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秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!  作者: 中野莉央
グレイ不動産とリフォームについて
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「ルル、ララ」


「はい?」


「なんでしょうか?」


 小首をかしげる双子の目を見ながら、私はたずねる。


「私は一応、あなた達の雇い主よね?」


「はい!」


「セリナお嬢様に、お仕えしておりますので!」


 元気よく返事をする双子に、私は深くうなずいた。


「だったら、私は雇い主として、あなた達の健康と安全に配慮する義務があるわ」


「義務ですか?」


「ええ。毎日、朝晩ハシゴを使って上り下りしていれば、いつか足を踏み外して高い場所から落下して大ケガをしてしまうリスクがあるわ」


「そ、そんなことは……」


 弱々しく反論されるが私はさらに、たたみかける。


「それに寝る場所にベッドを入れなかったら、あなた達が一日の疲れを取ることが出来ずに、いずれ健康を損なって病気になってしまう可能性が高くなるわ」


「……」


 私の言葉に双子はやや、うつむいた。そう、短期的にはお金の節約になるように思えても、長期的な目線で見ると、大ケガや病気をわずらってしまえば、余計にお金がかかるし身体もダメージを受けて苦しい。節約は大事だけど、お金をかけるべき所にはちゃんとかけないと良いことは無いのだ。


「私は雇用主として、あなた達がケガをするリスクを少しでも減らしたいし、病気にならないように出来ることはやりたいと思ってるの」


「セリナお嬢様……」


「それにしても本当に屋根裏部屋に住むなら、あそこは暗いわよね……。可能なら窓を増やさないと……。要望があったらルルとララも、今の内に遠慮なく言ってね?」


「はい!」



 双子は嬉しそうに満面の笑みでうなずいた。結局その後、グレイさんに教えてもらった業者三件に見積もりをお願いした結果、同じ条件なら不動産屋の時ほど大きな金額の差は無かった。


 もちろんリフォーム価格をおさえるために安価なタイルや資材を利用すれば、大幅にコストを下げることができるという提案をしてくれたリフォーム業者もあった。


 しかし、これから実際に居住して毎日、使う場所に安物の資材を使ってすぐに壊れた。ということになり即、修理を頼むハメになって、安物買いの銭失いということになっては目も当てられない。


 結局、私はグレイさんがいつもお世話になっているというリフォーム業者と契約した。不動産屋をやっている人が信頼して、仕事を頼んでいるところなら間違いないだろうと思ったのだ。

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