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「二人とも、そろそろ泣き止んで。そんなに泣くと目がはれてしまうわ」


「ぐすっ、はい」


 双子が白いブラウスのソデで涙をぬぐうのを確認してから魔法の指導を再開する。


「じゃあ、さっきは私の魔力補助で火魔法を使ったわけだけど、今度は自分一人で魔力を手に集めて魔法を使ってみて」


「はい!」


「むむ……!」


 私に言われた通り、双子が手のひらに魔力を集中させれば、小指の先ほどの小さな火がゆらめきながら出現した。


「できた!」


「やったぁ!」


「どうやら、コツがつかめたようね」


 補助なしの単独でも火魔法が使えたことにより、自力での魔法発動が可能だと分かって私がホッと胸をなで下ろすと、双子が感激して大きな瞳をキラキラさせている。


「セリナお嬢様のおかげです~!」


「ありがとうございます~!」


「ふふ。どういたしまして、でも魔法が使えるようになったのは、ルルとララが頑張ってくれたからできたのよ」


「セリナお嬢様……!」


「子供があんまり連続で魔法を使うと身体に良くないらしいから、今日の魔法はここまでにしましょう。二人ともおつかれさま」


「はい。教えて下さってありがとうございました!」


「ありがとうございました! セリナお嬢様!」



 本当なら、魔法のコツがつかめたタイミングで一気に複数の魔法を教えたいが、学園時代の先生の言葉を思い出し思いとどまった。幼少期から魔力量が多く連日、魔法をバンバン使いまくってた私と同等の扱いをしたら、とんでもないことになるだろう。


 とくに彼女ら双子は、今やっている勉強のほかにメイドとしての仕事もきっちりとこなしながら、空いている時間を勉強に当てているのだ。くれぐれも無理は禁物だろう。


 彼女たち双子にしてみれば、仮にも王立学院で学んだ子爵令嬢、自ら勉強や魔法の手ほどきをしてくれるということで、無理をしてでも学びたいという雰囲気をひしひしと感じる。ここは私の方が双子に配慮して、彼女たちが無理をしすぎないように体調面を気づかわないといけない。



 その後、居室のソファで白磁器のティーカップに注がれたお茶を飲みながら、メイドとして双子たちが働く様子を見ていたが、特に大きな疲労を感じている様子は見受けられず安心した。


 むしろ顔色もよく、いつもより元気よく仕事に取り組んでいるようにすら感じられた。最初に私が魔力の補助をしたのも良かったのかもしれない。


 学園時代、魔力の低かったローザは火花一つ出すのも一苦労で、魔法を発動した後はぐったりと疲れが見えた物だが、双子たちに疲れた様子はみじんも見えない。


 魔法を使えるきっかけになればと思って、とっさに魔力補助を行ったつもりだったが、彼女たちが魔法を使うことの疲労を感じないという意外なメリットもあるような気がした。



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