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 パティスリーに戻ると店頭のショーケースの中から数が減っているケーキをチェックする。そして、調理場に入ると下ごしらえしておいたカットリンゴで手早くパイなどを作り、火魔法を駆使しながら補充分のアップルパイやチーズケーキを焼き上げ、窯から取り出した出来立て熱々のケーキはいったん風魔法で冷ましてから店頭のショーケースに並べた。


「うん。この位あれば充分よね。今日はこれ以上、追加のケーキは作らないから、売切れたら閉店にしましょう」


「はい!」


「了解しました!」


 猫耳の双子メイドが元気に返事をしてくれて、私も自然と笑顔になる。


「オープンカフェの方はどう? 忙しい?」


「大丈夫です。そんなに混雑してる訳でもないですし」


「私たち二人でじゅうぶん対応できます!」


「そう?」


「セリナ様、早朝からずっと立ちっぱなしですよね?」


「たくさんケーキを作ってお疲れでしょう? 今日はもう奥で休んで下さい」


 確かに今日はこれ以上、ケーキを作る必要はなさそうだしオープンカフェも混雑していないなら、ルルとララに任せてもいいかもしれない。


「うーん。じゃあ、お言葉に甘えて二階に上がってるわね。忙しくなったら遠慮なく声をかけてね?」


「はい!」


「ごゆっくりなさって下さい」


 私を気づかってくれる献身的な双子のおかげで予定より早く自由な時間ができた。私は調理場で白磁器の水差しにたっぷりと水を入れた後、ガラスのグラスを複数持って木製の階段を上り二階の自室に入るとテーブルの上に水差しとグラスを順番に置いていった。


 そして並べたグラスの中に今日、市場で購入したばかりのミント、オレガノ、セージ、レモンバーム、タイムといったハーブの種を投入する。


 その後、水差しに入っている水に手をかざし魔力を注入して『魔力水』にしてから、ハーブの種が入っているグラスに『魔力水』を満たしていった。


「これでよし……。一晩、ハーブの種に水を吸わせてから明日、植えれば良いわよね」


 以前、私の栽培した魔力の実が通常の物と比べて効果が五倍もあるということで、魔道具屋の店主コルニクスさんにどういうことだと詰め寄られたことがあった。


「あの時は私の栽培した魔力の実が突然変異だったに違いないって話したけど、本当の所はよく分からないままなのよね……」


 もし『私が魔力を注入した水』を与えて育てたことによって、通常の五倍もの効果がある魔力の実ができていたのだとしたら、これから育てるハーブ。ミント、オレガノ、セージ、レモンバーム、タイムにも大きな効果が期待できるかもしれない。


「何らかの高い効果が期待できるなら種類別にどういう効果が出るかしっかり把握したいし……。まぁ、特殊な効果が出なくても普通に育てればハーブティとか料理で使えるんだから損はないわよね」


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