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秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!  作者: 中野莉央
『パティスリー・セリナ』開店日
132/449

132

「さっき、アップルパイの仕込みをした時に出た、リンゴの皮と芯がもったいないなと思って……。そう言えば、リンゴの皮と芯を再利用して『フレッシュ・アップルティー』ができると思ったの」


「フレッシュ・アップルティー」


「本当に新鮮な香りがする、リンゴのお茶ですね」


「とても皮と芯を入れただけとは思えません。でも、確かにすごく良い香りがします」


 ポットの中身を見た今も、半信半疑という表情の双子に苦笑する。


「『一日一個のリンゴで医者いらず』とか『リンゴが赤くなると医者が青くなる』とかって言うことわざがある位、リンゴは栄養価が高い果物だから、こうやって出来るだけ無駄のないように摂取したいと思ったの」


「へぇ……」


「そんなことわざが……」


「うん。特に『リンゴの皮』には良い栄養素がふくまれてるって言うし」


「そうなんですか」


「知らなかったです……」



 ルルとララは感心しながらフレッシュ・アップルティーを飲んでいる。リンゴの皮には身体に良いポリフェノールや食物繊維が豊富にふくまれている。つまり果肉だけではなく皮を摂取することで、免疫力を高めて病気になりにくくなる効果や美肌効果、整腸作用などが期待できるのだ。


 だが商品として販売する以上、食感などの関係で全て皮つきのリンゴケーキとして販売するのはむずかしい。しかし、捨てるはずの皮や芯をこうしてフレッシュ・アップルティーにすることで本来、ゴミにしかならなかった部位が再利用されるのは良いことだろう。


 何しろポリフェノールは熱にも強いので、お茶にすることでリンゴの良い成分が染み出し、胃から摂取できるはず。何より香りが非常に良いのでリラックス効果もあるだろう。




 テーブルの上には双子が用意したスープとサラダ。それに私が作ったキッシュが並んでいる。焼きたてのキッシュは表面のチーズに程よく焼き目がついていて、切り分ければ中に入っているジャガイモやホウレン草の緑色が鮮やかだ。


 そして、オリーブオイルでよく炒められたニンニク、薄切りにしたタマネギ、旬のキノコと厚切りのベーコンが白い湯気と共に食欲をそそる香りを放つ。


 一口食べると、コショウやスパイスでほどよく味付けされた具材と表面の芳ばしい黄金色のチーズ、こんがりと焼けたパイ生地の食感がたまらない。


「このキッシュ美味しいです~!」


「しあわせです~!」


「うん。上手くできて良かったわ」


 具材のタマネギをオリーブオイルでしっかりアメ色になるまで炒めたのも良かったようだ。タマネギの甘みがよく出ている。双子の作る食事に比べると及ばないだろうが、今日は特に疲れているので塩味やスパイスがきいた物は、食欲を刺激するのだろう。ともあれ、二人に喜んでもらえて何よりだ。

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