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第二章「飛行の果てに」0
ぎらぎらと強い日差しが滑走路を焼いている。乾いたアスファルトに巨大な影が映った。高速で飛行するそれは、怪物じみた奇声を発し、前哨基地の上空で宙に浮いたまま静止する。
オゼインシェルターの小型ドームの中、建物から飛び出した一人の軍人がシェルター越しにその姿を見た。
鈍色の巨大な翅。体に不釣り合いなほど巨大な顔と嘴。
その巨体は、翼面から溢れ出る白光の元で浮いていた。
軍人が目の前で何が起こっているのか、理解した時、ことは既に遅かった。
腹のハッチが開いて、幾つもの爆弾がなだれ落ちる。爆弾の雨はオゼインシェルターをあっさりと突き破って地表に着弾。基地の上空を巡回するように飛ぶ巨体は、爆弾を容赦なくばら撒いた。ジェーム(有人飛行兵器)や、自走砲台が収納された格納庫が破壊されていく。建物から火炎の花が咲き、黒煙の柱が連なる。
鉄骨の柱も屋根も、まるで模型が壊れるように簡単にひしゃげて崩折れた。
背後でジェームの爆発。崩れ落ちる格納庫。
破れたシェルターから強すぎる紫外線が降り注ぎ、軍人は基地の終幕を見ることなく意識を失った。