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「ルル、ララ……。ホールケーキが六個売れたって本当!? カットケーキの間違いじゃないの?」


「いいえ、店長。間違いありません! こちらのお客様がホールケーキ、六個をお買い上げですっ!」


「ええ。ショーケースの一番下にある、ホールケーキを一種類づつ全部頂くわ」


 私が改めて、そう告げれば若草色のエプロンをつけた若い店長の娘は、おずおずと私の顔色を窺う。


「あ、あの……。お客様、当店のケーキは生ものですので保冷が必要な上、美味しく召し上がれる期限……。いわゆる、賞味期限が当日中なのですが、よろしいでしょうか?」


「ああ、生のカットフルーツやクリームを使っているものね。分かりました、問題ありません。今日中に食べます」


「そうですか……。あの、お客様は編みカゴなど、お持ちじゃないようですが?」


「ええ。手ぶらで来ましたからケーキを入れる物は持ってません。……この店は箱が無いの?」


 疑問を口にすれば、若草色のエプロンを付けた娘は慌てて首を横に振る。


「いえ! もちろん、箱の用意はあります! ただし、こちらで箱を用意する場合はケーキ代と別途で料金が発生してしまうのですが……?」


「構いませんよ。箱を用意してちょうだい」


「かしこまりました! あと、保冷が必要なケーキですから、保冷用の袋というのもあるのですが、そちらもご一緒に入れる場合は、また別途で料金が発生するのですが?」


「経費で落ちるから、お金のことは構いません。その保冷用の袋とやらも入れてちょうだい」


 私が『経費で落ちる』と言った瞬間、若草色のエプロンをつけた娘の眼が鋭く光り、満面の笑みを浮かべた。


「はい! ありがとうございますっ! ルル、ララ。箱にケーキと保冷袋を詰めて!」


「了解ですっ!」


「おまかせ下さい!」


 猫耳メイド達が張り切って、木の皮を編んで作った箱にホールケーキと保冷袋を詰めていると、若草色エプロンの娘は笑顔でショーケースの上に置いてある、焼き菓子が入ったガラス瓶やドーム型のガラス容器に入っている狐色のケーキを手の平で指し示す。


「……ちなみにショーケース内のケーキは保冷が必要で、賞味期限が当日中ですが。アイシングクッキーや、お酒に漬けたレーズンとクルミが入ったハチミツケーキなどは常温での保存が可能で明日、明後日も食べられます」


「ああ、このショーケースの上に乗ってるクッキーやケーキがそうなのね」


「はい! こちらの焼き菓子も人気商品となっております。ご一緒にいかがでしょうか?」

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