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38.旅立ち

あれからとうとう二週間。

旅立ちの日がやってきた。

家の魔石も取り外したし

食料も作れるだけ用意した。

荷物は全てアイテムボックスの中なので

かなり身軽。

本当に便利だよなー。

この世界の人って旅行も仕事や学校に

行くのってかなり身軽なんだろうな。

俺たちの世界なら出張なんて

パソコン持ってスーツ持って

泊まりなら替えの衣服持ってそれからぁ〜って

すごい荷物の量になるけど、こっちなら

そんな重い荷物を持たなくて済むんだもんな。

しみじみとスキルのありがたさに感謝する。

あとはご挨拶はとっくに済ませてるし・・・

残るは結界を張るだけだな。

この度の要であるグリの準備も整ったようだ。

久々の遠出になるだろうと

入念に水浴びして毛づくろいをして

グリなりに身支度を整えていた。

ポヨは・・・。

ご承知の通り特にいつもと変わらず

ポヨポヨ跳ねてる。


「じゃ、そろそろ行くか。

グリ頼むぞ。」


「あぁ。任せておけ。」


グリはいつものように頭を低く下げて

俺を乗せてくれる。

俺の肩にはポヨもいる。


「では、参るぞ」


グリは巨大な翼を広げ

大地を力強く踏みしめ軽やかに舞い上がる。


バサっ



ドッドッドッド



トーーーーーーン



巨大な翼を羽ばたかせどんどん地面から

遠ざかりあっという間に俺たちの家は

小さくなり見えなくなった。


横に見えるのはこの島唯一の山。

ヘンリーさんが薬草を求めて訪れた所だ。

本来、馬での旅なら2、3日はかかるところも

グリならひとっ飛びだ。

あまり長時間だとたぶん俺の体がもたない。

最近はグリの速さに慣れたとはいえ

それは短時間の話。

グリは1日でも普通に飛べるぞ

とか言ってたけど俺はそんなの体がもたない。

今回は休憩なしで10分ちょいの所だから

さほど問題なく行けると思う。

目的地はヘンリーさん達の滞在地バリェの街の

一つ手前にある町に降り立つ事になっている。

そこは大型の空を飛ぶ従魔の玄関口というか

船でいう港のような役割をしているらしい。

この世界ではまだまだ貨物の運搬は海が主流で

空は個人の行商人が多いそうだ。

理由は海より空の方が危険度が高いとか。

もちろん海にも恐ろしい魔物がいるし

天候にも左右されて危ないのは変わらないが

空にはドラゴンがたまに飛んでいるし

大陸間移動となると休憩ポイントがないので

飛び続ける事が大前提になる。

そうなると従魔の種類が限られてくるそうで

さらに体力のある魔物になると

従魔契約も困難になるため海と比べると

比較的少ないらしい。

海は休憩するのも浮いているだけなので

疲れたら休む事が容易にできるんだとか。

まぁ、船だもんな。待てよ?もしかして

船じゃなくて魔物なのか?

うーーーん

俺にはわからんな。

とにかく数は少ないが空飛ぶ従魔が

いないわけではないので

整備がされているそうだ。


『おい下を見てみろ

あそこはこの島の港町だ。』


『おぉ!初めて見るよ!』


上からではあまりよくわからないが

今までの木々の緑の色とは違い

人の生活圏だけあって緑は少ないな。

流石にこの高さではどんな建物があるとかまでは

見ることはできない。

いくつかポツンポツンと出てくる街を越えると

俺たちの下を飛ぶ従魔が見えた。

グリと比べるとかなり小さく見える。


『おい、下に見える魔物。

あれがヒッポグリフだ。』


『あれがそうなのか?

グリと比べると随分小さいんだな』


『あれが小さいわけではなく

我が大きいのだ。キンググリフィンは

小型のグリフィンの倍以上はあるからな。

小型のグリフィンは大型のグリフィンの

半分しかない。だから馬との交配もなんとか

できたのであろうな。』


『そうなのか。人族でも小さな人もいれば

大きな人もいるから、そうやって考えると

納得だよ。』


『そろそろ着く頃だ。

しっかりつかまっておれ。』


『わかった』


鳥の習性なのかなんなのか知らないが

着陸の時はいつも急転直下だ。

これだけは何度乗っても

慣れることはない・・・キタキタキタ!


「ヒェーーーーーーーーー」



フワリ



バサッバサッ



「お主の情けない声は相変わらずだな。」


「ぜぇーーぜぇーーすーーぅはあぁぁぁぁ。」


「わ、悪かったな。」



「それにしても途中で降りるのをやめるなんて

お前らしくないな。

どうした?」


「うむ、結界があるな。

これ以上は近づけぬぞ。」


「でも他の従魔は降りて行ってるよな。

どういう事だ?」



タッタッタッタッタ



「おーーーーい!タークーミーどーのぉぉぉ〜」


「おい、下で人族の小僧がお主の名を叫んでおるぞ」


「そうなのか?お前よく聞こえるな。

しかもあの人達もよく俺たちってわかったな。」


「結界の力ではないか?

近づくものを監視しておるのかもな。」


「なるほど。だけどどうする?

入れないんじゃ、どうしようもないぞ。」


「ん?何やら下でやっておるぞ」


「あ、あれはっ!すげぇな。

グリ、あの指し示す方向に飛んでくれ。

何かあるかも知れない。」


魔法で色のついた煙を出して

大きな矢印をだしている。



グリはそのまま矢印が示す方へと

ゆっくり進んでくれた。


すると城塞都市の外に

先程と同じ色のついた煙で

地面をマークするように大きな円が

描かれ横には円に向かって

目立つ赤色の煙で矢印がついている。


「グリ、あそこの円まで降りられるか?」


「うむ、結界はないようだ。行くぞ。」


どうやら街全体をドームのように結界が

かけているようだが、どうして他は

入れて俺たちは入れないんだろう。



「ヒ、ヒ、ヒェーーーーーーーーー」


お決まりの急転直下、本日二度目。



「ぜぇーーぜぇーーすーーぅはあぁぁぁぁ。」



フワリ


バサッバサッ



ドサッドサッドサッ



「つ、ついたな。」


「あぁ。」


離れたところから人が

こちらへ馬に乗って駆けてくる。



「おい、あの馬、食っていいか?」


「グリ、何言ってんだ。ダメに決まってんだろ」


「チッ」


「タークーミーどーのー!」


「あれは・・・

ジャックさんかな?」


パカラッパカラッパカラッパカラパカラパカッ。


「タクミ殿よく来たな。

すまなかったな。

従魔契約の登録申請は出していたんだが

不備が多くて通らなかったんだ。

それで急遽こっちに来てもらった。

悪い事しちまったな。」


「いえ、ここまでの大掛かりな手配

大変だったんじゃないですか?

ありがとうございます。」


「そんなん大した事ねぇよ。

とりあえずそういう事だから

まだ、城塞都市には入れねぇんだ。

そこで登録する役人やら何やら

ここに引っ張ってきたんだ。」


「そ、そうなんですか?!」


大抵は従魔を置いて城塞都市の

入り口の門とかで申請するらしい。

初めての従魔申請でこんな大きな魔物なんて

まず居ないからそれで問題なく済んでるとか。

あと従魔登録証をすでに持っている人。

例えば1匹でも従魔がいる人は

申請、登録してなくてもとりあえずは

結界の中に入れるらしい。

そしてさっきのような港に降り立って

門をくぐる際に追加申請をするとか。

これは野生の魔物からの攻撃や侵入を

阻止する役目があるとか。

防犯もしっかり出来てるんだなぁ。

身分証明すら持ち合わせていない俺は

当然通れるはずがないよな。


「タクミ殿の身分証明書をまず作るぞ。

ついてきてくれ。グリ殿は悪いがここで待機していてくれ。」


「はい。ありがとうございますジャックさん

グリちょっと待っててなぁ〜。」


「うむ。」


「タクミ殿、よかったら普通に話してくれ、

俺は堅苦しいのが苦手でな。

ジャックでいいぞ。」


「そうなんですか。

呼び方はジャックさんのままでいきますよ。

話し方は普通にするね。」


「そうか、まあ好きに呼んでくれ。

どうも丁寧な言葉は苦手でな。

使えんこともないんだが

こっちの喋りの方が気楽なんだ。」


「そうなんだ。そういえば

アーロンさんはいつも誰にでも物凄く

丁寧な話し方だよね。」


「あれもクセだろうな。

あいつの家の人間はみんなあんな感じの

話し方だ。」


「じゃジョージ君のところは

みんな、っす!ってつけるのかな。」


「あいつの家はやたら肉体派というか

脳筋というか・・・。ま、それぞれでな。」


の、脳筋・・・。あはは

なんだか想像つくわ。


「こっちだ。」


原っぱにテントが設置されていて

中に机と椅子がありそこに

3人の男女が座っていた。


三人ともはっきり言って信じられないものを

見たという顔をしている。

一人は目をパチクリさせ

一人は目と口両方とも開いたまま硬直

一人は青い顔をしている。


「待たせたな。登録してもらえるか?」


三人は声をかけられ、初めて俺たちの存在に

気がつき慌てて立ち上がった。


「ジャック殿こ、これは・・・。」


「目にしたものが全てだ。

あんた達の仕事をしてくれりゃあ

俺は助かるんだがなぁ。」


「こ、これは失礼。

ではさっそく、そちらの方

こちらのクリスタロスの前へどうぞ。」


「はい。」


どうやら呼ばれたようなので

その男の人の目の前に置いてある

キラキラした透明の板の前に立った。


「では手をかざして少し魔力を注いで下さい。」


「こうでしょうか?」


すると透明だった板が緑色に光った。


「そのまま、かざしていてください。」


「はい。」


「ヘルスチェック」


次は何か魔法を唱えた。

だが色は変わらず緑のまま。

さらにいくつか魔法を唱えていたが

全て緑色だったので

問題なくスムーズにいったようだ。


「はい、結構ですよ。」


「はい。」


「では次にこちらへ」


年配の女性がまた同じ板の前に立っていた。


「同じように手をかざして頂けますかしら?」


「はい。」


「マジックタイプ、オープン」


すると今度は俺の属性が表示された。

もちろん全属性とでる。


「おや、珍しいですね。全属性とは。」


「そ、そうなんですか?」


「えぇ。まぁ、一年に数人の登録がありますが

極めて貴重とも言えますわよ。

2〜3属性の持ち合わせは結構多いですが

全属性や特殊属性を持っていらっしゃる方は

珍しいですね。」


「そ、そうですか。」


俺にはどれが特殊属性なのかすらわからない。


「ちなみに特殊属性というのは?」


「特殊属性は色々ありますが

光や無属性などでしょうか?

音の属性もありますわね。

光は回復魔法であったり

無は創造魔法であったり

創造魔法の方は火や土、風などと

属性を持ち合わせていることが多いですね。」


そうか。創造魔法に必要だよな。

クリエイトをする時に必要だもんな。

ところで音ってなんだ?


「あの音ってどんな魔法使いますか?」


「音ですか?音はまだよく解明されていない

分野ですね。音は今のところある一族の

必須属性になってます。

攻撃にはあまり使えないイメージですけど

美しい音楽を奏でるのに必要ですね。

生活魔法にスピーカーなど音の魔法も

含まれているので分類分けは

ごく最近のことです。

素質があるとその一族が身分に関係なく

スカウトに来て

音楽のスキルを磨かせて雇用してくれるので

音属性も分類分けされるように

なったんですのよ。」


「そうなんですか。」


「えぇ、ただスキルを磨くのは

大変なことですから幼少の頃から

磨かないと厳しいので

これからの雇用となると貴方は

難しいと思われます。残念ですね。」


「残念ということは、お給料が

良いと言うことですか?」


「お給料?給金の事かしらね?

とっても好待遇よ。

だから勿体無いと思いまして。

属性が沢山あっても

やはり時間をかけてスキルを磨かないと

雇用は難しいのですわ。」


やはり世の中甘くないよな。

簡単に言うとスキルの伸びる素質が

属性で表されるって事なんだろうな。

やはり努力が必要って事だ。


「詳しい説明ありがとうございます。」


「いえ、それでは次にお進み下さい。」


俺は最後メガネ?だよな。

メガネをかけ帽子を被った男の人の前に進む。


「ではこれで最後になります。

ステイタスの一部の従魔契約が

きちんと行われているかの確認です。

それ以外を見る事は法律で

禁止されておりますのであしからず。」


「は、はぁ。」


「タクミ殿、プライバシーの侵害ってやつさ。

昔は全て見せないといけなかったんだけど

見た情報を悪用して売ったりする奴もいてな。

それで法律で縛るようになったんだ。

大体産まれてひと月程で子供の登録をするから

才能のある子供は人さらいに狙われて

売られたりしたんだよ。」


「なるほど!恐ろしいですね。」


「だから今は子供だろうが大人だろうが

ステイタスは基本、従魔契約以外は

見られないようになってる。

大人でも普通に闇奴隷商とかに

売られちまうからな。」


「そ、そうなんですか。」


あぁ。やっぱり魔物より人の方が

怖いかもしれない。


「こほんっそれではよろしいかな?」


「あっ、すみません。」


俺はまた手をかざす


「ステイタス、オープン、ディペンデンスィー」


すると目の前に文字が現れた。


ーーーーーー 結果 ーーーーーー


【従属関係】


キンググリフィン グリフィスの主人


エンザイムスライム ポヨの主人


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「な、なんと!キンググリフィンだと!」


「君、どうやって従属関係を築いたんだ?!

それにエンザイムスライムなんて

聞いた事ないぞ?

これは発見だ。公表すれば凄いことになる!

どうやったんだ!」


ものすーーーーーーーっごい剣幕でまくし立てる

メガネおじさん。


すると笑顔だがドスのきいた低い声で


「おい、あんた仕事を忘れてやしないか?

誰の命令でこうしてここで登録作業をしている?

あんたらがグダグダ信用しなかったから

あのお方も心を砕き時間を割いて

手続きをしているんだ。

あの方だから優しいが俺らは違うぞ。

あまり手を煩わせるなよ。

あんたも今後出世したりしたいだろ?」


「だ、だが。これは素晴らしい発見だ。

こんな若い奴だけに任せず、

我らのようなきちんとした機関にだな・・・」


「ほう?つまり俺らが信用できないという事か。

ひいてはあのお方やご家族の意向が

あんたは聞けないとそういう事だな。」


どんどんメガネおじさんの顔が青ざめていく。


「そ、それは・・・その・・・。」


「別に俺も仕事をするだけなんでな。

問題が発生すりゃあ報告するだけだ。

オタクのギルドマスターとは

話は済んでるんだ。

それをあんたが目で見ないと信じられん!

許可がだせんっつーから今に至るわけだが

必要以上の詮索が目的なら他の奴に

頼むからいいぜ。」


「い、いや、すまなかった。

つい興奮してしまったんだ。

他意はない。どうかこの事は内密に願いたい。」


「そりゃーあんたの出方次第だろ?

ちゃんと仕事をすればいいんだよ。

もちろん他言無用だ。

人のステイタスの情報を誰かに売ったら

間違いなく犯罪者として収監されるがな。

まぁ、あんたもそんな事は俺に言われなくとも

も、ち、ろ、ん、わかってるよなぁ?」


「そ、それはもちろん。約束する。

申し訳なかった。」


「さっすがエリートだな!

話がわかるあんたで助かったぜ。

あんがとよ。

さぁ、話は済んだ。

とっとと身分証発行してくれや。」


「はい。」


「ではタイプをお選びください。

ネックレスタイプと腕輪タイプがありますが

どちらにされますか?


「じゃ腕輪でお願いします。」


ネックレスだとチェーンが千切れて

落ちたりしたら困るもんな。


「では利き手とは反対の腕をお出しください。」


別の女性が俺に話しかける。


「はい。」


俺は左腕を出した。


女性は小さな石を持ち俺の腕に魔法をかけた。


「クリエイト」


すると俺の手首が光を放ち

先程、女性が持っていた石がはめ込まれた

腕輪がはまっていた。


「こ、これは?」


「そちらが身分証となります。

その石の中にあなたの情報が入っています。

さらにその腕輪は引っ張るなどの力を加えても

伸びるだけで外れませんので

水なども弾きますし物理攻撃は効かない

大変万能なものです。

取り外す事も可能ですが

紛失防止のため、あまり取り外しは

お勧めしておりません。

そしてもし盗難にあっても他者には

使えませんのでご安心ください。

その石の中にあなたの魔力が入っておりますので

それが違うものであれば使用不可となります。」



しまった。

それならネックレスにすればよかった。


「あ、あのーやっぱりネックレスに

変更してもらうことって・・・。」


「できますが別途費用がかかりますよ。」


「あっ!でしたら、これで十分です。

ありがとうございます。」


人のお金で作ってもらってるのに

贅沢は良くない。

今後俺自身が稼いで後々変更すればいいや。


「あとマジックマネーについて・・・」


「あぁーいいよ。それはこっちで説明するわ。

俺の大将が首をながーーーーくして

待ってるんだよ。

余計な事で時間くっちまったしな。


なぁいーよな?テイマーのおっさん?」


「は、はい。もちろんだとも。」


「おっ!悪りぃな。

あんがとよ。

んじゃ、タクミ殿、先を急ごうか。」


「は、はい。」


少し離れてから


「よかったんですか?説明ぶった切って」


「あぁ。俺らが説明するし

言葉で言われるより

使って試した方がわかりやすいからな。

それに話ナゲェだろ。

グリ殿やポヨをこれ以上待たせるのは

悪いからな。

ジロジロ見られるのは

やっぱ嫌だろうからな。」


「お気遣いありがとうございます。

なんかジャックさんが出迎えてくれた

理由がわかったよ。」


「ん?どういうことだ?」


「さっきのメガネのおじさんとのやりとり

別人かと思ったよ。

迫力?威圧感っていうのかな?

それにおじさんを簡単に言いくるめてたし。

でもなんか憎めないというか

あんな芸当、他にはできないと思うよ。

それにグリ達のことまで気を配れる

頼もしい兄ちゃんって感じだな。」


「俺の仕事をしたまでだよ。

それに詮索なんて

本来やっちゃならねーことなんだよ。

だが、きっとあのおっさん普段からやってるな。

従魔使いもよ、特殊な従魔連れてると

攫われたりすんだよ。だから強く言ったのさ。

かなり強い従魔連れてても家族とか

人質にとられたりとか、

世の中悪どい奴もいてな。

特に庶民からの叩き上げはよく狙われるんだ。

だからすぐにギルドに加入して

守ってもらう意味もある。

ギルドに加入してたら何かあれば

すぐわかるからな。

城門から出るときに一応出入りは

記録されるが、それだけじゃ何かあったとは

気づかないが元気に仕事してたやつが

何日も顔出さなきゃギルドもおかしく思うだろ?

それに離れた場所で連れ去られても

依頼が完遂できなかったり

完遂後に元の街や他の街のギルドに顔出さなきゃ

また、あいつどこいった?ってなるからな。

それが特殊な従魔のテイマーならなおさらだ。

そういう点でもギルド加入は意味があるんだよ。」


「そうなんだ。

じゃあ俺もギルドに加入した方が

良さそうだね。」


「あぁ、だが後でアーロンが詳しく

説明すると思うが

ここじゃなくて国元の大きなギルドに

顔がきくからそっちで登録するといーぞ。」


「何から何まですみません。

費用まで出してもらってその上

こんなに親切に・・・」


「はい、そこまでだ。

タクミ殿からはもっとすごい事

してもらってんだ。

この程度で礼なんて言わねーでくれよ。

俺やヘンリー様は命を救ってもらったんだぞ?

一生かけても返しきれん恩だと俺らは思ってる。

しっかり甘えてくれりゃーいーんだよ。」


「しかし、感謝の気持ちくらいは

伝えさせてくれよ。」


「ははは。タクミ殿は本当にいいやつだな。」


「あっ!そういえばタクミでいいですよ。

殿とか言われ慣れてないんで」


「おっそうか?んじゃ遠慮なくタクミって

呼ばせてもらうぜ。」


「はい。」


そんな話をしながら俺はグリ達の元へ向かう。


読んで頂きありがとうございます。

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