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 自分がハーレムに入れられるという時点で、すでに断固拒否したいのだが、獅子王家の恐ろしいループに組み込まれる可能性を考えるとゾッとした。


 絶対に獅子王家のハーレムになんか入れられたくない。つまり、私が『聖女』かも知れない可能性があるということは、周囲にみじんも感じさせてはいけないのだ。




 図書館に寄って、獅子王家のハーレムの件を調べていたら帰宅するころには、空が夕暮れ色に染まっていた。



「ただいま、お母さま」


「お帰りなさいセリナ。遅かったんじゃないの?」


「うん。ちょっと図書館で調べ物をしたから」



 聖女かも知れないとなれば、獅子王家のハーレムに入れられる可能性があるなどと、バカ正直に話せば母にいらぬ心配をかけるだけだろう。私はざっくりとした事実のみ報告した。



「あら、そうなの? てっきり学園でお友達でも出来たのかと思ってたけど」


「友達なら、クオーツ男爵家のローザっていう子と仲良くなったわ」


「クオーツ男爵家!?」


「うん。知ってるの?」


「確か……。我がセレニテス子爵家の領地の近くに、クオーツ男爵家の領地もあったはずよ」


「そうなんだ……」


「意外な縁ね。家族ぐるみで仲良くする機会もあるかもしれないわねぇ」




 獅子王家の伝統、ハーレムを知ってからドン引きしていた私だが、要は『聖女』である可能性を悟らせなければ済む話なのだ。夕飯を食べながら学園入学当初からの目標。ごくごく平凡、平均的な女生徒として過ごすべく私は決意を新たにした。


 そんな中、王立学園では待ちに待った『魔法』の授業がある。魔法と言えば、すでに自宅の書庫にある魔法関連書を読みあさっているため、独学で相当な種類が使えるのだが、調子に乗って目立ってはいけないだろう。


 しかし、同年代の子たちがどんな魔法を使うのか興味津々である。私は高鳴る胸をおさえながら教壇に立つ先生の話に耳を傾ける。


「はい。今日は皆さんに初歩魔法を教えます。集中し、指先に魔力をためて手元のローソクに火をつけてください」


 先生に指示された通り、指先に意識を集中させ生徒たちがローソクに火を灯していく。中には火力が強すぎて前髪が少し焦げてしまった生徒もいてヒヤリとしたが皆、次々と成功している。


 級友たちの様子を見て、私も手元のローソクに火を灯す。この程度なら幼少期にマスターしているので全く問題ない。


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