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 その後は速攻で魔道具屋に入って、コルニクスさんに先ほど店から出てきた赤髪の伯爵令嬢について尋ねれば、何でも伯爵令嬢フローラは王立学園時代から魔道具屋でたびたび魔力増強剤を購入していた事が判明し、卒業後もフローラは魔力増強剤がなくなるとコルニクスさんの店を訪れていたのだという。


「思えば……。以前、噴水広場で侯爵家の子息クラレンス様とフローラが口論していたのも、おかしかったのよね……」


「侯爵家の子息って、もしかしてセリナの元婚約者?」


「うん……。私がまだパティスリーを開店させる前、侯爵家の子息クラレンス様がフローラと噴水広場で口論してたのよ」


 あれはパティスリーの店舗にする物件を探していた時期だった。当時、噴水広場前にある空き店舗の持ち主だった白ヒゲの老人ラッセルさんに先導され、ルルとララと共に物件を見た後、噴水広場で激しく口論している貴族の男女がいた。そして、その口論していた男女こそ侯爵家の子息クラレンス様と伯爵令嬢フローラだったのだ。


「口論って?」


「あの二人、婚約解消の話がこじれてたの……。フローラの方は王家からレオン様の婚約者候補にっていう打診があったから、侯爵家子息クラレンス様との婚約は破棄するって噴水広場で宣言していたけど……。あの時、フローラが噴水広場にいたのは王家からレオン様の婚約者候補にという話が来て、それを受ければ必ず高い魔力であると見せる必要があるから魔道具屋に魔力増強剤を買いに来てたんでしょうね」


「そんなことが……」


「でも、魔力の実が不作なせいで魔力増強剤の在庫は少なかった。その少ない在庫をフローラは買い占めていったけど、やっぱり足りなくなって。きっと魔道具屋に在庫が入ったと耳にし、慌てて買いに行ったんでしょうね」


「フローラは後宮でお妃教育を受けていったから、マナーなどの勉強以外にも魔力の鍛錬もあったでしょうし、実力より魔力を高く見せるのは大変だったはずだわ」


「うん。思いの外、魔力増強剤をひんぱんに使っていたら手持ちの増強剤に余裕がなくなって、実家の母が倒れたって言う口実で、後宮から出てすぐ魔道具屋に向かったんでしょうね」


 コルニクスさんは確か、魔力増強剤は価格が高いけど貴族からのニーズが高い人気商品という趣旨のことを言っていた。そして私が偶然、栽培していた魔力の実に目を付けたのだった。


 それにしても。私が渡した魔力の実がコルニクスさんの手によって魔力増強剤になり、魔道具屋の店頭に並んだことで伯爵令嬢フローラをおびき寄せるエサになり、フローラがこうして馬脚を現すきっかけになるとは夢にも思わなかった。

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