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冥府への旅路①希少金属※直し予定


七区…既に居住可能区域とは呼ばれない場所


但し居住に適さないと区分けされているだけで今のアシハラには法律も無ければ罰則事項も無い…それでも…


そこに住む者は存在するし、交流してはいけない決まりも無い


例えば第六居住可能区域で最大の規模を誇るスス原町の様に上位者が介入して利権の発生を潰す様な事も無く…


七区の町々では依然として旧世界の遣り方で町は統治されている…六区の様にどこかの一族が住民の機嫌を取りながら騙し騙し権力を維持している様な環境では無く…


力こそ全て…常に人々は争い町の権力者は数年を待たず交代していく…住民から搾取し…そして社会の為…弱者の為…住民の為にと革命を起こす者が現れ…結局は新たに権力者として再び搾取を始める…同じ事を繰り返す地獄で有る


地の時代…古き神々の律…巨大帝国…世界宗教と資本家、思想家…扇動者が作り上げた世界


様々な物事は数多くの知性が集まる、或いは集める事で発展を極めた


その世界の負の側面、富める者が更に多数から搾取するシステムを作り上げ…或いは弱者に居直り権利を貪る者


天の時代はそれを許さぬ…新しい有徳律には適さない、上位者達は数百年掛けて地脈に新たな律を刻み込み…魔界を地の律に従う者達の最後の住処へと作り替えた


死して転生の後は獣として邪鬼として生きる事を余儀無くされる者達の集まり…


七区の街の律は古い世界の残滓…或いは下の異世界と同じでは有るが…よりあからさまで酷いかも知れない


人々は欲望を満たす為に善意を装い与える者と与えられる者を…或いは弱者を作り出し…階層を作り…人を貶め…やがては奴隷を作り出す


金銭や物資が絡み妙な理屈でそれを行う分…魔人と化した者の方が小鬼などの邪鬼よりタチが悪いかも知れない


少なくとも小鬼達は欲望に正直では有る…彼等は欲望を満たす為に自らの力を行使するからだ、獣と同じく…


上位者が常々口にする魔法に付いても、それを使ったとて取り締まる法は無い


何処にも存在しない筈の異次元の想念に侵される…などと言われても意に返さない者は存在する…上位者や霊能力に長けた者でないと次元の狭間に落ちた亡者達の集合思念体…悪魔の想念など観測も出来ないからではあるのだが…


それでも日々の啓発が功を奏し


今現在はその脅威もある程度は浸透し第六居住可能区域の人間でさえ使う者は少ない


だが七区では魔法など日常で有る、使わなければ…その恩恵に預からなければ…この酷い場所生きて行くのは難しい


上位者達は何も言わず眉を顰めながらもこの区域…七区を放置する


有る冒険者が滅多に社会に介入する事が無い上位者達の一人に現状の不満をぶつけた事があった


不満をぶつけた冒険者は正義漢だったかも知れない


だが…その上位者の言葉は次の様なものであった


「貴方は危険だからと言う理由で七区の街を浄化したいと?具体的にはどうするつもりなのかな?気に入らないと虐殺でもするのかい?それとも君の思想を押し付けるのかい?君がもしそれを行えば精神性を大きく落とす羽目になると思うが?全ての者には生きるべき場所が必要なのだよ…傍から見てどの様に邪悪で不快で有ろうとも…誰がどの様に思おうと我々は魔界を根絶するつもりは無いし、七区は…身の置き場が無くなった者の最後の拠り所で有り…不遇の中で魂を強く育てる者もいるかも知れない…それに…七区の者がと言うよりも…魔界とは他の者達が進化する為に存在する試練の様な場所でも有るのだよ、人は悪や不快な事象と交わりそこから這い上がる事で魂を育てるのだ、全てを排除し安寧に没すれば強い魂は育たない…それに…危険な場所だからこそ守れるものも有る」


古来よりマトモな人の近づかない場所で有るからこそ…秘密も存在する


大岩壁の直ぐ側で日照時間も短く…


人の心は貧しい…


だが…そんな吹き溜まりで無ければ生活出来ぬ者も世の中には存在するのだ


かつて世界宗教が全盛の時代は躍起になって魔界を消そうと試みた…結果西大陸及び世界全域はより多くの魔界が増え人の住めない地域と化した


穢を消そうとすれば更に増えるのが道理…穢れた魂は死した後も転生して目的を果たそうとする…次の生で数多の隣人を巻き込みながら、だから魔界は消えぬし無理に消そうとすれば増える、極端な話をするので有れば全ての知性体を消滅させれば魔界は消える道理ではあるのだ


だがそんなわけには行くまい、星神に創造されし人類とはより高次元を目指して魂を昇華させる為の器なのだ…


人は無垢ではいられず…その過程で魔界を作り出してしまうのは織り込み済みの構造では有るのだ


もしかしたらあらゆる宇宙…世界から存在を抹消されてしまった存在しない次元の想念…人々を誘惑する悪魔さえも…


人は楽園から追放された結果悪と善の狭間の世界を彷徨うと言った逸話が有るのだが…世界宗教が言う所の楽園と果実の逸話


あれは…人々が考えているよりも遥かに古い逸話で有る…星神が言う所では、その起源は銀河の遥か彼方に有るとされる…



この世の不浄を凝縮した悪の世界…第七居住不可区域…


アシハラの上位者達よって意図的に作られた濃縮された不浄の地…


焔の巫女とその従士達はそんな居住不可区域に有る街の一つ…


流星街に足を踏み入れようとしていた



 ◆ ◆ ◆



六区の安星町ではめぼしい情報は得られず、北部のスス原に比べれば遥かに規模の小さい町で有り、住んで居る住人も数百人程度の規模でしか無い


元々は都市から微妙な位置に有った村であり、若者が皆都市部に出てしまった潰れ掛けの限界集落であった場所で


終末の大戦と地殻変動で家を失った都市部の人々が浄水設備などのインフラ目当てに集まった結果出来た街であるらしい


元々住んでいた住民は押し出される様に…五区や四区…或いは三区に向かって行った悲しい過去も有りはするのだが…


結果…追い立てられる様に出て行った者の子孫が今は三区や四区などで繁栄を謳歌しているのは皮肉な結果と言える


半ば以上魔界の中に有るとは言え、七区や樹海に向かう外部の人間で小さいながらそれなりに賑わってはいる


だが…肝心の馬頭(メズ)は数カ月に一度物資を仕入れに…或いは樹海の産物を売りに来るだけで…前回来たのは数日前だそうで…ほぼ入れ違いとなってしまった


「そりゃとんでもねぇフカシだぜ姉ちゃん…あいつらは絶対に住処に軽々しく他人を案内なんてしないし…唯一コンタクトを取って支援してた闇星(やみほし)家の子孫の家は今の七区に有る流星街の辺りでな…大災害ん時に海沿いの都市から逃げてきた奴等に…避難民だか犯罪者だがに押し込み強盗に入られて誰も生き残っちゃいねぇのよ…」


バザーで魔界産の希少素材を取り引きしている仲買人がそうのたまう…が…美咲は食い下がる


「本当だもん!友達になって村に呼ばれたんだって!」


「ハハ…俺だって奴等とは長い付き合いだけどさ…村に呼ばれた事もねぇし…見てみなよこの高純度の魔鉄鉱石をよ…こっちにはミスリル鉱石だってある…奴等も滅多に持って来ねぇがオリハルコンだって二回程あったんだ…俺も当然鉱脈の場所を知りたくてよ…奴等に案内する様に交渉だってしたんだ…全て断られたさ…」


「それは!おじさんの欲の皮が突っ張ってたせいでしょ?!アタシの場合はぁ!タイマン張ったらダチじゃい!って昔から言うでしょ?!おじさんとは違って戦士の……」


この世界の人間にそんな何処かのヤンキー漫画のセリフを並べても意味は通じない…


仲買商は気分を悪くしたらしい


「ああそうかい!その通りだよ!欲深くて悪かったなぁ!俺は商売に励みたいんでね!とっととどっか行ってくんねぇかなぁ!」


と…こんな遣り取りが有り…それ以上は話を聞く事も出来なくなってしまった…


その夜…宿で反省会…


宿と言っても元々が小さな過疎の村である、スス原の様に大昔のホテルの廃墟を利用した物など無い、新しく作った建物では有るのだろうが…当然給水設備なども無く…だが個室とベッドが有るだけマシかも知れない


広い体育館の様な場所で仕切りだけ置いて雑魚寝…他の六区の町にはそんな宿も多いらしい…


(こじ)れてしまった物は仕方無い、次の道を考えよう…それに彼からはこれ以上の有用な情報は得れなかっただろう…やっぱり七区へ【魔人街】へ入るしか無いのか…他の者はともかくとして私は歓迎されないだろうな…普通の人間はともかく黒き魂となった魔人達は自分達とは違う霊気には敏感らしいからな」


今の世界の法則を作り上げた上位者達の身内で有る焔の巫女は魔人街の者達には歓迎はされないだろう…


区域が外に行くにつれて住む人々も他責思考の者が多くなる…この六区であっても巫女と聞けば受けは良くは無いだろう


その思考から離れ自身を見つめ直し精神性を高めねばアシハラの中心区画で暮らせない…


それを理解も納得も出来ないから彼ら彼女らは魔界で暮らす羽目になるのだが


「本当ごめ〜ん…ついつい…嘘つき呼ばわりされたら腹立っちゃって…フカシなんかコイて無いっつーの!」


「美咲ちゃん…そんなに自分を責めなくても…あれで怒るんだから本人もちゃんと分かってるんだよ…痛い所を突かれたから彼は怒ったのさ」


英二は美咲にやや甘い…美咲は頭は悪く無い筈なのだが…人対人の関係で妙に世間知らずな子供の様な対応をする事がある


その知性や判断力は全て戦闘への駆け引きに割かれてる様にも感じる


「美咲ちゃんのそうゆートコは織り込み済みだから今更だとして…情報が全く無かったとも言え無いぜ?」


正人もどっこいどっこいで一言多い男で有るのだが…自分の事は棚上げにしているらしい


「正人〜!お前はまたぁ!」


「英二〜良いよ別に〜三ヶ月も一緒に訓練してたんだから、いい加減慣れてるし…正人君が一言余計なのはさぁ…アタシも気お付けなくちゃ♪」


美咲の嫌味は無視して正人の一言にジョーイが問う


「何か気付いたのか?何も有益な情報は無かった気がするけど?」


「あぁ…金属だよ希少金属の鉱石は瘴気が地面を透過する際に長い時間を掛けて性質が変化するんだよな?」


「あ〜〜マドカ様の授業で聞いた事ありマスねぇ………でそれが何か?おじさんは扱ってましたけど精製する施設が無ければ買っても……」


「いや!そうじゃ無くて!鈴本さんなら分かるかと思ったけど…今回は俺の勝ちだな…へっ♪」


「…ぐっ!……腹立つ!…それで何が分かったんです?」


正人は唇を舐めて皆に説明する…


つまり魔鉄鉱などは瘴気の濃い場所で有るならばその辺の…、アシハラを囲む岩壁などでも意外と見つかる、元々は鉄で有るのでそれなりに多い


だがミスリル…つまり元々は銀の鉱脈となると全く別の場所から取って来た可能性が高い


だがオリハルコン…ヒヒイロカネとも呼ばれる希少鉱石は元々は金鉱脈で有る


金の生成などは諸説有るが、荷電により銀から変質するのだと言う説が有る…とは言え一グラムの金を作るのに膨大な電力を消費するのでコストは悪い…


現在地上に出回ってる金とは地中深くでプレートが動く事で電気が発生し生成された物が気の遠くなる様な遥かな時間を経て地上付近まで迫り上がって来た物だと言う事になる


魔界とはいえ…遥か大昔…大八島時代から地表に近い場所に有る部分の金など取り尽くされているだろう


正人達の世界でもリンクする土地で…近代で金が出た…などの話は聞いた事が無い


つまり…馬頭達は地中深くに有る場所から採取して来た可能性が非常に高い…


冥界とは瘴気に満ちてはいるが常に…それは奥から吹き上げる様にしてやがては地上に滞留し魔界を生成するのだと言う


霊素と瘴気の違いを学んでいればこれはおかしい…


瘴気は大地に浸透透過し地中深くに落ちプレートのエネルギーで下の分断された世界の低層霊界…魔界に落ちて行く


風に吹き上げられる様な…そもそも物質ですら無い、下の物質世界では目視すら出来ぬモノで有る


不死の山は魔界にあってなお聖域で有り、そこは神気に満ちている


その所以とは?


邪鬼達は生きたいと願う欲…その精神に寄って瘴気を集め動かし傷を癒すエネルギーとし…または邪言の具現化の触媒にもする…奴等の使う術は人間達の術に比べ精神力や呪力の消費は少なく非常にコスパも良い


また瘴気を吹き散らし流せるのは浄化の風や浄化の水流のみ…


「…………ってわけでさ…馬頭達は確実に冥界の場所を知ってるし…瘴気が下から吹き上げられるのは上位者達の神霊が集まる故だと俺は仮定してみたのさ」


「なる程なぁ〜金属の事なんて好き好んで勉強しないし…異世界人の正人の方がこっちのそういった細かい事に興味があるモンなのかもね…もしかしたら…俺よりも詳しかったりして…」


オタク故なのか、異世界人故にコチラの事象が珍しく興味を持って学ぶのか分からないが…ジョーイの自嘲気味に放った言葉もあながち間違いでは無いかも知れない


「確かに…マドカさんが人は死なない肉体が朽ちても意思は残り魂は三千世界に旅立つ…って言ってたけど…意思…意識…霊体…神霊…冥界…竜の庭か…間違いなさそうだね」


英二が関心した様にフムフムと呟く


そしてアイラはキラキラした眼差しで無言で正人を見つめる


お互いに何かしら意識しているのは何となく理解はしている、でもそれをあからさまな態度や口にすれば妙な空気になってしまう…最近は少しそれも緩和されて来た…が口や態度に出すのは止めた


全ては運命の導くままに…


(大地の使徒…母様の予言…全ては彼と出会う為の受難だったのか?……私が未熟故に……いや、それは今考えても仕方無い…父様にも未来の伴侶に付いて何か言われた記憶が…でも思い出せない…)


「……イラ!アイラ!どうしちゃったの?ポーッとしちゃって…」


美咲に肩を揺すられハッと気付く


「あ…あぁ…済まない…で…何?」


美咲はやれやれと言った様子で…


「あ〜ん!だからさぁ…これからどうすんの?アイラが決めてくんなきゃ…アタシ等は従士なんだからさ…やっぱり樹海の奥地に案内も無く踏み込むのはね…魔人街に行って最新の地図を手に入れるのが近道かなぁ〜って思うんだけど…どうする?」


確かに…樹海と言うくらいで北部の大森林に比べればその規模は小さいが…


古い時代から殆ど手を付けられて居ない古の樹海、磁石も効かない場所で数年待たずして森はその様相を変えるとも聞く…


古い時代のアシハラ人の様に星を見る知識は持っていないし立ち上る瘴気で視界も悪い…


「ん…そうだな、こうなってしまっては仕方無い、数カ月もここで時間を無駄にするわけにも行かない…行こう魔人街…流星街へ…」


アイラは霊力を目に集中して従士達の精神性を見る…


正人…ジョーイ…涼夏…美咲…精神性は四区レベル…魔人街でもかろうじて敵視はされないだろう、他の危険はあるにしても…


だが…英二はアイラと同じく三区の上位で生活出来るレベル


神人の神気を多少受け継ぐアイラほどでは無いが魔人に見つかれば何らかの攻撃衝動を引き出す可能性が有る


「だが…済まない、私は街には入れない…私が一緒に街に入れば魔人達に関知され…無用の騒動を引き起こす可能性が高い…だから私と英二は街から離れた場所でキャンプを張り待機していた方が無難だろう他の皆に探索は頼むしか無いが大丈夫だろうか?」


「え?俺も駄目なんですか?」


英二の精神性の高さは、赤い森で…旅の合間合間でそれなりに感じる所も有り…正人達は何となくはマドカから指摘された事も有る…仲間内で唯一二区での修行を許された男でも有る


「まぁ…仕方無いな、ちょっと悔しい気もするが……あぁ…そこが精神性か…まぁ連中との交渉は俺達に任せてくれ」


 ◆ ◆ ◆


そんなわけで数日後…正人達四人は瘴気漂う七区の街を見下ろす丘の上でキャンプを張る英二とアイラをその場に残し…


流星街の入り口に立つ…


昼間だと言うのに薄暗く瘴気の量は六区の様なレベルでは無い…赤い森と然程変わらず…


通りを歩く人影は見えづらい


「流石に緊張するな…実は俺も七区の街は初めてでさ…」


「まぁ…好き好んで来る場所には見えないよな…」


「……ふん…来るなら暴れるだけよ…アタシは負けない…」


「美咲ちゃん…喧嘩腰になるのは止めて下さいね…出来れば穏便に済ませたいデスから…樹木も街中に無いし…」


肌で感じる敵意と…或いはもっと禍々しい粘ついた視線すらも感じる様な…人の怨嗟と欲望に満ちた街…【流星街】に踏み込んだので有る…



m(_ _)m


今の世の道徳観は、神の世界とは善悪が逆になっている。それを常識と思ってると真実は見えないぞ。

心の鏡をちゃんと磨けば、神の真実が見えて来るぞ。

(*´﹃`*)むずかすぃ…

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