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 突然のことに戸惑っていると白髪の女官長は、やや口角を上げて深く頷く。


「おまえが女官として尽力してくれていることは、私もよく知るところです。ミランダになら女官長の職を安心して任せられると思っています」


「私が女官長に……」


「すでに王妃リオネーラ様には話を通して了承を得ています。ミランダ、受けてくれますね?」


「はい……。謹んでお受けいたします」


 他でもない、王妃様のご意向でもあるなら否応も無い。女官長の職務は大任であり責任重大だが、私は深く頭を垂れて恭順の意を示した。


「そう言ってくれると思っていましたよ。ところで王太子殿下についてですが……。今朝、行われた王太子妃候補の魔力披露を受けて宰相ハイン様をはじめ、重臣たちからフルオライト伯爵家の令嬢、フローラ様を推す声が複数出ています」


「あれほどの魔力の高さを披露したのですから、無理もないことです」


 王族は魔力が高ければ、高いほど良いとされている。仮に命を狙われるという事態になった場合、魔力が高いのと低いのでは前者の方が良いに決まっている。


 親の魔力の高さが子供に遺伝されやすいことを考えれば、重臣たちが王太子妃に魔力の高い伯爵令嬢フローラを推薦するのは当然の流れと言えた。


「フルオライト伯爵令嬢ご自身も、王太子殿下との婚約と婚姻を強く望まれているそうです」


「それは喜ばしいことですね」


 王家の婚姻は本人同士の意思など二の次、三の次という場合が多い。有力な王太子妃候補である伯爵令嬢フローラが、婚姻を自ら強く望んでいるというのは非常に良いことだと感じた。


「伯爵令嬢フローラは魔力が高いだけでなく、王立学園を首席で卒業するなど素晴らしい才媛だと聞きました」


「まぁ」


「王太子妃とするには伯爵令嬢では、家格が足りないのではという声もあるようですが、王妃リオネーラ様も王太子妃には魔力の高い令嬢を言っておられます」


「リオネーラ様が、そうおっしゃられているなら王太子妃は伯爵令嬢フローラ様で決まりでしょうね」


 現在、病床に臥せっている国王陛下はすでに国政や王家のことに口を出せる状態では無い。現状だと、壮健な王妃リオネーラ様の発言力は非常に大きい。


 その王妃様が魔力の高い令嬢を望まれていて、宰相閣下はじめ複数の重臣が同意してるなら、王太子妃には伯爵令嬢フローラが決定すると見て間違いないだろう。



「レオン殿下は素晴らしい美丈夫でいらっしゃるにも関わらず、女性との浮いた噂の一つもなく王太子として品行方正に過ごされてきました」


「はい。本当に王太子殿下は素晴らしい方です」


 笑顔で同意したが白髪の女官長は、ほんの少し眉を顰める。


「しかし、真面目過ぎるのも些か考え物です」


「え?」


「正式に王太子妃が決定し、婚姻すれば。また状況が変わるやも知れませんが……。今のままでは、お世継ぎの誕生を不安視される声が一部にあるのも事実です」


「確かに……」

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