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「ああ、乳母車」


「なるほど……」


 双子がうなずきながら納得の表情を見せた。私は手押し車を触りながら微笑む。


「これなら私や、あなた達が使っても違和感ないでしょ?」


「えっ、私たちも使って良いんですか!?」


「もちろんよ。買い物でたくさん購入して荷物が重くなりそうな時はルルとララも、ぜひ使ってね」


「うわぁ! ありがとうございます!」


「とっても助かります!」


 やはり双子も買い物の際、重い荷物を持つのは大変だと感じていたようだ。感激して喜ぶ双子から、ふとショーケースに視線を移すと中にあるケーキが何気に減っていることに気付いた。


「あ……。私が市場に行ってる間で、けっこうケーキが売れたのね」


「そうなんですよっ!」


「あの後も、昨日ケーキを買ってくれた人が『美味しかったから』って、また買いに来てくれたんですよ!」


「それと、ケーキが美味しかったって話を聞いた人が興味を持って買いに来てくれたり」


 双子が力説していると店舗のトビラが開き、客が入ってきたので双子と共に笑顔で「いらっしゃいませ~」と営業スマイルであいさつした後、私は手押し車と共に裏に引っ込む。手をしっかり洗って身だしなみを整えると調理場に入り早速、作業にとりかかる事にする。


「あのケーキの減り具合と、閉店までの時間を考えると……。今日は追加でケーキを作った方が良いものね」


 材料をすべて用意した後、買ったばかりの真っ赤なクランベリーを水洗いして、ナベに入れ砂糖を投入し、火魔法を使い熱する。火魔法の火力はあくまで大きくなり過ぎないよう加減し、コトコトとじっくり煮込みながらナベ底がコゲつかないように注意を払いつつ、木べらで混ぜ続ける。


 甘い香りが濃くなる頃、煮込んだクランベリーからアクが浮き出て来たので、それを丁寧に取りのぞき、ほど良い所でレモン汁を投入すれば、かなり赤色が濃いクランベリージャムの出来上がりだ。


 出来立てでのジャムをスプーンですくうと、熱い湯気が出ているので息を吹きかけて軽く冷ましてから味見すると酸味と甘みが絶妙なバランスで食欲をそそる、美味しいクランベリージャムの風味が舌の上で広がった。


「よし! これならケーキに使えるわ!」



 クランベリージャムを風魔法で冷ましながら、用意しておいた常温のバターをよく混ぜ、そこに砂糖、塩、卵を投入し、さらに混ぜ込んだ後、振るった小麦粉を加えてタルト生地を作る。


 料理用の麺棒でよくのばして作ったタルト生地をいったん保冷庫に入れると、今度はボールに常温のバターを入れ混ぜながら砂糖と粉末状のアーモンド、卵を加えてさらによく混ぜればアーモンドクリームが出来上がった。

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