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よろず屋K  作者: やしき丸
メインストーリー

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1/16

第一話

「それじゃ(けい)さん、よろしくね」


「はい。それじゃ」


通話を切る。


俺の名は逆木葉(さかきば) (けい)。たった一人で『よろず屋K』を営んでいる。

よろず屋と言ってもかなり特殊な、『幽霊専門のよろず屋』だ。


今話していたのは自称霊能力者の佐伯さん。

俺の仕事は大体佐伯さんから回ってくる。


佐伯さんは霊能力者としては結構有名で、オカルト関係の依頼が引っ切り無しにくる。俺が自称と呼んだ事からわかるだろうが、佐伯さんはインチキ霊能者だ。


オカルトと関係ないものは自分が担当し、オカルトが関係してそうな依頼は、解決できる人間に回している。

それで大体解決しているので、今のところ佐伯さんの名声は地に落ちてはいない。

佐伯さんの最大の武器は、その人脈だ。


今回佐伯さんが回してくれたのは、アパートに幽霊が出るから除霊してくれと言うもの。


俺が住んでいるボロアパートから依頼主が住んでいるアパートまで電車で少しかかる。なるべく早くとの事だったが、今は深夜だ。

車の免許は持っていないので、明日の日中に行くとしよう。



翌日。

俺は1時間ほど電車に揺られ、今回の依頼主が住んでいるアパートに着いた。


アパートとは言っても、俺が住んでるボロアパートとは雲泥の差だ。

少し羨ましく思いながら、105号室のインターホンを鳴らす。


中からどたどたと音が聞こえてきて、玄関のドアが開けられた。

出てきた依頼主と思われる男性は、あまり寝ていないのか顔色が少し悪い。


「佐伯さんからの紹介で来ました。『よろず屋K』の逆木葉と申します」


依頼主と思われる男性は、不審そうな顔をしている。


「あの……佐伯さんは来ていただけないんですか?」


この人が依頼主本人らしい。


「佐伯さんはお忙しいので。こちらのご依頼は私でも対応できると思います。それでもどうしてもと言うことなら、私は帰りますが……」


「い、いえっ!疑ってるわけじゃないんです。ど、どうぞ……」


依頼主の男性はチェーンを外して俺を中に入れてくれた。

几帳面な性格なのか、部屋の中は綺麗に整頓されている。


「依頼内容は『幽霊が出て困っている。除霊してほしい』という事で合ってますか?」


「は、はい……。最近、夜寝ていると誰かに引っ張られるんです。寝る度に引っ張られるので、怖くて寝れなくて……」


「なるほど……姿は見ましたか?」


「いえ……で、でもっ!確かに誰かに引っ張られるんです!手の感触もしっかり感じます!ほんとなんです!」


俺に疑われていると思ったのか、依頼主は早口でまくし立てた。


「落ち着いてください。疑ってるわけじゃありません。それに、()()()()()()()()大丈夫ですよ」


「えっ!?」


依頼主が驚いている。


実はこの部屋に入ってすぐに原因はわかっていた。

依頼主の部屋の中に、20代くらいの女性が座っている。これが依頼主を引っ張った幽霊だろう。


幽霊は俺が部屋に入ってからずっとこっちを見ている。


「これから幽霊に呼びかけますので、途中で話しを遮ったりしないで、私が良いと言うまで黙って待っていてください」


俺がそう言うと、依頼主は何度も首を縦に振って、部屋の隅に移動した。



さあ、始めよう。



「さて、お姉さん。俺の声が聞こえるかな?」


幽霊は一度頷いた。


「この部屋の主を毎晩引っ張っていたって聞いたけど、何か伝えたいことでもあった?」


幽霊は首を横に振った。


「寂しくて構ってほしかった?気を引きたかった?」


幽霊は頷いた。特に強い想いがあるわけではないようだ。これなら簡単だ。


「じゃあ提案なんだけど、俺のところにこないか?見ての通り、俺の周りは賑やかでね。君がしばらく滞在する間は構ってあげられると思うけど」


幽霊は動かない。


「まだ居場所を決めたわけじゃないんだろう?俺なら君を受け入れてあげられる。触れる度に怖がられたりするのは、君だって嫌だろう?」


幽霊はゆっくりと頷いた。


俺は幽霊のお姉さんに手を伸ばす。

するとお姉さんは俺の手をとり、俺の体に絡みついた。


「……はい。終わりです。あなたを引っ張っていた女性は、私が引き取りました」


「え?もう、終わったんですか?話しただけで?」


「聞き分けのいい子で良かったですね。これでしばらくは大丈夫でしょう。ただ、憑かれやすい人と言うのはいるので、またもし何かあったら連絡してください」


「は、はい……ありがとう、ございました?」


依頼主はまだ実感がないようだ。まあ今夜寝た時にでも実感するだろう。

俺は依頼主から報酬の2万円を受け取り、アパートを出た。


今回俺に憑いた女性がもぞもぞしている。自分のポジションを探っているようだ。

まあ、10人以上憑いてるから、狭いのは我慢してほしい。

カクヨム様で掲載している作品をこちらにも掲載させていただきます。

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