からアイドルグループを出したら良いんじゃないか?ってなって、そしたら私が引き抜かれたって感じかな?」
三上、あいつアイドルプロデューサーもやってんの?
「てか、そんなんだとめちゃくちゃ多忙じゃないッスか?しかも、このゲームにも参加してって」
「まー、すごい大変よ?けどおかげで軍の印象はだいぶ良くなったし、私たちのグループは自分で言うのも何だけどこの世界トップクラスの国民的アイドルになれたって思うしね。あ、来た来た!!おーい!イーサーン!!」
この荒野のど真ん中に大型バスがやってきた。そして中からスーツを着た男が一人出てきた。
「どうやら終わったみたいだね。私はイーサン ピークシード、爆破部隊のプロデューサー兼マネージャーをしております。以後お見知り置きを」
イーサンって人はスッと名刺を慣れた手つきで取り出した。
「あれ?イーサン、いつのまにプロデューサーなんかになったの?」
「ん?シィズ?救急隊の仕事はどうした?」
なんだ?シィズさん、知り合いなの?
「まーねー、今は一緒に大冒険中。知らなかった?」
「ニュースではこの四人の勇者の事ばかりだからな」
二人は他愛のない会話を始めた。あ、このバス乗るのなら車から荷物下ろさないと・・・って、あ・・・
車が燃えとる・・・
「てへっ、やりすぎちゃったね♪」
シャルロット、てへじゃないよ。貴重品はシィズさんとサムさん管理してから良いけど、着替えとかそこらへんが・・・後食べ物も・・・
「まーそんなに落ち込まなくても大丈夫だよ、私たちの次の目的地は大きな街だから、そこでまた買えば良いよ」
「すいません・・・ロードサービスですか?はい、デザート地区の横断道のど真ん中です・・・はい」
サムさんが申し訳なさそうに連絡してる。相当この車気に入ってたのか?
「では、そろそろ出発しますので、お乗り下さい」
俺たちはイーサンの案内でバスに乗り込んだ。へー、ロケバスって中こんなんなのか。冷蔵庫付いてるし、あー、メイク台があるんだ。へぇ・・・あ、奥の方テレビで見るコの字になってるやつだ。
で、その奥のコの字のとこに俺たちは座った。そしてなるほど。こんな近くでアイドルに会う事なんて無かったもんだから、リアルってどんなんなんだろって思ったら・・・わお、オーラが違いますわ。
「・・・まーた鼻の下伸ばしてる・・・」
「みんな注目!我が爆破部隊のメンバー紹介するね!まずこの青い感じの子が国民の妹!!シャンデラ グロリオサ!」
「あ、みなさん、よろしくね?」
青い感じ・・・って、まぁそうなんだけどさ・・・イメージカラーなのかね?この子は少し大人しい感じの清楚系って感じだ。何となく零羅ちゃんに雰囲気似てるか?
「はぁ〜・・・凄いですよぉ。テレビで見かけた勇者さんです。あの、良かったらサインを・・・してくれませんか?」
シャンデラって子はもじもじと色紙を俺たちに渡した。あれ?なんか立場逆?
「シャンデラ、勇者様を困らせてはいけませんわよ?貴方様方は自分のサインを持ってはおられないでしょ?」
「あ、そうですね!!すいません!!」
「あ、まぁ・・・うん」
「おーい続けるよー、それでこの・・・オレンジな感じの彼女がグループリーダー!!アリア スターティス!!」
さっきもチラッと名前聞いたけど、この人がアリア・・・なんか、めっちゃお嬢様って感じ!!なんか髪のクルンの具合がそんな感じ。
「シャルロット、わたくしはオレンジではありませんわ、山吹色と何度も言いましたでしょうに」
口調もそれっぽいし。むしろ、淑女?
「あはー!いまいちよく分からなくて」
「まぁ仕方ありませんわね、シャルロットは爆弾以外に興味はありませんもの。扨、わたくしが先ほど紹介に預かりました。アリア スターティスですわ」
「あ、どもッス」
何かこの人の前、緊張するわ・・・麗沢も汗どっぷり、まぁこいつ、女の子と話す機会が全然無かったしな・・・かく言う俺も地味にそんな話した事ないけど!
「で!この私がゆるふわピンク担当!!シャルロット レッドローズちゃん!!」
どこがゆるふわだ、髪型だけだろがい。あんたはむしろハツラツ担当だろ。あんな爆弾ばら撒くゆるふわ女子なんて聞いた事ないわ。
「まぁそんな訳で宜しくねー。じゃ、後は向こうまではまだ時間かかるし、何かゲームする?」
「いや、流石に眠いッスから・・・寝ていいッスか?」
正直今の俺の気分はアイドル目の前にして緊張よりも、眠い・・・
「ふぁぁ、拙者もでござる・・・流石に魔法を乱用し過ぎたでござるな」
「あー・・・あ、なら膝枕してあげようか?」
ぶーっ!!!!
エルメスが飲んでいた水が俺にぶっかけられた。冷たい・・・
「あら?あぁ、なるほど・・・シャルロット、これは面白い話ですわね」
なに?隣のアリアさん、なんかめっちゃ不敵に笑ってる・・・てか、その視線俺に?俺なにかした?
「でしょ?エルメスってばサクラっちの事・・・」
「ぎゃぁぁぁっ!!シャルロット!!ちょっと!!違うからっ!!」
あん?エルメスなに暴れてんの?
「シャルロット、まぁその辺にしておきなさい?ですが、膝枕はいい案ではなくて?ここまで頑張られた勇者さん方にわたくし達が出来るせめてもの応援は、ここでしっかりと彼らに休息を取らせる事ですもの。膝枕くらいしか出来ませんが、お望みならばわたくしたちの膝をお貸ししますわ」
え、いやまじで?てかアリアさん、エルメスに有無を言わせない。なんか付け入る隙が無い・・・
「な、ならサクラ!!私の膝使いなさいよっ!私そんなに疲れてないし!それに前にもしてあげたでしょうが!!それとおんなじ!!はい!ここっ!!」
「んがっ!!」
頭押さえんな!!てか、息できん・・・あ、まじで意識飛ぶかも・・・力、入らなくなって来た・・・
「オホホホ、作戦大成功・・・」
「フフフ、単純な子ですわねエルメス・・・面白いですわ・・・」
なんか、悪意に満ちた小声が聞こえる・・・そのまま俺は本当に意識が飛んでしまった。
「ん、ふぁぁ・・・」
むくり、俺は起き上がった。ここはまだバスの中、みんな寝てるなぁ。エルメスも完全に寝てるな・・・起こさないようにそっと置いたおこう。
「あら?起きられました?」
あ、アリアさんは起きてる。てか、麗沢を膝枕してんの?
「まぁ、寝起きはいい感じッスね」
「疲れが癒やされたのならよろしくてよ、エルメス様も安らいでいらっしゃいますわね」
「あ、本当だ。珍しくいい笑顔で寝てる・・・なんの夢見てんだろ?」
「さぁ、それにしても膝枕は、乗せる側も意外と良いものですわね。普段見れない人の表情を、この時だけは覗き見れる。レイサワ様もそう、普段明るく振る舞ってらっしゃられますが、これまで不安も大きかったのでしょう。とても可愛らしい表情で寝てますわ」
アリアさんは麗沢の変なアフロをゆっくりと撫でる。良かったな麗沢、こんな美人に膝枕だぞ?いくら二次元派と言っても、嬉しく無い訳ないよな?
「むぉぉ・・・せんぱい、それは後で食べる・・・」
「ふふ、この子も何の夢を見てるのでしょうかね?」
「こいつの夢は多分食う事ばっかりッスよ。大概寝ぼけてるとこんな感じの寝言を良く言うんス」
「そうですか、ならお腹いっぱいお食べなさいな・・・」
この人ほんと、アイドルと言うより・・・みんなのお姉様って感じか。なんか、慈母って言葉がしっくりくる・・・おばさん臭いとは言わないよ。言ったら俺の身体は破片すら残らないだろう。
バスは目的地の街に到着した。
「で、シャルロットたちはこれらライブなんスよね?なら俺たちはレンタカーかなんかで先に行くんスか?」
とりあえずここまでは一緒に行動してたけど、ここで別れざるを得ないだろ。けど、このバス以外の移動手段・・・って、ここ、そもそも車がいないんだけど。このバス以外の自動車走ってないけど?
「あぁ、それなら私がこの街唯一のレンタカー屋さんで予約しておいたよ。前のやつよりちょっといいやつね」
良かった、シャルロットほんと計算高いな・・・シャルロットは予約の紙っぽいのを持ってる。
「ん?シャル、それ・・・日付明日からになってないか?」
イーサンがその紙を見て眉間に皺を寄せて指差した。
「へ?あ・・・」
すんごい低い声出たな・・・
「あ、あー・・・どしよ?日にち間違えちゃってた・・・ご、ごめん!!」
シャルロットはペコペコと謝る。
「やれやれですわね、これだから詰めが甘いと言われるのですわよ?って、聞いてませんわね」
「わたわた!!えっと!!アレでこーなるから!ここでこの日にこーして、あー!!」
この子、テンパると途端にポンコツになるのね。
「んー、今日借りるってのは出来ないんスか?」
「今日はもう予約いっぱいなのよー!!」
どうしよ・・・ここで待ちぼうけってわけにもいかないし。
「この街ってまだ自動車が珍しいもん、けど私こう言うとこ好きだよ?田舎思い出すもんね。はぁ・・・おうちのお馬さん今どうしてるかなぁ・・・あ、そうだ。お馬さんなら借りられると思うよ?確かね、近くに馬を貸してくれる所があるの!!」
「シャンデラちゃん、ここ詳しいッスね」
「うん、だってここ小さい頃からよく来てたもん。私の家ここから数時間の牧場なのね」
あー、なるほど。シャンデラは俺たちを引っ張りながら馬のレンタルのとこに来た。
「へー・・・こんな店があったのか。知らなかったな・・・」
「私もだ。そもそもデザート地区は環境のせいか、まだ道路の整備が追いついてない。ここに出入りするのも一苦労な場所だからな」
イーサンとサムさんは後ろの方で色々話してる。
「おじちゃん。あの、お馬さん八頭くらいって借りられる?」
シャンデラはやたら高めのフロントに顔を出して呼びかけた。
「ん?おー!シャンデラちゃん!!久しぶりじゃねーか!!そう言えばコンサートで来るって聞いたな!!馬八だったな・・・って、あ!!勇者たちか!!こんなとこまで来てたのかよ!!てか!!それに爆破部隊のメンバー二人も来てんの!?何っ!?俺の店どーなんの!?」
「あのね、勇者様たちが車壊れちゃったからお馬さんを貸して欲しいの。私たちはこれからそのコンサートの準備に入るから」
「あー。そう言う事なら協力するぜ!異世界の勇者が俺の『馬屋敷』を使ったなんて、いい宣伝になる!!ちょっと待ってな!!」
店の人は奥の方へと行ってしまった。
「さてと、そろそろ私たちも行かなきゃね。名残惜しいとこだろうけど、ここでバイバイか」
「そうですわね、後はお任せしてよろしくて?」
「問題ないッスよ、アリアさんたちもコンサート頑張って下さいッス!」
「またお会いしましょー!!」
ここでアイドルたちとはお別れだ。
「・・・サクラ、任せたよ・・・」
そしてその去り際、シャルロットはそう言って俺の肩を叩いた。何だ今の・・・
俺たちはアイドルを見送った。
「にしても、最初シャルロットと戦った時はどうなるかと思ったッスけど、何とかなりそうッスね」
「・・・・」
「ん?睡蓮どうしたんスか?あ、もしかして誰か推しが出来た?」
なんか睡蓮がぼーっとしてたから茶々入れてみた。
「っ!?あ、いやなんだった?」
「いや、心ここにあらずって感じだったから、てっきり・・・相当膝枕良かったんスか?」
「ん?あれは流石に恥ずかしいから、俺は一人で寝てたけど?」
あら、そうなのね・・・
「あ、おーい。勇者達よー、馬用意出来たんだが、ちょいと問題があってな?来てくれー」
なんか店の人に呼ばれた。




