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なかなか泣き止まない双子をなだめる意味で「よしよし」となでると、双子は「セリナお嬢様~」と私の胸に、おでこを当てる形で抱きついてきた。
ふと見れば、眼前には黒色と白色の猫耳がピクピクとゆれている。私は双子の頭をなでる、どさくさにまぎれて二人の猫耳をなでまくった。ツヤツヤ、モフモフの手触りで最高だった。
私は動物が大好きだ。二人の猫耳については初めて見た時から、本気で可愛いと思っていたし出来ることなら、初対面ですぐにでも撫でまくりたいと思っていた。
しかし、同性とはいえ初対面で相手の身体にふれるというのは、常識的に考えてありえないだろう。特に彼女らは雇われメイドという立場で、私は雇い主である祖母の孫。
立場は圧倒的に私の方が強い。そういう強い立場の人間が、弱い立場の者に何かを強要するというのはセクハラやパワハラに当たるだろう。
私は自重した。例え、どんなに魅惑の猫耳や猫しっぽをモフモフしたい気持ちがあろうとも「セクハラ、駄目、絶対!」と自分に言い聞かせて、ここまでやってきたのだ。
しかし、猫耳の双子に抱きつかれたことでタガが外れた。いや、泣いてる少女の頭をなでるという行為と猫耳をなでるという行為はセーフだろう。彼女たちも私の胸で泣いてるわけだし、プラスマイナスゼロだろう。たぶん。
猫耳を堪能した私は、双子の猫しっぽも気になった。前世も含めて猫がしっぽそのものを触られるより、しっぽの付け根を触られる方が気持ちよさそうなのは熟知している私である。
猫耳、猫しっぽを持つ双子メイドが、しっぽの付け根を触られたらどうなるのか。猫のようにビクンビクンするのか非常に気になる所ではあるが、私は全理性を総動員させてその誘惑に耐えた。
猫耳をなでなで&モフモフする所まではセーフだが、腰を触ってビクンビクンさせてしまったら、さすがにアウトだろうと判断したのだ。
彼女らが完全な猫の姿なら、えんりょなく手を出してモフりまくるのだが、幼いメイド少女にそれをやるのは完全アウトだ。
彼女らとは理想的な上司、部下のような関係をきずきたいと思っているのだ。部下をビクンビクンさせるなんてことは上司として、あってはならないだろう。
そんなことをやってしまえば上司失格である。その一線は絶対に超えてはならない。私はくちびるを噛みしめて自分をいましめた。