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「テメェな……。半永久的に冷却できる純度の高い氷魔石を複数使用して、冷却装置を作るんだぞ? 材料の値段を考えれば妥当な価格だ。文句があるなら他を当たりな」


「ぐっ、じゃあ……。純度の低い氷魔石を使うと、値段が安くなったりしませんか? 半永久的に冷却できるレベルじゃなくて良いんです」


「そうだな。純度の低い氷魔石なら、確かに安いが……」


 コルニクスさんはアゴに手を当てて、難しそうな顔をする。


「何か問題が?」


「純度の低い氷魔石は、定期的な魔力供給をしないと冷却効果が持続しない」


「どのくらいの頻度で魔力供給したら良いんですか?」


「魔石の物にもよるが、最低ランクの魔石で食料を冷却保存するなら……。毎日一回は定期的に、魔力供給する必要があるな……。だが、魔力が低い奴にはすすめられない」


「あ、それなら大丈夫です! 純度の低い氷魔石で作って下さい!」


「……おまえ、魔石の魔力供給にどれだけ力が必要だと」


「魔力供給すれば、丸一日は冷却効果が持続するんですよね? それで充分です!」


 何しろ、当初は数時間おきに氷魔法を使って冷却することを想定していたのだ。それを思えば一日、一回の魔力供給ですむなら、かなり楽ができる。


 それに、コルニクスさんは魔力供給の大変さを懸念しているようだが、私の魔力量は多いのだから、全く心配ないだろう。


「ハァ。後から、魔力の消耗が酷すぎて使えないと泣きつかれても、返品はできんぞ?」


「問題ないです! で、お値段はおいくらになるんでしょうか?」


「そうだな……。純度の低い氷魔石を使った場合は……」


 コルニクスさんは、いぶかしそうな顔をしながらも、安い魔石を使った場合の価格を提示してくれた。そして、その価格は私でも充分だせる金額だった。


「これなら購入できます! これでショーケースと保冷庫、お願いします!」


「依頼されたからにはやるが、どうなっても俺は知らんぞ」


「あ、あと……。お客さんが購入したケーキを保冷できるような、小型サイズの物ってありますか?」


「客が使う物か。純度の高い氷魔石なら簡単だが……」


 魔道具屋の店主は手元の青い石に視線を落とした。嫌な予感を察知した私は、全力で意思表示する。


「値段が高いのは無理ですっ!」


「ハァ……。だろうな。自力で魔力を込めるなら、これでも一定時間の保冷はできるがな」


 ため息をつきながら、コルニクスさんがクツの先で足下の木箱をコツンとこづいた。木箱の中には青い石の削りカスが大量に入っている。

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