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39.初めての街

「グリ、ポヨお待たせ。」


「うむ、うまく事は済んだのか?」


「あぁ、ジャックさんのおかげでな。」


「ほう、では次はどうするのだ?」


「グリ殿、次はここから馬で

20分くらいの場所に向かって欲しい。

どうされる?飛んで行かれるか?

それとも獅子で走って行かれるか?

それによっては行き先が変わるんだ。

飛んでいくなら城門を通らず

ある場所へ降り立って欲しい。

俺と同行してくれるなら

次の城門に向かって頂きたい。」


「グリ、俺少しは街並みも見たいから

ジャックさんに同行しないか?」


「お主がそういうなら獅子でいくとするか。」


ピカーーーーーッ


おっおおおおお!


俺らをジーーーッと見ていた人達から

驚きの声が上がりそのあと変身したぞ?とか

なんだあのデカさは?とかざわついている。

そりゃざわつくよね。

俺も初め見た時めっちゃ驚いたもんな。

グリは周りの事は眼中に入ってないかのように

平然としている。

こういう時、こいつ王様なんだなって思うよ。

下々の事なんて目に入ってないみたいな

堂々とした振る舞い。

さすがだよ。


「んじゃグリ頼むな。」


「うむ。」


「では行くか。」


「はい。」


パカラ、パカラ、パカラ、パカラ


「ところでジャックさんの乗ってる馬

黒々としたいい毛並みの馬ですね。」


「おっ?馬の事わかるのか?」


「えぇ、爺ちゃんが馬好きだったので。

少しだけだけど。」


「そうか、こいつはグラニ種って言ってな。

この国で一番速く走る従順な馬なんだ。

元々のグラニって馬がこの世界を創造した

オーデン様の愛馬の子孫って言われててな。

そのグラニはオーデン様が人に下された馬で

それを代々大切に育てながら子孫を増やして

今じゃ軍馬や乗馬用の馬として愛されてるんだ。」


「そうなんですね。じゃあ元々は魔物って事ですか?」


「そうだな。かなり年月が経ってるそうだから

普通の馬と餌とかも変わらねーし従順なんだが

魔物に近いやつもいてな。

グラニの血が濃いのかわからねぇが

テイムしないと乗れないやつもいる。

だけどよぉ、そういう奴は雷魔法が使えたり

こうやって普通に乗れる馬よりも

力も強けりゃ足も速い。

それに信頼関係をちゃーんと作れば

魔力量が少なかろうとちゃんと応えて

従魔契約させてくれるんだ。

しかもその後めちゃくちゃ尽くしてくれる

いい馬なんだぜぇー。

こいつらの中のエリートみたいなもんだな。」


ジャックさんはかなりの馬好きなんだな。

グリが馬が好物って知っているんだろうか。

悲しい顔をされそうだな。黙っとこう。


「すごい馬ですね。

ジャックさんもグラニ種を持ってるんですか?」


「あぁ、軍馬と乗馬用の四頭所有してる。

俺は少ない方だな。」


「四頭ですか?1人で乗るには多くないです?」


「そんな事ないぞ。戦に出るならもっと数がいるな。

本格的に参戦する時は

一か八かで違う種の馬を調達するんだ。

調達ができない時のためのグラニ種って感じだな。」


「一か八かの馬ですか?」


「あいつらであろう?アハイシュケ。

奴らはここ数十年、戦が好きなようだからな。」


「よく知ってるなグリ殿」


「なんだ?そのアハなんちゃらって。」


「海の馬の魔物でな。

お前も幾度か目にしておるだろ?

グラシュティンを。あいつらは湖や川だが

それの海に住まう馬どもだ。」


「おぉ、あれか!

でもそれならグラシュティンとかでも良さそうだけど

何か違いでもあるのか?」


「グラシュティンはなぁ〜。

いい魔馬なんだけど解放した後がタチが悪くてな。

呪いをかけてくる奴らなんだよ。

俺様の自由を奪いやがって!

とかいってな。

散々、人肉食い漁って呪いかけてくるから

アハイシュケの方が俺らにとっちゃ

有難い魔物なんだよ。」


「ヒェーーーー。呪いかよ!」


「しかも女が好物で

たまに黒髪の美男子のなりしやがってよ。

誘惑とかするんだぜ。

まぁ、引っかかる女も少ないけどな。

なんせ耳は馬のままっていう間抜けな変身だからな。

たまに子供の女の子におじちゃんお耳がお馬さんだよ。

とか言われててよ。笑っちまうよ。

でも馬の姿の時はよく人間が引っかかるらしくてな。

あれだけの名馬ならわからんでもないが

呪い付きじゃなぁ。」


「みんな知らないんですか?

呪い付きって知ってたら売れないんじゃ?」


「それが欲しがる奴もいるんだよ。

呪われちまえって思う相手に

馬の贈り物したらどうなるかわかるだろ?

馬の贈り物はよくある事だからな。

しかも秘密裏に手に入れた

呪いをとくポーションがあるので大丈夫です。

とかいってよ。」


「ヒェーーーーーーー。

ものすごくヤバいやつだよ。それ。」


「いい馬を持ってると自慢できるんでな。

自己顕示欲ってやつか?

まぁ馬に目が眩んで呪われちまうか食われちまうのさ。」


「こ、怖い。」


「だろ?そう思えば呪わない凶暴なやつの方が

まだ手懐けやすいんだよ」


「でもそんな馬、どうやって。」


「戦時の時なら簡単さ。

人肉が食べ放題な戦へのお誘いをするのさ。

これが一番簡単に入手できる方法。

他にもいくつかあるがな。」


「うぅ。随分現実的だな。」


「さて、そろそろさっき入れなかった

結界の街に着く頃だ。

あそこに城門が見えるか?」


「はい、壁が凄いですね。」


「まっどこもこんなもんさ。」


「真ん中で並んでる列があるが

俺らは話が通してあるから、

別の小さな門から手続きをする。

付いてきてくれ。」


「はい。グリ頼むな。」


「うむ。」


パカラッパカラッパカラッ




城門では多くの並んでいる人を横目に、

なんだか豪華な門へと進む。

いいのか?俺みたいな奴が使って。

めっちゃ場違い感半端ねぇぞ。

すると衛兵さんがジャックさんに駆け寄り

何やら話をしている。

その後その衛兵さんはクリスタロスを手に持ち

俺の元へ来て


「身分証を拝見致します。

こちらへかざして魔力を注いで下さい。」


「はい。」


言われた通りに魔力を注ぐ。

すると緑に光り、さっき確認された

ヘルスチェックやら従魔の確認をしていたのだが

当然、引っかかった。


「こちらの魔物はキンググリフィンには見えませんが、どういう事でしょうか?」


「あー。キンググリフィンは変身できるそうだ。

安心しろ。この姿は登録時にも確認済みだ。」


「左様でしたか、これは失礼いたしました。

それでは良い旅を。」


「ありがとうございます。」


なんだろう?思ったより簡単に通れたな。

横の門は時間がかかってそうだけど。

やっぱりジャックさんの力だよな。

ヘンリーさん達って一体何者なんだ?


「タクミ、相談なんだがなぁ。」


「なんでしょう?」


「グリ殿のことだ。

身分証の従属関係の欄に特筆事項で

姿が獅子とワシに変えられるって記載した方が

後々、旅に出る時便利じゃないかと思ってな。

だが、グリ殿の能力を明かすことにもなっちまうからよ。

だからどうしたものかと思ってな。」


「たしかに毎回引っかかりますよね。

絶対に。なぁ、グリどうしたらいいと思う?」


「我は別に構わんぞ。

獅子やワシになるのは我ぐらいだ。

特に問題はなかろう。

だが、それで獅子やワシが乱獲されても

我は責任はとれぬぞ。」


「そうですね。

その可能性はありますね。」


「どういう事だ?」


「詐欺だよ。

この獅子はグリフィンが変身したものですよー

とかな。このワシは〜とかよぉ。

そうやって騙して金儲けしようとする

バカが出てきて乱獲されるかもって話だよ。」


「あぁ。納得です。

そういう人、いそうですね。

でも獅子やワシってそんなに簡単に

狩れるものなんですか?

しかもグリって毛並みとか羽とか翼とか爪とか

クチバシとかめちゃくちゃ綺麗なんですけど

こういう鳥や獅子っているんです?

俺、魔物の事ほとんど知らなくて。」


「いや、こんなに美しいワシや獅子は

見たことがないな。

だが世の中には色をつけたりして

珍しい種類だとか言うんだよ。

その努力を良いことに使えよと思うけど

やつらもやつらで生活があるから必死なのさ。」


「はぁー。

聞けば聞くほど涙ぐましい努力ですね。

水浴びなんかしたらすぐ色が落ちて

普段の姿に戻っちゃうから

バレる前にとっとと姿をくらますとかになるわけですよね?」


「そういうことだな。」


「さて、どうしましょうかね。」


「グリ殿の許可は頂けたしアーロンに相談するさ。

あいつは知恵者だからな。」


「ありがとう。ジャックさん。」


城門の中に入ると道は石畳でできていて馬車も

通りやすい舗装された広々とした道になっている。

道の左右には木骨作りの三、四階建ての家が立ち並び

一段上がったところはアーケードのようになっていて

雨でも問題なく行き交いができそうになっている。


道に面しているところは住居ではなくお店屋さんだ。

この世界で見る初めての店屋。

旅に必要そうな消耗品なんだろうか?

そういうものや服屋などもある。

少し進むと路地が出てきて広い路地や狭い路地もあり

狭い方は島民が利用するのだろうか?

従魔と歩くには少し道幅が狭い。

その先にも商店が並んでいるようで店先には

肉などが売られている。

衛生面はというとあまりよくはなさそうだ。

俺たちが歩いている大通りはまだマシだが

路地の方はちょっと足を踏み入れるのに躊躇する。

石畳みでできた道ではあるが

排水設備が整っていないのか

なんだかジメッとしている。


これは長靴が必要だな。

みんなブーツのような靴を履いているのは

そういう環境下だからなんだろうか?


さらに道を進むとひらけた広場にでた。

そこでは露店が所狭しと立ち並び野菜や果物、

干し肉やお酒などの食料品や土産物。

おっ、豚の顔がある!すごい迫力。

ヤシの実もあるな。パンかな?あれ。

平べったい丸い形の物が切り分けられて売っている。

他にも服や反物、髪飾りやアクセサリー、

ハーブやポーション。

旅に必要そうなマジックアイテムらしきものや錬金釜。

魔法使いが使いそうな杖に俺では使い方のわからないものなどが店先に置かれ広げられている。

俺がキョロキョロしていると


「ここは街は小さいが大型の魔獣の停泊所があるから

色んなものが入ってくるんだ。

行商人達はここからさらに国元に戻って商売をするが

小銭稼ぎでここでも店を出したりそういう

運搬人を狙って旅用品とかも揃えられてるだ。

なんか必要なものや欲しいものがあったら買ってやるぞ。」


完全田舎から出てきた弟に街を案内する兄貴だな。

めっちゃ優しい。


「ありがとう。ジャックさん

でも先を急ぐし見るだけにしておくよ。」


さすがに買わせるのは申し訳ないしな。


「とりあえず衣服はこちらで用意もしてるから

それでよかったら着替えてくれや。

もし気に入らなかったらまた違うのも揃えるしよ。」


「えっ!すでに用意してくれてるの?

それはかなりありがたいけどなんだか悪いな。

布は貴重だって言ってなかった?

高級品なんじゃ・・・」


「まぁ、そう気にするな。

気を遣いすぎると老けるのが早いぞ。

眉間や額にシワがよって

あっという間にじいさんだ。」


「言えてるね。

それにしても色んな人や魔物がいるね。」


「あぁ。

基本的にはグランド王国の者が多いな。

たまに旅行者とかで他の国の者もいるがな。」


「俺、魔物以外の人って

ジャックさん達しか見たことないから

獣人とか初めて見るけど大きい人が多いんだね。」


すれ違う中に人族だけでなく獣人もいる。

犬っぽい人ややたらセクシーな猫っぽい人。

それから小柄なうさぎっぽい人。

ていうか、あれエジプトのアヌビスじゃないか?

マジか!あの犬?ジャッカルっぽい人


「ジャックさん、あの黒い体毛の獣人さんって」


「おお、ありゃールクブラー連邦の住人だな。

砂漠の多い地域なんだけどよ。

あっちは高価な鉱物や塩だろ?

それから他にもガラスの原料になる砂だとか

俺はあんまり詳しくねぇが

資源が豊富で金持ちが多いんだよ。

だから富裕層なんかはふらっと

旅行とかもできちまうんだろうな。

ほら見てみろ、あっちの猫の獣人。

シンプルな服装だが綺麗な金の糸を使って

刺繍なんかされてるだろ?

あれなんてものすごい高価なんだぜ。」


「ん?バ、バ、バステト?

マジか?!すげぇーー!

タイムスリップした気分だ!」


「バステト?タイムスリップ?

なんだそりゃ?」


「あ、いえ、つい興奮しちゃって

俺の住んでいた所とは別のところなんだけど

お話でバステトって言う神さま?

王様に仕える乳母?詳しくはわからないけど

そういうメス猫の人がいて

お話自体はそれほど知らないんだけど

外見とかは絵でよく知られた存在なんだよ。」


「へぇーーー。そうなのか。

だが、近いものはあるかもな。

その国の富裕層の侍女をしていることもあれば

乳母をしている者もいるようだからな。

あっちは貧富の差も結構あるからな。

たしかあの種族は恵まれた地位にいるはずだぞ。」


「そうなんだ。国によっても獣人とか違うの?」


「そうだな。

人族でも違うからな獣人も同じさ。

それに獣人だけでなくエルフや

ドワーフもいるからな。

姿形はみなそれぞれさ。」


「そうだよね。じゃ職業とかも違いがでそうだね。」


「あぁ、あそこにいるダシュプースは薬師が多いな。」


見てみると、うさぎの獣人だ。

ダシュプースって言うんだ。


「俺よくホーンラビットと森で遭遇したけど

近い種族なの?」


「あー まぁ、全てオーデン様が創造した

生物と言われているからなぁ。

俺らも詳しい事は分からねえがそうかもしれねえな。

魔物の方が先に産まれてその後に獣人や人族が産まれたと言われてるからな。」


「そうなんだ。」



そんな会話をしながら進んでいると

また城門が出てきた。

城塞都市の出口だ。

ここから手続きをして出立し

次の目的地であるバリェへと向かう。

この先は道はきちんとあるが結界はないので

街の時とは違い

警戒しながら極力早めに駆け抜けるという事だ。


読んで頂きありがとうございます

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