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 ケーキだとあくまでデザートという要素が大きいが、スコーンだとパンに近い感覚で、朝食や昼食の品としても食べられるのでスコーンの売れ行きは想像以上に良かった。


「セリナ様~。プレーンとオレンジのスコーンが無くなりそうです~」


「あ、本当だ。ブルーベリーのスコーンも残り少ないわね」


「そういえばさっき、例の魔道具屋さんがスコーンを買いに来てましたよ~」


「コルニクスさん。スコーン、気に入ってくれたのね……」

 


 計算外だったがコルニクスさんはあれ以来、結構な頻度でスコーンを買いにパティスリーへ来るようになった。まぁ、近場で気軽に食べ物を調達できるという便利さに気付いてくれたのだろう。


 コルニクスさんは期間限定のつもりだったジンジャー入りのスコーンをよく購入してくれるので、定番商品にするべきか目下悩んでいる。


「うーん」


「セリナ様、どうされたんですか?」


「いや、新商品について考えてるんだけどね。レモン&ジンジャー・スコーンが思ってたより売れ行き良いし、ジンジャー系でまた新作を出してみようかなと」


「良いですね! 今度はやっぱりケーキですか?」


「ケーキは賞味期限の関係もあるし、生菓子より焼き菓子の方が販売しやすいのよねぇ……」


「ショウガの焼き菓子って、どんなのを作るんですか」


「特に変わった感じじゃなくて、シンプルにジンジャー・クッキーを作ってみようかと思うんだけど」


 ヨーロッパではジンジャー・クッキーは人々に親しまれてるし、この街でレモンとショウガが入ったスコーンの売れ行きが悪くないことを考えればジンジャークッキーを売り出しても一定の需要がありそうな気がすると考えたのだ。


「ジンジャー・クッキー……。ショウガの風味を前面に出すんですね?」


「うん。そういえば目の下のクマにはアーモンドやナッツ類も改善効果があったはず……。ジンジャー&ナッツのクッキーでも作ってみようかしら?」


「セリナ様……」


「ん?」


「やっぱり、例の魔道具屋さんに……」


「はい?」


「ううっ。まさかセリナ様が魔道具屋さんの店長と、なんて……」


「えっ、私とコルニクスさん? 何の話?」



 私に疑惑の目をむけながらショックを受けている双子の話を聞けば、ルルとララは何故か私とコルニクスさんの仲を疑っていた。どうしてそんな発想にいたったのか意味が分からない。


 誤解を解くのが大変だった。というかありえないと散々、話したのだが未だに疑われてるっぽい。そんな訳ないのに何故だろう?

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