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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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199/213

第199話:『おばちゃん、“霧に映る本心”を見る』

水鏡の湖へ向かう道の途中。

一行は、白い霧が立ちこめる森の前で足を止めた。


霧は静かで、

風の谷のような優しさはなく、

ただひたすらに“深い”。


ユウトは腕をさすりながら言った。


「おばちゃん……

 なんか……

 寒い……

 胸の奥がざわざわする……

 影の底とは違うけど……

 なんか嫌な感じや……」


トモエはユウトの肩に手を置いた。


「ここは“水の霧の森”。

 水の精霊が心を映す場所や。

 ざわつくのは……

 心が反応しとる証拠やで」


カザミは霧の流れを読みながら言った。


「水の霧はね……

 “隠している気持ち”を引き出すの。

 風が心の表面を撫でるなら、

 水は心の底を揺らす」


リリアは不安そうに言った。


「じゃあ……

 また影が出てくるの……?」


カイルは頷いた。


「水の試練は“心の影”を映す試練です。

 影の底とは違い、

 形が曖昧で……

 心の揺れに合わせて変化します」


セイルは静かに言った。


「水は……

 “本心”を映す。

 普段は隠している感情ほど……

 霧に浮かび上がる」


エルミナは祈るように言った。


「……どうか……

 水があなた方を拒みませんように……

 心が乱れれば……

 霧は道を閉ざします……」


シアは森の奥を見つめた。


「来るよ。

 “水の心の影”が」


その瞬間──

霧が渦を巻き、

森の奥に“影”が立ち上がった。


---


◆ ◆ ◆


◆ “水の心の影”が姿を持つ


霧の中に立つ影は、

人の形をしているが、

輪郭が揺れ、

水のように透き通っていた。


ユウトは息を呑んだ。


「おばちゃん……

 あれ……

 人影みたいやけど……

 水でできとる……?」


カザミは真剣な表情で言った。


「あれは……

 “水の心の影”。

 この森に入る者の心を映す存在」


リリアは震えた声で言った。


「じゃあ……

 あれって……

 誰かの心……?」


カイルは影を観察しながら言った。


「水の影は……

 “その場にいる全員の心”を拾います。

 つまり……

 あれは誰かひとりの影ではなく……

 全員の“本心”が混ざった影……!」


セイルは静かに言った。


「だから形が曖昧……

 誰の影でもあり、

 誰の影でもない」


エルミナは祈るように言った。


「……どうか……

 影の声に飲まれませんように……」


シアは影を見つめた。


「水の影は……

 “本当は言えなかった気持ち”を映す。

 だから……

 聞くのが一番つらい」


影は揺れ、

声を発した。


『……こわい……

 さみしい……

 みとめて……

 みすてないで……』


ユウトは胸を押さえた。


「……これ……

 うちの声に似とる……

 影の底で聞いた声と……

 少し似とる……」


リリアは涙をこぼした。


「私にも……

 聞き覚えがある……

 これ……

 私の……

 不安の声……?」


影はさらに揺れ、

今度は別の声を重ねた。


『……まもりたい……

 でも……

 こわい……

 まもれなかったら……

 どうしよう……』


ユウトは驚いた。


「これ……

 おばちゃんの声や……!」


トモエは息を呑んだ。


「……うちの……

 心の底……?」


カザミは静かに言った。


「トモエ。

 あなたは強い。

 でも……

 “守れなかったらどうしよう”という不安は……

 誰よりも強い」


トモエは胸を押さえた。


「……うちは……

 誰かを守りたい。

 でも……

 守れへんかもしれんって……

 怖いんや……」


影は揺れ、

さらに声を重ねた。


『……たすけて……

 ひとりにしないで……

 こわい……』


今度は──

カザミの声に似ていた。


カザミは目を見開いた。


「……これ……

 私の……

 心……?」


セイルは静かに言った。


「水の影は……

 “隠している本心”を拾う。

 カザミも……

 ずっと孤独だったのだろう」


カザミは唇を噛んだ。


「……風の巫女は……

 ひとりで風を読む役目だから……

 誰かに頼ったらいけないって……

 ずっと思ってた……」


ユウトはカザミの手を握った。


「カザミ……

 ひとりやないで。

 うちらが一緒におる」


カザミは涙をこぼした。


「……ありがとう……

 ユウト……」


影は揺れ、

静かに形を崩していった。


---


◆ ◆ ◆


◆ 水の影が“道”を示す


霧が晴れ、

森の奥に光が差し込んだ。


カザミは涙を拭いながら言った。


「水の影は……

 あなたたちを認めた。

 これで……

 水鏡の湖への道が開かれる」


ユウトは胸に手を当てた。


「おばちゃん……

 うち……

 また心が軽くなった気がする……」


トモエはユウトの頭を撫でた。


「うちもや。

 自分の本心を見たからこそ……

 前に進めるんや」


シアは森の奥を指差した。


「さあ、行こう。

 水鏡の湖はすぐそこだよ」


一行は、

水の試練の本番へ向かって歩き出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


今回の第199話は、

水の霧の森で“水の心の影”が一行の本心を映し出す回

として、前回とはまったく違う構成で描き直しました。


今回のポイントは、


• 水の影は“全員の本心”を拾う存在であること

• ユウトの孤独、リリアの不安、トモエの“守れない恐怖”、カザミの孤独が映し出されたこと

• 水の影が一行を認め、水鏡の湖への道が開かれたこと



という、水鏡の湖編の核心に向けた重要な展開です。


次回、第200話では

水鏡の湖に到着し、“水の試練”が本格的に始まる回

が描かれます。


続きも、心を込めて書くね。

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