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秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!  作者: 中野莉央
ブラックからホワイトまで。不動産屋の見積もり
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 もう、四社目のグレイ不動産にお願いしたい気持ちもあったが、すでに五社目の見積もりをお願いしていたので、ひとまずグレイ不動産にはお帰り頂いた。実は五社目は業界最大手と言われているホワイト不動産だ。


 私が学生時代通っていた王立学園への通学路に複数の宣伝看板があった。有名な不動産屋で良心的で安心とうたっている所である。


 さきほどのグレイ不動産は一般的に考えて、ほぼ無名企業なのを考えると、有名企業で良心的、安心をうたっている業界最大手のホワイト不動産はグレイ不動産より、もっと条件の良い金額を提示してくれる可能性が高い。私は期待した。


 そしてホワイト不動産から、これまでで最も笑顔がまぶしい小太りで白髪の営業マンが見積もりにやって来た。



「はじめまして! このたびはホワイト不動産へのお見積もりご依頼、ありがとうございます! 私、営業担当のプラッセと申します!」


「ご足労ありがとうございます。プラッセさん。それでは早速、見積もりの方をお願いできますか?」


「はいっ!」


 ぜい肉を揺らしながら豚のような体型のホワイト不動産、営業担当のプラッセさんは常に満面の笑みで体型の割にハキハキと俊敏に動きながら、屋敷内を見て回り見積もりをした。


「これで、屋敷内の主要箇所はすべて回りましたが……」


「そうですね! 私が拝見した所、見積金額はこちらになりますっ!」


 ホワイト不動産、営業担当のプラッセさんは最高のスマイルで私に見積もり書を差し出してくれた。私はホワイト不動産の名に恥じない、良心的な査定価格が書かれているんだろうなと笑顔で見積書を受け取り、書き込まれた金額を見て固まった。


 プラッセさんが書いてくれた金額は、グレイ不動産の三分の一以下。驚いたことに、これまでで最も安く買いたたかれていたのである。


「こ、この金額ですか……?」


「はいっ! 本来なら、もっとお安いんですが特別に、このお値段とさせて頂きましたっ!」


「これ以上は金額、変わらないですか?」


「ええ、これ以上は変わらないですね!」


 ほお肉と腹のぜい肉を揺らしながら、最高に良い笑顔で自信たっぷりに答えるプラッセさんに私は呆れた。そして、この満面の笑みを浮かべるホワイト不動産の白豚は、こっちが相場を知らないと思って完全にボるつもりなのだと察して急速に頭が冷えるような、実に冷静な気分になった。

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