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「ブルーベリーなら、好きなんですけど……」


「うん。ブルーベリーは皆、味を知ってるし大丈夫な物って分かってるから良いんだけど。でも、今のケーキのラインナップだと赤色が不足してるから、もっと赤色のケーキが増やせれば補色を利用した配置で、ケーキがより美味しく見えるんじゃ無いかと思ったの」


「ほしょく?」


 困惑顔の双子を見て意味が伝わってないことを察し、頭の中で言葉を選ぶ。


「ああ……。えーと。補色って言うのは色的には正反対なんだけど、美しく見える色の組み合わせのことよ」


「へー。そんな組み合わせが……」


「ええ。例えば、イチゴの表面を見ると、果肉が真っ赤で葉っぱは緑色でしょう?」


「はい」


「赤と緑っていうのも色的に、相性が良い組み合わせで補色に当たるわ。他にも黄色と青色、紫色とか……」


 基本的な補色の例をあげると双子にも伝わったようで、何かを思い出したように瞳を大きく見開いた。


「そう言われてみると、青いお皿に乗せた黄色い卵料理とか、白い皿に乗せるよりも黄色の印象が強く感じますね」


「ええ。そういう色の効果を利用して来店した人がパッと見て、食欲をそそる配色だと感じるラインナップにするためには、やっぱりもっと赤色が欲しいと思うのよねぇ」


「赤い色のケーキ……。やっぱりイチゴですか?」


「うん。イチゴがあれば一番いいんだけど……」


 イチゴさえあれば、日本では最もオーソドックスなあのケーキが作れる。新鮮なイチゴに生クリームと、ふわふわしたスポンジケーキの組み合わせが、シンプルながら絶大な支持を集め続けているイチゴのショートケーキ。


 真っ赤なイチゴがたっぷりと贅沢に乗せられている『イチゴのタルト』そして、パイ生地のサクサクとした食感と甘酸っぱいイチゴの組み合わせが最高な『イチゴのミルフィーユ』さらに『イチゴのロールケーキ』だって作れてしまう。


 これらを作れば、ショーケースに入れた際、純白のクリームに宝石のようなイチゴの赤色がよく映えるだろう。しかし、前世ではビニールハウス栽培などで季節問わず入手できたイチゴが、この世界では旬の時季じゃないと手に入らない。


「イチゴは今の時季、無いですからねぇ」


「そうなのよね……」


 ララの指摘にガックリと肩を落としながら、私はうなだれた。この世界の季節的にこれから、寒くなる一方。イチゴが収穫できる季節は春。あと、半年もあるのだ。仕方ないこととはいえ、イチゴのケーキを作りたい身としては中々ツライ。

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