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ポーション作りの錬金薬師  作者: レモンティー


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第二十五話:褒美

王宮・謁見の間。

静まり返っている。

だが――

空気は張り詰めていた。

重い。

濃い。

誰もが理解している。

その中心に立つのは――

リオンとルーシェだった。

ここにいる二人が、国を救った。


・ざわめきと視線

貴族たちの目。

兵士たちの目。

侍従たちの目。

すべてが二人に向いている。

囁きが漏れる。

「王都を救った者……」

「毒を無効化した錬金術師……」

「いや、あれはもう……」

言葉が続かない。

理解が追いついていない。

それほどのことをやった。


・入場

扉が開く。

リオンとルーシェが歩く。

足音が響く。

コツ、コツ、と。

その一歩ごとに、

空気が静まっていく。

視線が、突き刺さる。

だが――

リオンは気にしない。

ただ歩く。

いつも通りに。


・王

玉座の上。

王がゆっくりと口を開く。

「リオン」

名前が呼ばれた瞬間。

空気が張り詰める。

「そなたの働き」

一拍。

「見事であった」

重い。

だが確かに、賞賛だった。

「王都は救われた」

「民も、国もだ」

声が響く。

「よって――」

全員が息を止める。

「褒美を与える」

ざわめきが爆発する。


・期待

「爵位だ……!」

「いや、侯爵級だぞ……!」

「領地もつくだろう……!」

「国家専属……いや、それ以上だ……!」

興奮が広がる。

抑えきれない。

ここで与えられるものは、

常識の範囲を超える。

爵位か。

領地か。

あるいは――

国家専属の地位か。

誰もがそう思った。


・王

王が手を上げる。

一瞬で静まる。

「望むものを申せ」

シンプルな一言。

だがそれは、

“何でも許される”に等しい。

視線が集まる。

リオンへ。


・ルーシェ(内心)

(何でも……?)

心臓が強く鳴る。

(何を言うの……)

横を見る。

リオンは――

いつも通りだった。

(やっぱり読めない……!)

名誉には興味がなさそう。

権力も。

金すら怪しい。

(でもさすがに……)

少しは現実的なものを――

そう思った。


・リオン

少しだけ考える。

沈黙。

誰もが待つ。

誰もが期待する。

長くはないが、全員が待つには十分だった。

そして――

「じゃあ」

軽い。

あまりにも軽い。

その瞬間、

全員が前のめりになる。

「設備が欲しい」

「……は?」

誰かが素で声を漏らした。


・沈黙

一瞬。

誰も理解できなかった。

「……設備?」

王が聞き返す。


・リオンの要求

リオンは続ける。

「ちゃんとした実験設備」

「あと、安定した素材供給」

「できれば、外から邪魔されない環境も欲しい」

淡々と。

まるで買い物のように。


・周囲

ざわめきが広がる。

「それだけ……?」

「いや、待て……」

「もっとあるだろ……!」

「何を言ってるんだ!?」

場が完全に崩れる。

貴族たちが思わず声を上げる。

誰もが思う。

だが――

本人は真剣だった。


・王の確認

王が目を細める。

王ですら、一瞬言葉を失う。

「……それだけでよいのか」

確認。

本気かどうか。


・リオン

「そう」

即答。

迷いゼロ。

「それが一番価値がある」


・静寂

今度は逆の意味で静まる。

誰も、何も言えない。


・貴族との価値観のズレ

「……理解できん……」

「なぜだ……」

「権力だぞ……?」

「国が動く力だぞ……?」

貴族たちが絶句する。

爵位より?

領地より?

権力より?

「……理解できん……」

誰かが漏らす。

だが――

その価値観が、通じていない。


・ルーシェ

小さく顔を覆う。

「……やっぱりそうなるんですね……」

「一応期待した私が馬鹿でした……」


・王の変化

沈黙。

そして――

王が、笑う。

「……なるほどな」

低く。

楽しそうに。

「よかろう」

その一言で空気が変わる。


・王の決断

沈黙のあと。

王が、ふっと息を吐く。

そして――

笑った。

小さく。

だが確かに。

「……なるほどな」

「よかろう」

その一言で、空気が変わる。

「そなたに専用の研究設備を与える」

「素材も、環境も、最高のものを用意しよう」

ざわめき。

王はさらに続ける。

「加えて」

全員が再び注目する。

「王命とする」

空気が止まる。

「いかなる権力も、そなたの研究を妨げることを許さぬ」


・王の圧

王が視線を向ける。

一瞬で黙る。

「異論があるか?」

誰も答えられない。

答えられるはずがない。


・確定

「これよりリオンは――」

「国に縛られぬ、国の力だ」

その宣言は、

歴史を変えた。


・リオン

「それは助かる」

あっさり。

本当にそれだけ。


・ルーシェ

「えぇ!?いや軽すぎます!!」

思わず突っ込む。

「今の、すごいこと言われましたよ!?」

「そう?」

「そうです!!」


・余韻

王が最後に言う。

「そなたは、すでに証明した」

「世界を書き換える力をな」

場が静まる。

その言葉の重さに。


・締め

王宮を出る。

光が差す廊下。

さっきまでの熱が嘘のように静か。

ルーシェが深く息を吐く。

「……疲れました……」

「何もしてないけど」

「精神的にです!!」

リオンは少しだけ考える。

そして言う。

「でも」

「これでやっと、まともに検証できる」

ルーシェが止まる。

そして――笑う。

「……ほんと、それですね」

外の空気は軽い。

もう毒はない。

だが。

もっと大きなものが、動き始めている。

“世界の前提”。

それに触れる者が、正式に認められた。

何の制限もなく。

何の恐れもなく。

そして――

止まる気もなく。

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