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 王太子殿下は宰相や王妃と一悶着あったが、その後は聖堂で滞りなく即位の儀を終え、王位を継承した金髪の王太子は『国王』の称号を得て『レオン国王』となった。


 それに伴い、リオネーラ王妃も国王の母となったことから『王太后』の称号を得て『リオネーラ王太后』となった。美しい金髪に鋭い琥珀の瞳。青い礼服に、王家の紋章である獅子が金糸で刺繍された青地のマントを身にまとった新王レオン陛下の毅然とした姿は、前王崩御で動揺していた臣民の心に差し込む希望の光となった。


「おお……。なんとご立派な御姿だ」


「亡きライオネル王もこの光景をご覧になられたら、さぞかしお喜びになられただろう」


「このように立派な新王が統治するなら、金獅子国も安泰だ」


「違いない」


 前王である、ライオネル陛下が崩御されたことで王宮内が悲しみに打ちひしがれていたが皆、新王に祝辞を述べ、聡明だと評判の若き獅子王の誕生に安堵した。


 ライオネル陛下の国葬は一週間に渡って執り行われた。ライオネル王は自身の兄、レーベ王を弑逆して王位についたが、治世は概ね平和であったことから王侯貴族をはじめ、多くの国民が亡き王に花を手向け、その死を悼んだ。



 前王の遺体はライオネル王自身が生前から建設を指示していた、小高い丘の上にある霊廟に葬られる事となった。白い石造りの霊廟。その大きな門の外側には、高名な芸術家が手掛けた石造りの獅子が霊廟を守るように二体設置されている。


 そして霊廟の内部に入ると、健在であった頃のライオネル国王の姿を模った彫像が正面にあり、生前の前王を偲ぶことが出来た。さらに、崩御された前王の御霊が安らかに眠ることを願って、神話の女神像や天使像、伝承の聖女像なども霊廟内部に配置され、石壁や石柱には美しい植物紋様が刻まれていた。


 

 霊廟の中心部に前王の遺体が安置されることで国葬は終わり、喪が明けるのを待って新王レオン陛下の婚約者に伯爵令嬢フローラが選ばれた事と半年後、周辺諸国の王侯貴族を招いて行われる新王の戴冠式と同日、伯爵令嬢フローラとレオン国王の結婚式が執り行われる事が発表され、明るい話題で国中が喜びに包まれた。


「レオン陛下に婚約者が決まり、結婚式の日程まで発表されるとは……!」


「前王ライオネル様が崩御されて、どうなるかと思ったが新王がお妃様を迎えるとは、めでたいことだ!」


「伯爵令嬢フローラ様は才色兼備で、聖女の再来かと言われるほど高い魔力を持っているそうだぞ」


「お世継ぎの王子が生まれれば金獅子国の平和は、より盤石な物になるに違いない!」



 人々は笑顔で口々に新王の婚約を祝福した。こうして、国葬と新王の婚約発表が終わり、国の行事が一段落した所で白髪の女官長ゾフィー様は自らの役職を退き、リオネーラ王太后付き女官長となった。それと同時に私は以前、通告されていた通り、ゾフィー様から女官長に任命され『女官長ミランダ』となった。

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