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Magic & Dimension 20

●

「アレが、ここに隠れていたらアレが来て……」ユウキちゃんが口早に説明した。


 これもエリア5の降臨ボス、名前は……、ゾッズケゥ……やっぱり長ったらしいので覚えていない。俺たちのギルドでは顔入道とか、みみず口とか呼んでいる。


「部位破壊を」俺が言うとユウキちゃんは頷いた。


 ネジ巻きを捲き上げる様な音微かに響き始め。それは部位破壊準備詠唱呪文ディレイの効果音。タイムディレイの詠唱時間は長い。クールタイムは0。詠唱終われば即座に。部位破壊(クラッシュ)。クラッシュの詠唱時間は0。


 小屋の向こう側で肉の飛び散る音びちゃっと響いた。ズンっと巨大な顔が沈んだ。けれど再び持ち上がった。開口部をベキベキと壊しながら顔を突っ込んできた。再び口が開く、大きく。


 俺はステータス画面見た。カウント。0.03、0.02、0.01、0.00、ステータスバー・グリーン。俺はコマンドログモードに切り替え、スピアタップ。


 小屋の屋根のはるか上空で金属音轟いた。次の瞬間。入道の顔が強張り、固まった。パリパリと青白い電流、顔まで走った。口からドロッと吐瀉物を吐き出した。俺たちの目の前に転がってきた物は。


 溶けかけた人間の首。


 ドロッと流れて湯船を満たした人間の内臓、腕の一部。


 あふれた血まみれのお湯でずぶ濡れになった。堪え難い臭いに包まれた。


 ユウキちゃんが悲鳴をあげ、泣きじゃくった。俺はユウキちゃんの手を取り、小屋を飛び出した。上の道へ駆け上がり、振り返りざまもう一度スピア。タップ。


 俺の頭上高くで金属音響き渡り、見上げると巨大な槍が稲妻をまとって出現していた。コレは投げ槍だからスキル名スピアだが、見た目は騎士のランス。鋭い円錐形。一瞬後、MOBに向かって一直線。金鱗湖に横たわる巨体に深々と刺さった。同時に青白い電流が走る。首跳ねあげた獣。俺はクールタイム終わるやいなやもう一度タップ。


 ユウキちゃんの手を引っ張り駆け出した。後ろは見なかった。


 背後から、巨大な何かがズルズルと足を引きづりながら追いかけてきている音。


 俺は振り返らずにもう一度スピア撃った。


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