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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第68話:『おばちゃん、孤独の影の雪原に立つ』

怒りの影を癒したあと、

トモエたちはさらに北へ向かっていた。


空気は次第に冷たくなり、

風は鋭く頬を刺す。


ユウトが震えながら言う。


「おばちゃん……

 さっきまで暑かったのに……

 急に寒なってきた……」


カイルは白い息を吐きながら頷いた。


「ここから先は“雪原地帯”。

 孤独の影が現れる場所です」


リリアは胸に手を当てた。


「孤独の影……

 沈黙や怒りとは違う……

 もっと静かで……深い影……」


セイルは静かに言った。


「孤独は、心の奥底に潜む影。

 誰にも言えない寂しさが積み重なって生まれます」


トモエは拳を握った。


(孤独の影……

 誰かがずっと一人で泣いとるんやろな)


(うちは……

 その孤独を抱きしめたる)


「よっしゃ。

 雪原、進むで!」


---


◆ ◆ ◆


◆ 雪原の村 ―― “つながり”を失った人々


雪原を抜けると、

小さな村が見えてきた。


しかし――

村には人の気配がほとんどなかった。


ユウトが不安そうに言う。


「おばちゃん……

 なんか……

 誰も外に出てへん……」


カイルは村の家々を見渡しながら言った。


「人はいる……

 でも、誰も家から出てこない……

 まるで“つながり”を断っているようです」


リリアは胸を押さえた。


「孤独の影……

 人と人の間に“壁”を作る影……」


セイルは頷いた。


「孤独の影は、

 “誰にも頼れない”という感情から生まれます。

 この村の人々は……

 互いに関わることを恐れている」


トモエは村の中央に立ち、

周囲を見渡した。


(誰も出てこない……

 声も聞こえへん)


(孤独が……

 村全体を包んどる)


そのとき――

一軒の家の扉が、

ゆっくりと開いた。


中から出てきたのは、

小さな女の子だった。


ユウトが驚く。


「おばちゃん……

 子どもや……!」


女の子は震える声で言った。


「……だれ……?」


トモエは優しく微笑んだ。


「うちはトモエや。

 あんた、名前は?」


女の子は小さく答えた。


「……ミナ……」


リリアはしゃがみ込み、

優しく声をかけた。


「ミナちゃん……

 どうして村のみんなは外に出ないの?」


ミナは涙をこらえながら言った。


「……みんな……

 こわいの……

 だれかと話すの……

 だれかに頼るの……

 ぜんぶ……こわいの……」


ユウトが胸を押さえた。


「そんな……

 そんなの……寂しすぎる……!」


カイルは静かに言った。


「孤独の影が……

 村の人々の心を閉ざしている……」


セイルは頷いた。


「孤独の影の核は、

 “誰にも頼れなかった心”。

 この村のどこかにいるはずです」


トモエはミナの頭を撫でた。


「ミナちゃん。

 あんたは……

 誰かに会いたいんか?」


ミナは涙を流した。


「……おかあさん……

 おかあさんに……

 あいたい……」


トモエは息を呑んだ。


(ミナちゃん……

 お母さんと離れ離れなんか)


「ミナちゃん。

 お母さんはどこにおるん?」


ミナは震える声で言った。


「……雪の森……

 ひとりで……

 いっちゃった……

 “わたしなんていらない”って……」


ユウトが叫んだ。


「そんな……

 そんなこと言うわけないやろ!!」


リリアは涙をこらえた。


「ミナちゃんのお母さん……

 孤独の影に飲まれて……

 自分を責めてしまったんですね……」


セイルは静かに言った。


「孤独の影の核は……

 ミナの母親です」


トモエは拳を握った。


(ミナちゃんのお母さん……

 あんた、どれだけ一人で泣いたんや)


(うちは……

 その孤独、抱きしめたる)


「よっしゃ。

 ミナちゃんのお母さん、探しに行くで!」


---


◆ ◆ ◆


◆ 雪の森 ―― 孤独の影の核


雪の森は静かだった。

風の音すら吸い込まれるような、

深い深い静寂。


その中心に――

一人の女性が座り込んでいた。


ミナの母親だ。


しかしその身体は、

黒い霧に包まれていた。


ユウトが息を呑む。


「おばちゃん……

 あれ……!」


カイルは震える声で言った。


「孤独の影の核……

 ミナちゃんのお母さん……!」


リリアは涙を流した。


「こんなに……

 苦しんで……」


セイルは静かに言った。


「孤独は、

 “自分は必要とされていない”という痛みから生まれます。

 彼女は……

 自分の存在を否定してしまった」


トモエは女性に近づいた。


「ミナちゃんのお母さん。

 あんた……

 なんでこんなところにおるん?」


女性は震える声で呟いた。


「……わたしなんて……

 いらない……

 ミナにも……

 村にも……

 だれにも……」


ユウトが叫んだ。


「そんなことない!!

 ミナちゃん、泣いてたで!!

 “お母さんに会いたい”って!!」


女性の肩が震えた。


「……でも……

 わたしは……

 ミナを守れなかった……

 だから……

 そばにいる資格なんて……」


トモエは女性の手を握った。


「資格なんていらん。

 ミナちゃんはな……

 あんたが必要なんや」


女性は涙を流した。


「……でも……

 わたしは……

 弱い……

 誰にも頼れない……

 ひとりぼっち……」


トモエは首を振った。


「頼ってええんやで。

 弱くてええんや。

 人はな……

 誰かとつながって生きるもんや」


女性は震えた。


「……つながって……

 いいの……?」


トモエは微笑んだ。


「ええよ。

 あんたは一人やない」


女性の身体を包んでいた黒い霧が、

ゆっくりと光に溶けていった。


孤独の影の核は――

癒された。


---


◆ ◆ ◆


◆ 村に戻る“つながり”


ミナは母親の姿を見るなり、

泣きながら駆け寄った。


「おかあさん!!

 おかあさん!!」


母親はミナを抱きしめ、

涙を流した。


「……ごめんね……

 ごめんね……

 ミナ……」


ユウトは涙を拭った。


「よかった……

 本当によかった……!」


カイルも胸に手を当てた。


「孤独の影が……

 消えました……!」


リリアは微笑んだ。


「つながりが……

 戻ったんですね……」


セイルは静かに言った。


「これで“孤独の影”は癒されました。

 しかし……

 影の王の気配は、さらに強まっています」


トモエは空を見上げた。


(影の王……

 あんたの影、

 あと一つや)


「よっしゃ。

 次は“絶望の影”や!」


虎柄シャツが雪風に揺れ、

おばちゃんは最後の影の地へ向かって歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第68話では、

孤独の影の核――“自分はいらない”と信じ込んでしまった母親の心

が描かれました。


孤独は、

“誰にも頼れない”という痛みから生まれる影。


ミナの母親が抱えていたのは、

弱さではなく、

“つながりを失うことへの恐れ”。


おばちゃんの光は、

その孤独を優しく抱きしめ、

つながりを取り戻しました。


次回、第69話では

絶望の影の気配が漂う“古代の大陸”へ向かう旅の始まり

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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