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「あ、ああ……。そんな事もあったわねぇ」


 ローザが遠い目で語るのを聞きながら、苦笑いして誤魔化そうと試みるが全く上手くいかなかった。自分の妄想がたくまし過ぎて、確かに当初は誤解してしまったが親友が寵妃になったと聞けば、そういう心配をするのはむしろ多数派なんじゃないだろうか……? そんな心の葛藤を知らないローザは、小さくため息を吐いて肩を落とす。


「女官長のミランダ様ですら。まさか国王陛下が、私に指一本すら触れてないとは思ってない筈だわ」


「そ、そうだったんだ……」


「ええ。だから、手紙には書いてないけど『国王陛下は、私に酷いことは何もしてないから心配しないで』って伝えて欲しいの」


「その位だったら、私の口から説明するより、手紙に書いた方が良いんじゃない?」


 下手に私が口出しするよりも、姉の手紙の方が信頼できるだろうと思ったのだけど、ローザは眉根を寄せ、長いまつ毛で藍玉色の瞳に影を落とした。


「セリナ……。レオン陛下はお優しい方だから、私を気づかって触れないと言って下さったけど、例えばレオン陛下を国王の座から引きずり降ろしたい者が、そんなことが書いてある手紙を見れば『世継ぎを作るのに健康上の問題があるから、寵妃に手を出さない』とか中傷されかねないわ」


「う……。それは流石にマズイわね」


 先日、新王になったばかりのレオン陛下の下にはまだ、第二王子や第三王子、それにクラスメイトだった第四王子であるダーク王子もいる。彼らが王位を狙っているんだとしたら、確かに世継ぎ問題などは格好の攻撃ネタになりそうだ。


「でしょう? だから、セリナからケヴィンにこの手紙を渡して、私の事は心配いらないってセリナからも伝えて欲しいの」


「分かった。ケヴィン君に手紙を渡して、ちゃんと伝えるわ」


 赤い封蝋がされた手紙を私が受け取ると、ローザは安堵した様子で表情をやわらげた。


「良かったわ。セリナが預かってくれて……。あ、もしケヴィンが手紙を読んだ時にショックで泣いてしまったら、背中を軽くぽんぽん叩いてあげて。それで落ち着くはずよ」


「え? ケヴィン君、しっかりしてるように見えたけど?」


「うーん。どうかしら? あの子、意外と泣き虫だから……」


 ローザは心配そうに窓の外を眺める。私は泣きじゃくる少年をなだめないといけない可能性もあると知り、少し不安になったが、とにかく事実をちゃんと説明すればきちんと分かってくれるはずだと思いながら手紙を手に、王宮を後にした。

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