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「う……。眩しい」


 大きな半円アーチの窓から朝日が差し込む中、私は見慣れぬ場所で目を覚ました。寵妃の部屋にあったベッドや調度品は自分にとって十分に上等な物だと思っていたけど今、自分が横になっているベッドは寵妃の部屋に置かれていたのと比べ物にならない位、細やかな彫刻が施されている広く豪華な天蓋付きの寝台だった。


 家具職人が時間をかけて彫ったと思われる見事な植物紋様の意匠が施された天蓋と柱、絹のシーツに最高級の羽毛を惜しげもなく使用したのであろう枕。身体にかけられている美しい毛織物も最高級品に違いない。


 ベッドだけではない。部屋の中央には天井からクリスタルガラスの美しいシャンデリアが吊るされているのが見えるし、室内にある優美な猫脚の調度品は所々、金彩が施されて家具も最高級品だと分かる。


「ここは? まるで……」


「ローザ! 目が覚めたのね!」


「ジョアンナ?」


 私が戸惑いながらベッドから上半身を起こした時、部屋に茶髪の侍女ジョアンナが入ってきた。


「良かった! 医師に診てもらった後、治癒術師に治療してもらったのに、三日も目を覚まさなかったから心配したのよ!」


「三日!? 私、そんなに眠っていたの?」


 俄かに信じられず唖然としたが、ジョアンナは泣き笑いのような表情でうなづいた。


「そうよ! 特にレオン陛下が本当に心配されて。どうしても外せない公務の時以外はずっと、ローザのそばを離れずに看て下さってたのよ」


「えっ、陛下が?」


「ローザ、あなた本当に陛下に愛されてるのね……。国王陛下が、自ら寝る間も惜しんで看病するなんて驚いたわ」


「陛下はどこに?」


「ここだ」


 いつの間にか部屋のドア付近に金髪の国王陛下がたたずんで、真っすぐな瞳でこちらを見つめていた。


「レオン陛下……」


「ちょうど公務が一段落ついたのでな。目が覚めて良かった」


「看病して下さったそうで、何とお礼を言ったら」


「いや。そなたが回復してくれれば、それで良いのだ」


「陛下……」


 目元を緩めながら告げて下さった陛下の言葉に、私は胸が温かくなるのを感じた。しかし、国王陛下はすぐに硬い表情になった。


「ローザ。目覚めたばかりですまないが、そなたの部屋が火事になる前のことは覚えているか?」


「はい……。まず、後宮の一角で煙が上がって、ジョアンナに様子を見てもらいに行った後、部屋に入ってきた誰かに頭を強打されて、首を絞められた記憶があります」


「ああ。そなたの首には絞められた跡が残っていた。そして、後頭部から出血していたのは部屋にあった青銅の燭台で強打されたのだろう」

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