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「ローザが身につけていたブルーサファイアの首飾りが奪われていたってことは、犯人は首飾りの窃盗が目的だったように思えるし、そのブルーサファイアの首飾りは先の王太后様がレオン陛下の伴侶になる者に渡すようにって譲られた品なんでしょう?」


「ええ。そう伺ったし、リオネーラ王太后様も王弟の第二王子ライガ様も、ブランシュ王子もダーク王子も皆様その件はご存じだったわ」


「うーん。絞殺って、かなり力がないと出来ないらしいからローザを絞殺できなかったことや、後宮で怪しい者の出入りが無かったことを考えるとやっぱり元々、後宮に住んでる者の犯行に思えるわねぇ……。それで首飾りの由来を知って、ローザから奪いたかった人物って私には一人しか思いつかないんだけど?」


 あごに指を当てながら顔をしかめるセリナに私は、やや身を乗り出した。


「セリナは誰が犯人だと思うの?」


「……フローラ」


 苦々しく呟かれた名前は私も疑っていただけに驚きはなく、むしろ納得できる物だった。


「やっぱり、セリナもそう思う?」


「ええ。もしくは伯爵令嬢フローラの侍女ね」


「侍女が?」


 赤髪の伯爵令嬢の侍女と言えば二人いる。あの二人を脳裏に思い浮かべているとセリナは思案しながら目を細くしてこめかみを押さえた。


「いや、フローラと侍女の共犯という線も考えられるわね……。むしろ、共謀の方が可能性は高いかも」


「伯爵令嬢フローラと侍女が共謀して私を襲ったの? でも、どうしてそう思うの?」


 私が尋ねれば、セリナは一つ頷いて遠い目をした。


「うん。侍女の一人が寵妃の部屋の前で見張りをして、誰かが来た気配がしたと室内の実行犯に声をかけたなら、犯行を見咎められるリスクは低いし……。後宮の通路に侍女が立っていても誰も怪しいとは思わない筈よ」


「そうね。フローラの侍女が通路に立っていた所で、私の部屋から少し離れた場所で周囲の様子を伺っていれば誰かが通りかかっても、そんなに怪しいとは思わないわよね」


「それに高価なブルーサファイアの首飾りが引きちぎられる形で盗られてたのも、見張りをしていた侍女が室内の実行犯に誰か来るから急いで逃げるように声をかけたというなら辻褄が合うわ」


「確かに……。ジョアンナが戻ってきたことを察して室内の実行犯に声をかけて、私がつけていた首飾りを外す時間が惜しくて引きちぎった……。そして証拠隠滅の為、火を放ったなら……。でも、なんで物的証拠となるブルーサファイアの首飾りをフローラは所持していたのかしら?」

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