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ここから契約婚約は始まった!

「魔法学校を首席で卒業なんて名誉なことだよ、アデリア君! 私も鼻が高い!」


「ありがとうございます」


 学長がひげをなでながらよかったよかったというのを聞いて私は複雑でした。

 魔法学校を卒業してしまうと、私は19になります。

 適齢期が20歳がギリギリなので、どうするんだ! という父の説教がうるさくなるからです。


 学長室を出て、ため息交じりに廊下を歩いていると、目の前から同級生の一人がやってきました。


「あら、殿下、どうなされましたの?」


「ああ。アデリアか、32人目の婚約者候補に振られて……」


「ああ、殿下、またあの趣味を見せましたのね」


「ああそうだ」


 殿下ははあとため息をつきます。殿下の趣味は、なんというかトカゲと蛙と蜘蛛、あとは蛇。

 これらをペットとして飼っていて、名前を付けて愛でています。


「アデリアみたいな肝の据わった人が少なくてね、なかなか対面をさせられない」


「対面をさせると、婚約破棄ですか」


「そうだな……そうだ」


 殿下はどうしようかなとまたため息をつきます。

 私はトカゲも蛙も蛇も蜘蛛も平気ですし、実は蛇は私も守護の動物として家に飼っておりますし。


「アデリア、頼みがある! 契約婚約でいい、婚約者になってくれないか!」


「はああ?」


 まあ二人とも、一人は魔法バカすぎて婚約者がいまだに決まらない令嬢、ゲテモノ動物好きで婚約者が決まらない王太子として有名でした。

 そんな二人ならもしかしてというか噂もありましたけど。


「契約って……」


「父上がうるさくって、とりあえず名目上でも婚約者を決めておいて、真実の愛する相手がみつかったら破棄でどうだい?」


「……」


 カフェテリアでする話じゃないので、取り合えず殿下の私室でお話をしています。

 ああ婚約者でもないのにと思いますが、殿下のペットのみいちゃん(蛇)のお世話をするために出入りはしてましたし……。


「契約ということは破棄するにおいて、条項をきちんと決めておかないと」


「契約書を交わそう、どちらかに真実の愛する相手が現れたら、婚約を破棄する。円満に破棄する方法としては不貞はまずい、だからそのどちらでも僕が失態をやらかしたということにするよ。そうだなみいちゃんを逃がしてしまったとか、みいちゃんはうちの賢者からの頂き物だから逃がしたとなったらかなりの失態だよね」


「みいちゃんを逃がすのはやめてください! 国が滅びますわ!」


「……大げさだとは思うけど」


「みいちゃんの本当の能力をあなたが知らないからですわ……」


 みいちゃんがこちらをいやそうに見ています。ガラスケース越しに見るその顔はうるさいなあという感じでした。ごめんなさいと頭を下げます。


「みいちゃんはただの蛇だよ」


「だから違います。うちの守護蛇のかー君が違うといってますのよ!」


 とりあえずみいちゃんを逃がしたらダメと私が言うとわかったと頷きます。

 賢者のじじいがみーちゃんのお世話が面倒になって押し付けたのは知ってます、その正体は……。

 頭が痛いですわ。


「とりあえず契約としては、詳しく契約書で詰めていきましょう。私もお父様から婚約婚約とうるさく言われているので助かります」


「そうだね、僕も愛しいペットたちを認めてくれる婚約者が現れるまで父上がうるさいから助かるよ」


 二人の利害が一致しました。私はこの度、めでたく殿下と契約を結び、殿下の婚約者となったのです。

 いえ意外だと思っていたけど、これもありかなと周囲がおもってくれたのは助かりました。

 よく蛇のみいちゃんのこと関係でお話をしていたからみたいです。


 ええ、この度主席として魔法学校を卒業した侯爵令嬢、アデリア・ライトと、王太子、リアム・エブリスの契約婚約はここからはじまったのですわ。



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