第67話:『おばちゃん、怒りの影の核と向き合う』
怒りの影の外殻が暴れ狂う火山地帯。
赤い地面は震え、熱風が吹き荒れ、
空気そのものが怒りに満ちていた。
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!
あいつ、暴れすぎや!!」
カイルは杖を構えながら言った。
「外殻だけでこの力……
本体はもっと強いはずです!」
リリアは涙をこらえながら言う。
「怒りの影……
こんなに苦しんで……!」
セイルは冷静に分析した。
「怒りの影の核は、
“裏切られた心”です。
外殻を倒しても意味がありません。
核を見つけ、癒さなければ」
トモエは拳を握った。
(怒りの影の核……
どこかにおる)
(怒りは悪やない。
怒りは、心が傷ついた証拠や)
「みんな、外殻はうちが引きつける!
その間に核を探して!」
ユウトが叫ぶ。
「おばちゃん!!
危ないって!!」
トモエは笑った。
「危ないのはいつものことや!」
虎柄シャツが熱風に揺れ、
トモエは怒りの影の外殻へと飛び込んだ。
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◆ ◆ ◆
◆ 怒りの影の核 ―― 火山の裂け目にて
カイルが魔力を探りながら言った。
「怒りの波動……
外殻とは別の方向からも感じる……!」
リリアは震える声で言った。
「この先……
火山の裂け目……!」
セイルは頷いた。
「怒りの影の核は、
“閉じ込められた心”の中にいます。
火山の奥へ行きましょう」
ユウトは決意を込めて言った。
「おばちゃんを一人にせぇへん!
行こ、みんな!」
四人は火山の裂け目へと走り出した。
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◆ ◆ ◆
◆ 火山の奥 ―― 一人の青年
火山の奥は、
赤い光に照らされた静かな空間だった。
その中心に――
一人の青年が座り込んでいた。
黒髪で、
まだ若い。
しかしその表情は深い絶望に染まっていた。
ユウトが息を呑む。
「おばちゃん……
あの人……!」
カイルは震える声で言った。
「怒りの影の核……
あの青年の心……!」
リリアは涙をこらえた。
「こんなに……
苦しんで……」
セイルは静かに言った。
「彼が“裏切られた心”の持ち主。
怒りの影は、彼の心が生んだものです」
青年はゆっくりと顔を上げた。
その瞳は、
怒りと悲しみで濁っていた。
「……来るな……
誰も……信じられへん……」
ユウトが震える声で言う。
「そんな……
そんなこと言わんといて……!」
青年は叫んだ。
「信じたら……裏切られる……
信じたら……奪われる……
信じたら……壊れる……!!」
カイルは息を呑んだ。
「これは……
深い裏切りの痛み……!」
リリアは涙を流した。
「誰かを信じたのに……
その人に裏切られた……
その怒りが……影になったんですね……」
セイルは静かに言った。
「怒りは、悲しみの裏返し。
彼は“怒っている”のではなく……
“悲しんでいる”のです」
トモエは青年の前に立った。
「なぁ。
あんた……
誰に裏切られたん?」
青年は震えた。
「……仲間や……
信じてた……
命を預けた……
せやのに……
置いていかれた……」
ユウトが涙をこらえながら言う。
「そんな……
そんなの……辛すぎる……!」
青年は叫んだ。
「怒りなんか……
出したくなかった……
せやけど……
心が……燃えて……
止まらへんかった……!!」
トモエは青年の肩に手を置いた。
「怒ってええんやで」
青年は目を見開いた。
「……え……?」
トモエは優しく言った。
「怒りは悪やない。
怒りはな……
“傷ついた心の叫び”や」
青年の瞳が揺れた。
トモエは続けた。
「裏切られて、
悲しくて、
苦しくて……
怒るのは当たり前や」
「怒りを出したらあかんなんて、
誰が決めたんや?」
青年は涙を流した。
「……でも……
怒ったら……
誰かを傷つけてしまう……」
トモエは首を振った。
「怒りをぶつけるんやない。
怒りを“聞いて”もらうんや」
青年は震えた。
「……聞いて……くれるんか……?」
トモエは微笑んだ。
「聞くで。
あんたの怒りも、悲しみも、全部」
青年は泣き崩れた。
「……悔しかった……
怖かった……
裏切られたのが……
怖かったんや……!!」
トモエは青年を抱きしめた。
「せやな。
怖かったんやな」
青年の身体から黒い霧が溢れ、
それはゆっくりと光に溶けていった。
怒りの影の核は――
癒された。
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◆ ◆ ◆
◆ 外殻の消滅
外で暴れていた怒りの影の外殻は、
青年の心が癒された瞬間――
――スゥ……
静かに消えていった。
ユウトが涙を拭いながら言う。
「おばちゃん……
怒りの影……
消えたんやな……!」
カイルも胸に手を当てた。
「怒りの核が癒されたことで、
外殻も消滅しました……!」
リリアは微笑んだ。
「青年さん……
救われたんですね……」
セイルは静かに言った。
「これで“怒りの影”は鎮まりました。
しかし……
影の王の気配は、さらに強まっています」
トモエは空を見上げた。
(影の王……
あんたの影、
全部癒したる)
「よっしゃ。
次は“孤独の影”や!」
虎柄シャツが熱風に揺れ、
おばちゃんは次の影の地へ向かって歩き出した。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
第67話では、
怒りの影の核――裏切られた青年の心
が描かれました。
怒りは悪ではなく、
“深い悲しみの裏返し”。
青年が抱えていたのは、
怒りではなく、
「裏切られた痛み」と「助けてほしい心」。
おばちゃんの光は、
その痛みを受け止め、
怒りの影を癒しました。
次回、第68話では
雪原の地に潜む“孤独の影”
が描かれます。
これからも、おばちゃんの物語を
どうぞよろしくお願いいたします。




