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 その後、噴水広場を離れて、パティスリー周辺の店や家々を見て回ると皆、ヒョウが降り出してからすぐに木窓を閉めたらしく窓ガラスが割れるなどの大きな被害はなく、実際にヒョウが降っていた時間がごく短かく、被害地域が意外と局地的だったのもあって、どの家屋もウチと同じように家屋の一部が若干へこんだ程度の被害で済んだようだ。


「良かった……。重傷の人とかいたら大変だと思ったけど、意外と大丈夫そうね……」


 私の所はバルコニーに置いてあった植木鉢が大きな氷塊と化したヒョウによって破損したが、もしあれが人の頭や身体に当たってたらタダでは済まなかった。打ち所が悪ければ死んでいたかも知れない。


 周辺に大きな被害が無かったのは不幸中のさいわいだと思いながら再び噴水広場に戻った時、広場の入り口近くで小さな女の子が泣いているのが見えて、慌てて駆け寄った。


「どうしたの? どこかケガしたの!?」


「ううっ……。さっき、道で転んで……」


 ぽろぽろと涙を流す幼女が指さした先を見れば、右足のヒザがすりむけて血がにじみ、傷口や周囲は砂でよごれている。


「ああ、ケガしちゃったのね……。お母さんはどこかしら?」


「わかんない」


「迷子か、困ったわね。とりあえずケガの治療をしましょうか?」


「うん……」


「でも、保護者のいない幼女を勝手にウチに入れるのも……。そうだ、そこの噴水で座って待っててくれる? 救急箱を持ってくるから」


「わかった」


 ひとまず、幼女を噴水のフチに座らせて私はいったん、パティスリー・セリナへと戻り、救急箱を確保したあと調理場へと入った。


 そして大きな銅鍋に多量の水を入れて、もう一つの銅鍋には計量カップで水量をはかりながら水を入れ、二つの銅鍋に入った水を火魔法で一気に沸騰させた後、大きな銅鍋にはガラスビンを入れて煮沸消毒するのに使用した。


 もう一つの銅鍋に入ったお湯は氷魔法と風魔法で冷却し、精製塩を測って投入する。さらにこれをよく混ぜれば、ほぼ常温の食塩水となった。


「うん! これで水に対して0.9%が塩の『生理食塩水』ができた! ケガをした時にはアルコールで消毒するより、まず生理食塩水で傷口を洗い流してから治療する方が良かった筈ですものね……!」


 こうして出来上がった生理食塩水を煮沸消毒が済んだガラスビンに入れて右手に持ち、左手には救急箱を持って、店の外で待つ幼女の元へと向かい、クツをぬがせて処置を開始する。


「少し、しみると思うけどガマンしてね?」


「わかった……」

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