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こうして引っ越し業者も決まり、リフォーム後の引っ越しも無事にすんだ。生まれ変わった店舗の前に立った私は、期待に胸をふくらませる猫耳のメイド、ルルとララに説明をはじめる。
「それでは古びた空き店舗をリフォームした、全貌をお見せしましょう!」
「おお!」
「待ってました!」
「まず店の外観。ドアや窓ワクに温かなライトブラウンの木材を使用し、壁の色にはベージュをあしらったことで、見た目にも明るい印象の店舗となりました」
「本当です!」
「綺麗なお店です!」
双子に説明した通り、リフォーム業者の手によって完全に新築かと見間違うほど美しく生まれ変わった店舗は、とても古い居ぬき物件とは思えない。
「そして店舗ドアの上部分には透明ガラスをはめ込み、店舗の前面にガラス窓を増やしたことで、外側から店舗の内部がよく見えるようになりました」
「確かに外から、中がよく見えます!」
「通りすがった人の目にも、とまります!」
ルルとララが言う通り、前面のガラス部分が増えたことで店舗の前を通りすがった人にも、店内がよく分かる。そして、この店舗は販売スペースがせまい為、実際に商品であるケーキをショーケースに置いて照明を使って効果的に店内をライトアップすれば、店頭に置かれた色とりどりのケーキは宝石のように輝き、人目をひいてくれるだろう。
「そしてリフォーム前、店舗の入り口にあったわずかな段差。このままでは、足の不自由なお年寄りや小さな子供がつまずいてケガをしてしまうかも知れないと、不安を感じた新店舗のオーナー」
「セリナ様のことですね!?」
私は、ゆっくりと双子にうなずくと店舗ドア前の段差が消えた部分を差し示す。
「リフォームの匠に相談した結果、匠の細やかな心配りでリフォーム前にあった段差は、ゆるやかなスロープが設置されました」
「おお! これなら、お年寄りや子供が転ぶ心配はありません!」
「さすが匠です!」
匠の完璧な仕事っぷりに感心する双子の目が、キラキラと輝いている。
「さらに店舗の内部に入ると二階の住居部分にはダイニングルーム。その奥には寝室、新オーナーのプライベートスペースになります」
「おお、ここで食事をするんですね!」
「セリナお嬢様の寝室も!」
「二階には新オーナーが植木鉢で苗を育てているため、新たにガーデニングができるバルコニーが設置されました。これで思う存分、植物を育てることが出来るでしょう」