表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/449

2

 幸い、私は魔法の才能に恵まれており、複数種類の魔法を自由に操れる上、幼少期には魔導書を読みながら、ほぼ独学で中級魔法まで難なく覚えることができた。


 幼少期から、こんなにも魔法を使える子供はこの世界でも珍しいらしく当初は両親も驚き、目を丸くしていた。しかし、我が子に高い魔力があると分かると大いに喜んだ。



「ウチの子は天才だな! まるで『聖女』のようだ!」


「あなたったら! いくらなんでも『聖女』はないでしょう……」


「まぁな……。だが、この分なら、きっと良い縁談が殺到するぞ!」


「ええ、この子は器量も良いし、間違いないわ!」



 親バカ全開で我が子を自画自賛する両親に、苦笑していた私だったが『聖女』という単語が気になる。何のことだかよく分からない私はさっそく、母に聞いてみることにした。



「ねぇ、お母さま『聖女』ってなに?」


「あら。セリナは『聖女』を知らないのね」


「うん……。知らないわ」


「そうね。いい機会だから覚えておきなさい『聖女』っていうのは歴史の中に、たびたび現れる不思議な力を持つ女性よ」


「不思議な力……。魔法?」


 小首をかしげながら呟けば、母は優しく目を細めてうなづく。



「そうね。聖女は魔法も使えるわ」


「魔法なら、みんな使えるんじゃないの?」


「ええ。セリナも知ってる通り、ほとんどの人は簡単な魔法を使えるわ」


「そうよね」


「でも聖女は普通の人と比べて、ケタ違いの魔力を持っていたと言われているの」


「ケタ違い……」


「そして、普通の人と決定的に違う能力を持っていたそうよ」


「どんな能力を持ってたの?」


「『邪悪を退ける力』『奇跡を起こす力』を持っていたそうよ」


 邪悪を退けるというのは漠然としていてよく分からないが、奇跡を起こすというのは尋常ではない。私は目を丸くした。


「聖女ってすごいのね……」


「ええ、聖女はすごい存在なのよ。だからもし聖女が見つかれば、国が保護して大事にされるわ」


「なるほど……」



 生まれつき高い魔法の素養があった私だが『奇跡を起こす』『邪悪を退ける』なんて特殊な能力は持っていない。


両親から「聖女のようだ」と絶賛されても、そこはやはり親の欲目。本物との聖女との差は海よりも深いようだ。



「まぁ、聖女のようだと言われる内は喜んでいられるけど、もし本当に聖女だとしたら大変でしょうね……」


「大変なの? なんで?」


「聖女を取りあって、国同士の戦争が起こったこともあるのよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ