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「ダーク王子……」


「フン。ガラにもなく感傷的になって、少し話過ぎたな」



 王子の父であるライオネル国王は、実の兄である前王レーベを殺害して王位を簒奪し、前王とハーレムの女性たちの間に生まれた子供は慣習にしたがい全員殺害したという、私からすれば恐ろしい国王。


 しかし、ライオネル国王の治世は平和その物だった。近隣国が領土を狙っているという状態にありながら、国民はまったく不安を感じず。みんな、穏やかに過ごせていたのだから一国の王としては優秀な人物だったということだろうし、ダーク王子にとってはたった一人の大切な父親だろう。



 父王の体調が思わしくないと聞き、ダーク王子に同情する気持ちもあったが、同時に金獅子国はライオネル国王がそうだったように、獅子王家の者が王位簒奪を狙うという事がよく起こるのだと以前、図書館で王家の歴史を調べた時、本に書いてあった。


 今まではライオネル国王の治世で、王子は全員ライオネル国王の子供たちだったから、何事もなく平穏だった。けれど、第一王位継承者である王太子レオンが国王になった場合、彼の兄弟はライオネル国王がハーレムの女性たちに産ませた腹違いの兄弟。


 つまり、新王レオンが誕生した際には、ここにいるダーク王子や他の腹違いの兄弟たちで、野心がある者は王位簒奪を狙うんじゃないかと、一抹の不安を感じずにはいられなかった。



 それに金獅子国王のハーレムに送り込まれていたという黒竜族の姫。どうやらライオネル国王の体調が思わしくなかったため、子供を作れなかったようだが、獅子国王のハーレムは前王が崩御したあと、そのまま新王に受け継がれる。


 王太子レオンが、新王になった暁にはハーレムにいるという黒竜族の姫に手をつけるのではなかろうか。もし、黒竜族の姫が金獅子国王となったレオンの子供を身ごもれば、国内だけでなく黒竜帝国も絡んだ国家間の陰謀が交錯するのでは?


 病床の父王のことを思って、窓の外を見ながら感傷にひたるダーク王子を見ながら、どうにも嫌な予感がぬぐえない。何事もなければ良いのだけど……。そう祈らずにはいられなかった。




 後日、伯爵令嬢フローラから頼んでいた件の報告があった。


「オブシディア侯爵家の方に、あなたのことをお話したら『セレニテス子爵家の事情は理解してたので、事業資金の件は学園の卒業まで待つ』とおっしゃっていましたわ」


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