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 その後、私の魔力補助もあって双子は無事に初歩の風魔法を発動することに成功した。ひとまず、初歩魔法を一通り扱えるようになった双子は毎日、楽しそうに仕事に取り組んでいた。


 そんなある日のこと、市場に買い物に行っていたルルとララが嬉しそうに茶色いラタンを編み込んだ買い物用バスケットを手に帰ってきた。



「ただいま帰りました。セリナお嬢様!」


「お帰りなさい。市場で何か良い物はあった?」


「はい! アーモンドがお買い得でした!」


「へぇ、アーモンドを……」


「はい! お店の人が薬にもなるって言ってました!」


「奥様にも良いと思って!」


「そうね。アーモンドは確かに健康効果が高い食材ですものね……」



 この世界でアーモンドは整腸作用がある薬効の期待できる食材として流通している。実際のところ、アーモンドにはカルシウムや鉄分が含まれていることから、骨粗しょう症を予防する効果だったり、鉄が不足することで起こる貧血を予防する効果が期待できる。


 他にもアーモンドにはビタミンEが非常に豊富なことから老化を防止する効果、生活習慣病を予防する効果、動脈硬化を予防する効果なども期待できたはずだ。


 祖母のような高齢者は一般的に老化やカルシウム不足で骨折などのリスクが高くなっているはず。アーモンドのように、カルシウムや栄養価の高い食材を摂取することで、骨折などになるリスクを軽減できるはずである。



「それで、アーモンドはどう料理に使うの?」


「はい! クッキーに使おうと思います!」


「クッキー?」


「はい。クッキーにすると美味しいと思ったんですがダメでしょうか?」


「ダメでは無いけど、おばあ様には食べにくいかも……。ほら、おばあ様は入れ歯だから固い物は苦手でしょう?」


「あ……」


「じゃあ、どうしましょう。セリナお嬢様……」


「う~ん」


「噛まないで良いように、アーモンドミルクにしましょうか?」


「アーモンドミルクも悪くないんだけど、無駄になる部分も出るのがもったいないのよね……」


「無駄ですか?」



 アーモンドミルクは、アーモンドを長時間、水に浸してから細かく砕いてそれを布でこして作る植物製飲料だ。健康にも美容にも良い飲み物だが、捨てる部位が出るのはもったいなく感じてしまう。


「アーモンドって外側の茶色い薄皮に、抗酸化作用が期待できる成分がたっぷり含まれてるのよ」


「抗酸化作用?」


「身体の老化を防ぐ効果がある成分よ。特にお年寄りや女性には嬉しい効果が期待できるの。アーモンドの皮を実と一緒にそのまま食べるのは、そういう身体に良い成分を摂取できるのよ」


「へぇ……」


「だから、そのまま食べた方がアーモンドの栄養を丸ごと摂取できるんじゃないかと思うんだけど……。ん、それは?」


 ララが持っているバスケットから見えた物に視線をうばわれる。牛乳が入ったガラスビンと大粒で茶色く、ツヤツヤとした光沢のあるそのフォルムは見覚えがある。


「あ、おいしそうな栗があったので買ってきました!」


「栗……! じゃあ、あれを作りましょう!」

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