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「わぁ~!」
「すごいです~!」
双子は真新しいベランダを見て、楽し気にキャッキャと声を弾ませている。
「さらに三階に当たる、屋根裏部屋」
「私たちの部屋です!」
「どうなっているんでしょう!?」
「以前は屋根裏部屋にたどり着く為に、急なハシゴを上る必要がありましたが、屋根裏部屋に住む双子の安全を考慮して、木製の階段と手すりが設置されました」
「わぁ! 階段ができてます!」
「手すりまで!」
以前あったハシゴに比べれば、格段に安全な移動手段となった階段。店頭に使用された物と同じ、温かなライトブラウンの木材で作られた頑丈な出来栄えである。しかし、そこにはまだ隠された秘密があるのだった。
「さらに、階段の裏側にも注目です」
「裏側?」
「なんでしょう?」
双子が階段の裏をのぞき込むと、そこには意外な物があった。
「限られたスペースを有効活用する為、階段の裏側はタナが設置されています」
「おお!」
「すごいです!」
空間利用の匠がさり気なく行ったニクイ気配りに、ルルとララは感嘆の声を上げた。
「そして階段を上れば、ほとんど日が差し込まずに日中でも真っ暗だった屋根裏部屋は、屋根部分に複数の窓を設置することによって太陽の光が差し込む、明るい部屋へと生まれ変わりました」
「本当です!」
「明るいです!」
「さらに木窓しかなかった壁面には、きちんと透明ガラスの窓が設置されたことで、より快適性がアップしました」
「すごいですっ!」
「快適すぎます!」
そう。太陽光を取り込みやすいようにと複数の窓を設置したことで、屋根裏部屋は以前とは比べ物にならない快適空間となった。これで双子は朝、太陽の光を浴びながら、爽やかな気持ちで目覚めることが出来る。
「これなら店舗の休日も、双子が部屋でゆったりと過ごすことが可能です」
「間違いないです!」
「スゴすぎますっ!」
「新しく生まれ変わったこの空間で、これからは快適な生活を送ることが出来るでしょう……」
「はい!」
双子が瞳を輝かせながら返事をしてくれたことで今回のリフォームは大成功だったと、私が確かな手ごたえを感じながらドヤ顔でナレーションをしゃべり終えた時、ルルとララは不思議そうな表情で私を見つめていた。
「……ところで、セリナお嬢様」
「ん?」
「何故かいつものセリナお嬢様と、しゃべり方が違うような気がするんですが?」
「うん。リフォームした物件を見たら一回、言ってみたかったの……。気にしないで」
「はぁ」