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「そしてライガがその宝刀を宝物殿から持ち出したことは、宝物殿の門番が証言した……。またダークが所有している剣に三日月形の宝剣のような曲線状の刃物は無い。そしてダークは近衛兵が国王執務室に入った時『ライガ兄上がブランシュ兄上を刺した』と言っていたそうだな?」


「はい。ダーク王子はそのように発言されていました」


「『ライガ兄上がブランシュ兄上を背後から刺した』と第四王子は主張されました」


 こちらの顔色を窺いながらも、神妙な面持ちの近衛兵二人が声をそろえて当時の状況を説明すれば、国王はまぶたを閉じて頷いた。


「ライガはダークの顔にブランシュの返り血が付着していた事から、ダークがブランシュを殺害したのだと断言していたそうだが……。背後からライガがブランシュの咽喉を刺したのなら、ブランシュの返り血がダークの顔に附着してしまった事も説明がつく……。ダークは冤罪だ。そしてダークが冤罪である以上、ブランシュを殺害したのはライガ。そなた以外にありえぬ!」


「ぐうっ!」


「さらに近衛兵はブランシュ殺害の容疑をかけられたダークが逃げようとした瞬間、ライガがダークの背後から三日月型の宝剣を投げ、負傷させたという話も聞いた。そしてダークはその時に受けた手傷による失血が原因で命を落とした。つまり、そなたは第三王子ブランシュ、および第四王子ダークを自ら手にかけたという事だな?」


「くっ!」


 王弟を殺害するならせめて手向けに宝剣で殺害してやろうと思い、宝物殿から三日月型の宝剣を持ち出したのだが、まさか兄王が回復しこのような窮地に追い込まれることになろうとは……。最早、言い逃れの出来ない状況に顔を顰めていると金髪の国王は憐れむような目でこちらを見据えた。


「ライガ……。そなたが王位継承権を持つ兄弟を暗殺すべく動いた事に関しては獅子王家が代々、行ってきた血の因縁でもある。我らの父や祖父もやっていた事。余の代では、兄弟でそのような陰惨な殺し合いはしたくないと宰相から王弟の処刑を提案された時、止めさせたが……。まさかそなたが、このような暴挙に出るとはな」


 国王の顔が哀し気に伏せられ金眼に影を落としたが、我が兄ながらその甘い考えに思わず笑いが込み上げてきた。


「フン。今はそのような考えなのでしょうが、その兄弟で殺し合いはしたくないという考え。果たして絶対の物と言えるかどうか……」


「どういう意味だ?」


 眉間にシワを寄せ怪訝な表情を受かべる兄王に、そのような事も分からぬのかと鼻で嗤う。

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