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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第三章 私達の魔法
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休日2

「はぁ……こ、神山君ですか……おはよう……ございます……どうしたんですか……そんなに慌てて……」

 雛井は苦しそうにしながらも元気よく見せようと無理に笑う。

「な、お、おい雛井!どうしたんだよ!」

 俺は急いで苦しそうにしている雛井の額に手を当てる。大量の汗でベトベトしているがそれでもよくわかるほど熱い。昨日まで――いや、さっきまであんなに気持ち良さそうに寝ていたのに……。冷静に考えればわかることだっただ。バカか俺は。くっそ!雛井が意味もなく俺のベッドで寝てるわけないだろ!

「こ、神山君。と、ってもあ、熱いです……」

 霞むような声で雛井が言った。

「雛井はもう喋らなくていいぞ、今日は起きなくていいからゆっくり休め」

 っくそ。どうすればいいだ?普通は病院に行けばいいのか?てか病院ってどこにあるんだよ?

「雛井、病院ってどこにあるかわかるか?」

「…………私は大丈夫ですから……そんなに怖い、顔しないで、ください……」

 ダメだ。救急車でも呼ぶか?どうやって?マジックフォンで呼べるのか?こんなに苦しそうなんだぞ?今から死んだりしないよな。

 そうだ。魔法学校だ!休みだけどやってるかもしれない。今からここからそこそこ近いし、なんとかできるかもしれない――

 その時だ。

 ピンポーンとチャイムが聞こえる。誰だよ。こんな時に!今はそんなことしてる場合じゃのに……。誰かもわからないし出なくていいか?いや、きたやつに病院の場所でも聞くか?

 ピンポーン、ピンポーンとうるさく家中に響き続けるチャイム。だめだ。とりあえず出るしかない。俺は部屋を出て二段ずつ間を開けながら急いで階段を降りて玄関に向かう。


「誰だよ!こんな時に!」

 俺は怒りに任せた声をあげながら玄関のドアを開ける。そのにいるのは双子の姉――時葉美穂だった。なんでこいつがここに?

「ちょっ!?なんであんたがお姉さまの家にいるわけ?」

 美穂はそう言いながら臨戦態勢になる。最悪だ……。こいつに一緒に住んでることを言っておけば良かった。こいつに一緒に住んでいることをなんて説明すればいいんだよ!そんなことしてる場合じゃないのに……。

「今はそんなこと――」

「冗談よ、お姉さまと二人で住んでるんでしょ?それくらい知ってるわよ。私はお姉さまのことストーカーよりも愛してるのよ?んで、そんなに慌ててどうしたのよ?森里お姉さまに何かあったってことでいいの?」

 美穂は俺の心配とは全く違う反応をして俺は呆気に取られてしまう。

「お前何言って――」

「いいから黙って、何か大変なことでもあるの?早く言って、お姉さまの身に何かあったの?詳しく聞かせて」

 美穂はいつもとはまるで別人のように冷静な表情をしている。こいつってこんなやつだったのか?まあ、今はそんなことどうでもいい!

 俺は急いで美穂を雛井の寝ている俺の部屋に連れ込み状況を説明した。


「きっと疲れが溜まってたのね。休みになってそれが一気に来たのよ」

 美穂は雛井をじっと見つめてそう言った。

「お前そんなことわかるのか?でも、さっきありえないほどやばかったぞ?病院とか行かなくても大丈夫なのか?」

 さっきの状態を見てる感じだと今にも死にそうなくらい苦しそうだったんだぞ?ほんとにこのままで大丈夫なのか?

「そのありえないほどやばかったって言い方やめてもらえる?はっきり何が言いたいのかがわからないんだけど?」

「わ、悪い……」

 ただの同居人がこんなに風邪ひくだけでこんなにも取り乱すなんて思ってもなかった。元の世界だと人とかかわることとかあまりなかったし、俺って結構心配性なのか?

「神山君がこっちの世界に来てから色々大変だったでしょ?きっとそれで疲れが溜まってたのよ。それに昨日、自分が凄い魔法使いって知って精神的にも疲れてたのかもしれないわ。お姉さまは陰で努力して全部自分で抱え込むタイプだし、って言ってもお姉さま自身自分がどれだけ凄いのか分かってないんでしょうけどね」

「で、でも――」

 こんなの普通じゃない。朝起き上がれないほど、疲れてるって――確かに魔法は疲れるのかもしれないけど……病院に連れていかなくてもいいのだろうか?

「でも何?私の言うことが信用できないってわけ?」

「お前のことは信用してるぞ?でも、一応病院くらい行った方がいいんじゃないか?」

 俺はそう言った。少なくともこいつのことは信用してる。俺が病気で倒れていたらこいつのことはあまり信用できないかもしれないが、それが雛井の話なら別だ。こいつがどれだけ雛井のことを思っているのかは出会って間もない俺でも分かるくらいだ。

「私は病院に行くのは反対よ」

「病院に行くのは反対ってどういう意味だ?何か不都合でもあるのか?」

「色々あるのよ。あなたは気にしなくていいわよ」

 そんなこと言われると余計に気になってしまう。

「なんだよ、病院にいけない理由って」

「簡単に言えば病院と警察って結構つながってるの。もしもだけど病院行ってお姉さまの魔法が世間にばれたら大変なことになるわ。だから病院にはいけないの」

 いつもそうだがこいつの言うことはあまり俺には理解できない。でも、こいつは雛井を傷つけることは絶対にしない。それだけは分かる。

「いや、なんて言うか時葉姉は――」

「いつも思ってたんだけどさー。その呼び方やめてくれる?あんたのこと気に入らないけど、美穂って呼んでいいわよ。時葉姉ってなんかバカにされてる感じで嫌なんだけど?」

 確かに俺も呼びにくいとは思っていた。直也は普通に男だし、名前で呼べるがこいつは一応女の子だ。女の子を名前で呼ぶのって抵抗がある。でも、双子の片割れだけ苗字で呼ぶのも変だったからこう呼んでいた。

「そうか――なあ、美穂。お前のキャラからしてもっと焦ったりしないのか?いつも大切にしてる雛井がこんな大変な状態になってるんだぞ?」

「は?キャラ?バカじゃないの?だからでしょ?」

 美穂は呆れながらそう言った。

「誰か一人くらい冷静な人がいないといけないでしょ?今の神山君はとてもそうは見えないし、だから私が仕方なくこうやって冷静でいるのよ。あんたがもっとしっかりできてたらいつもみたいに、きゃあー風邪引いてても大好きですって言って抱きついてるわよ」

 美穂は軽くそんなことを口にする。いつもふざけているように見えてるだけでちゃんと考えて行動してるんだな。全然気が付かなかった。

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