表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

211/211

第212話:『おばちゃん、“心の重さに沈む”』

静寂の谷の奥へ進むにつれ、

空気はさらに重くなっていった。


風は完全に止まり、

音は吸い込まれ、

世界はまるで“深い水の底”のように静まり返っている。


ユウトは胸に手を当てた。


「おばちゃん……

 なんか……

 息が重い……

 胸の奥が……

 ぎゅってなる……

 これ……

 土の試練のせいなんか……?」


トモエはユウトの背中を軽く叩いた。


「せや。

 ここは“心の重さ”がそのまま空気になる場所や。

 苦しくなるんは……

 心が反応しとる証拠やで」


カザミは風をまとおうとしたが、

風はすぐに消えた。


「風が……

 完全に押し返されてる……

 土の気配が強すぎる……

 ここは本当に危険だよ」


リリアは震えた声で言った。


「なんか……

 涙が出そう……

 理由はないのに……

 胸が苦しい……」


カイルは地面に触れ、驚いた。


「地面が……

 脈打ってる……

 まるで……

 大地そのものが“心”を持っているみたいです……!」


セイルは静かに言った。


「土は……

 心の“重さ”を映す。

 後悔、罪悪感、責任……

 そういった重い感情ほど……

 大地は重くなる」


エルミナは祈るように言った。


「……どうか……

 心の重さがあなた方を押し潰しませんように……」


シアは谷の奥を見つめた。


「来るよ……

 土の試練の第一段階が」


その瞬間──

地面が震えた。


---


◆ ◆ ◆


◆ “重さの間”へ


谷の奥に、

巨大な石の門が現れた。


門には複雑な紋様が刻まれ、

その中心には“沈むような影”が揺れている。


ユウトは息を呑んだ。


「おばちゃん……

 あれ……

 なんか……

 見とるだけで胸が苦しい……」


トモエは門を見つめた。


「ここが“重さの間”やろな。

 土の試練の第一段階や」


カザミは眉をひそめた。


「この門……

 “心の重さ”が一定以上になると開く仕組みだよ。

 つまり……

 軽い心では入れない」


リリアは震えた。


「軽い心じゃ……

 入れない……?

 そんな……

 試練って……

 普通逆じゃない……?」


カイルは記録を読みながら言った。


「土の試練は……

 “重さを抱えた者”ほど進める……

 と書かれています……

 土は……

 重さを支える力だから……!」


セイルは静かに言った。


「心が軽い者は……

 土に沈めない。

 重さを抱えた者だけが……

 大地に触れられる」


エルミナは祈るように言った。


「……どうか……

 大地があなた方を受け入れますように……」


シアはユウトを見つめた。


「ユウト。

 あなたは……

 重さを抱えている。

 だからこそ……

 この試練を越えられる」


ユウトは胸に手を当てた。


「うち……

 影の底のことも……

 火の試練のことも……

 おばちゃんに迷惑かけたことも……

 全部……

 まだ重いままや……」


トモエはユウトの肩を抱いた。


「それでええんや。

 重さがあるからこそ……

 支えられるんや」


ユウトは涙をこぼした。


「……うん……

 行くで……

 重さの間……!」


---


◆ ◆ ◆


◆ 土の影が“重さ”を映す


石の門がゆっくりと開き、

一行は中へ足を踏み入れた。


中は広い空間で、

天井は高く、

壁は土でできており、

空気はさらに重かった。


ユウトは胸を押さえた。


「おばちゃん……

 ここ……

 息が……

 重い……

 なんか……

 胸の奥が沈んでいく……」


トモエはユウトの背中を支えた。


「大丈夫や。

 ここは“心の重さ”を映す場所や。

 苦しくなるんは当然や」


そのとき──

地面が盛り上がり、

土の影が立ち上がった。


リリアは息を呑んだ。


「また……

 影……!」


カザミは真剣な表情で言った。


「これは……

 “重さの影”……

 心の重さそのものが形になった存在……!」


カイルは震えた声で言った。


「重さの影は……

 “後悔”や“罪悪感”を刺激する……

 心が重いほど……

 影は強くなる……!」


セイルは静かに言った。


「土は……

 心の重さを映す。

 軽い心には優しく、

 重い心には厳しい」


エルミナは祈るように言った。


「……どうか……

 影があなた方を飲み込みませんように……」


影は揺れ、

ユウトの前に立った。


---


◆ ◆ ◆


◆ ユウトの“重さ”


影は、

ユウトの姿に変わった。


ユウトは震えた。


「また……

 うち……

 なんで……

 影が……

 うちになるん……?」


影のユウトは、

重い声で言った。


『……まちがえた……

 にげた……

 まもれなかった……

 ぜんぶ……

 おまえの……

 せい……』


ユウトは胸を押さえた。


「やめて……

 そんなこと……

 言わんといて……

 わかっとる……

 うち……

 いっぱい間違えた……

 いっぱい迷惑かけた……

 全部……

 重いんや……!」


トモエはユウトの肩を抱いた。


「ユウト。

 重さはな……

 悪いもんやない。

 重さがあるからこそ……

 前に進めるんや」


ユウトは涙をこぼした。


「でも……

 苦しい……

 重い……

 逃げたい……!」


トモエはユウトの手を握った。


「逃げてもええ。

 でもな……

 逃げた先でも、

 あんたはまた立ち上がる。

 うちは知っとる」


ユウトは涙を拭った。


「……うち……

 重さを抱えたままでも……

 進みたい……

 おばちゃんと一緒に……

 前に進みたい……!」


影が揺れ、

土が崩れ落ちた。


重さの影は、

ユウトの言葉に応えるように

静かに消えていった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 重さを越えて


影が消えると、

空間の重さが少しだけ軽くなった。


ユウトは深呼吸した。


「おばちゃん……

 うち……

 少しだけ……

 軽くなった気がする……」


トモエはユウトの頭を撫でた。


「せや。

 重さを認めたからな。

 それが……

 土の試練の第一歩や」


シアは前方を指差した。


「見て。

 次の道が開いたよ」


カザミは頷いた。


「次は……

 “支える試練”……

 土の試練の第二段階だよ」


トモエは拳を握った。


「よし……

 行こか。

 次の試練へ」


ユウトは頷いた。


「うちも一緒に行くで!」


一行は、

土の試練の第二段階へ向かって歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第212話では、土の試練の第一段階

“心の重さ”と向き合う試練が描かれました。


今回のポイントは、


• 静寂の谷は“心の重さ”が響く場所

• 重さの影は後悔や罪悪感などの“重い感情”を映す

• ユウトの重さが影を呼び、向き合うことで軽くなる

• 土の試練の第二段階“支える試練”への道が開く



という、土の試練編の本格的な始まりとなる回でした。


次回、第213話では

“支える試練”──誰かを支えることで自分の重さと向き合う回

が描かれます。


これからも、おばちゃんとユウトの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ