表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間体験  作者: hi07


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/54

第45話 case 4-神業入り

ようやく家に帰れる、そう思うと央吾は眠気から解放され、お腹がしっかり空いてきた。


「神業って何なの?ぼた餅ない?」


父にもう一度聞いてみた。


「神様になる為の修行の事だよ。ばあちゃんもきっと今、神業中だよ。

ぼた餅は母さんが持ってるよ」


遠くで母と西中島がまだ話している。


「テンショウサマは生きてるじゃん」


央吾は不思議に思った事をそのまま父にぶつけた。父は周囲を見渡すと、しゃがみ込み央吾よりも目線を下にし、小声で話し出した。


「央吾に言う事ではないかもしれないが、テンショウサマは今から死ぬと言う事だ…」


「…え?…今から?」


父は険しい顔で小さく頷いた…


「今はまだ央吾には分からないかもな…」


気持ち悪かった。意味が分からなかった。

ゴンギョウをしても、怪我が治る訳でもない、ばあちゃんも助けてくれなかった、もちろん姉の障害も…


神様なんかいないのに…


何をそんなに信じているのか…


信仰心への嫌悪感はあったが、央吾にとっては超絶どうでもよかった、テンショウサマには何の思い入れも無い。

それよりも早く帰る事の方が大事だ。

母が西中島と話し込み、なかなか戻って来ない事の方が問題だった。



神業に入る=死である。


世界の始まり神教での生前からの神業は過酷を極める。らしい…


神社がある山の山頂付近に大きな穴を掘る所から始まる。3メートル程の深さまで掘ると、

1.3m四方の箱の中に入り、掘った穴に埋められる。

箱には直径10cm程の通気口が取り付けられており、その通気口には、両端に鈴を着けた紐が通されている。

この鈴が地上との唯一の繋がりであり、生存確認はこの鈴で行う。

毎朝、地上から紐を引っ張り鈴を鳴らす、地下から鈴を鳴らし返せば“生”、返事が無ければ“死”。


返事が無くなってから更に3日間、それを繰り返す。3日連続で返事が無ければ、“死”と判断し通気口を塞ぐ。

そして、半年後に掘り起こす。


箱に入る際、持って入るものは漆のみ。

中で少しずつ飲むのである。

漆を飲む事で遺体はミイラ化する。


そのミイラ化した遺体を大広間の一番奥に神として祀るのだ。



「母さん、遅いね…」


「そうだなぁ。でも、あっちが渋滞してるよ」


父が指差した出入り口ではまだまだ混雑していた。

央吾が出入り口から視線を戻すと、そこには西中島がいた。

父も祖父も文一も頭を下げている。


「ありがとうございます。宜しくお願いします」


「ええ、上には私からちゃんと話をしていますから」


西中島があの信用出来ない顔で話している。


すると、央吾の方へかがんで顔を近付けてきた。気持ち悪っ!と思ったが表情に出さずに何とか耐えた。

真顔の西中島と目が合った。2秒間真顔だったが急にニコッと笑って、


「またね。おやすみ」


西中島はどっかへ行った。


「ヨシッ、やっと帰れる」


思わず声に出てしまったが、誰にも聞こえていなかった。

皆んな西中島に向かってお辞儀をしていたからだ。


央吾は車に乗り込むと直ぐに、さっきまでが嘘の様に睡魔に引き込まれた。



「央吾、起きなさい。言業の時間よ」


いつもの母の声で目覚める。央吾は目を開けようとしても、眉毛しか動かない。うっすら見えた景色からの情報では家の駐車場だ。


「ゴンギョウ?今から?」


昨日、散々やった…帰りの車に乗り込んだのが

3時頃で今が8時半過ぎ、感覚的にはさっきまでゴンギョウをしていたのに…


車から降りると、そのまま2階へ上がりテンショウサマの部屋に入った。


父は祖父を抱えまだ階段を上がっている。


ふと央吾は姉が居ない事に気付いた。


「姉ちゃんは?まだ寝てるの?」


ゴンギョウの準備をしていた母の手が一瞬止まった…


「めぐみはね、神業に入ったの…光栄な事よ」


え?…神業?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ