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「わぁ、セリナすごいわね」


「え、このくらい誰でも出来るでしょ?」


「私、魔力値が低くて……。こうやって集中して……」



 ローザがみけんにシワを寄せながら手先に力を込めると、パチリと小さな火花が光った。そしてその火花がローソクに燃え移り、なんとか火が灯った。



「……」


「ふぅ……。見ての通り、私は火をつけるのも一苦労なの」


「そ、そうなんだ」



 幼い頃から複数種の魔法を覚え、操ってきた私にとって火花一つ出すのに、これほど集中力と時間がかかるという光景は初めて見る物で呆然としてしまう。


 そういえば、お母さまもたまにランプに火をつける位はしていたけど、そんなに多用はしていなかったなと思い出す。そんな私を一瞥した銀縁眼鏡の男性教師はメガネをクイッと上げる。



「魔力値は個人差がありますから、発動するのに時間がかかる場合もありますが、大人になるにつれて生活に必要な初級魔法『小さな火を出す』程度はほとんどの者が使えるはずです」


「あ、そうなんですね……」


「魔法発動に時間がかからない者でも、子供の内は連続して魔法を使うと、体調を崩して倒れたりする場合があります。魔法の使い過ぎにはくれぐれも気をつけて下さい」


「……ちなみに子供の内は一日、何回くらい魔法を使うと倒れるんでしょうか?」


「個人差がありますからね。とにかく連続で魔法を使うのは厳禁です」


「そうですか……」



 表面上は先生の話にうなづきながら内心、冷や汗をダラダラと流していた。子供の内は連続で魔法を使うのが厳禁って私、幼少期からガンガン連続で魔法使いまくってたわ……。そりゃあ、お父様とお母さまが『ウチの子、聖女かも!?』って色めき立つ訳だわ。


 危なかった……。自宅でやってるのと同じような調子で魔法を披露してたら、いきなり聖女疑惑が濃厚になる所だった。早鐘を打つ胸を押さえながら、深い息を吐くと隣のローザが私の顔をのぞき込む。



「セリナ、魔法の練習したかったの? 魔法を使い過ぎると、身体に負担がかかって良くないから無理しない方が良いわ」


「うん。そうね……」



 真実を告げる訳にもいかず苦笑いしていると教室の中央で大きな音を立てながら一瞬、火柱が上がるのが視界に入った。何事かと視線を向ければ、気の強そうな赤髪の女生徒が両手から自由自在に、魔法で大きな火球を出して周囲の生徒たちに披露していた。


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