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 澄み渡る空の下、遠目からでも立派にそびえ立つ尖塔が印象的な石造りの王立学園を見上げれば、鮮やかな青地に金糸で獅子の意匠がほどこされた旗が風にはためいている。


 紋章が刻まれた石造りの門を通り抜けて園内に足を踏み入れれば、ただの通路の柱や天井ですらシンプルながらも、優美な装飾がほどこされている。まさに王侯貴族が通う学園という趣きを感じさせた。



「貴族令嬢とは言え、前世が日本人でそこまで裕福と言う訳では無い、子爵令嬢と言う身分の私にとって、こんな雰囲気は何だか腰が引けてしまうわね……」



 美しい半円アーチ窓から日差しが差し込む長い廊下を歩き、重厚な建物に緊張しながら自分と同じ新入生たちがひしめく教室に入り席に着けば、隣にいる美しいプラチナブロンドの少女がアクアマリン色の瞳を細めて柔らかく微笑んでいた。



「こんにちは。私、クオーツ男爵家のローザよ」


「私はセレニテス子爵家のセリナ。よろしくね」



 プラチナブロンドの少女、ローザと握手しながら、私は彼女の優し気な雰囲気に緊張がほぐれていくのを感じた。


「王侯貴族の学園って聞いてたから緊張してたんだけど。ローザみたいに優しそうな子がいて、ちょっと安心したわ」


「私もセリナみたいな、話しやすそうな子がいて嬉しいわ。王子様といっしょのクラスなんて、どうしようと思ってたから」


「え、王子様!?」


「うん。あそこにいるのが……」



 ローザの視線の先を見つめれば、目つきの悪い金髪の男子生徒が、取り巻きに囲まれているのが視界に入った。



「あの金髪の男子生徒が王子なの?」


「ええ。獅子王家のダーク王子だって、ほかの子たちが話してたわ」


「ダーク王子……」


「でも、王子と言っても第四王子だから、王位継承には遠いらしいけど」


「そうなんだ」



 同じクラスに王子がいるということは、余計に目をつけられないように。目立たないようにしないといけないだろう。私は、念の為に生まれつき魔力が高いことも、回復魔法が使えることも隠した方が良いと判断した。




 王立学園では私が生まれた、この『金獅子国』について歴史や成り立ちについて授業を受けた。なんでも初代国王は獅子の獣人だったそうで、現在の国王も獅子獣人の血を継いでいるという。


 この世界では本当に獣人が珍しくないのだ。休み時間に、ふとダーク王子が視界に入った。普通に人間の姿をしている彼に疑問が浮かび、ローザに話しかける。


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